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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_64 ソリステラス連合国の、長い長い一日(前)

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64-1 お待ちかね! もふもふタイムとステラ工房見学!<SIDE:ST>

「うあああ~。いきたかった~!

 地下工場視察~……それも美人うさみみおねえさんに案内されて~……」

「おい」


 アスカの部屋を訪ねると、やつはベッドで枕(※プリティーうさちゃんまくらに魔改造済)を抱え、ごろんごろんのたうっていた。

 ハヤトがツッコミを入れる。


「お前も『見て』ただろう、ナツキを通じて」

「直に拝むのは別腹っ!!

 あ~も~カナぴょ~んモフらせて~ブラッシングさせて~」 

「はいはい、しょうがないなあ」


 レムくんが『特訓の首尾は、本人から聞いてあげてください』と言ってたのは、なるほどこういうわけだったのだ。


 今日までアスカは、おれたちにも内緒でずっと『なにか』を練習し続けていた。

 それは、ミルルさんの件を解決するためのことなのだが、アスカにとってはあまり得意じゃなかったことのようで……

 さらには、なぞのロック突破事件。これがなかったら魔法学院にも行ったところだが、余計な衝突を生まないために、アスカは今日の同行を遠慮した。


 つまり、アスカはただいま絶賛フラストレーションたまりまくりなのである。

 アスカにはいつもお世話になっている。こんなことで心安らいでもらえるならお安い御用だ。

 おれがどうぞとベッドに腰かけると、アスカはぴょんっと飛び起きた。

 さっそくおれのうさみみを抱きしめてご満悦。


「んああ……いやされる~……これで明日も生きてける~……」

「悪い、カナタ。適当なところで切り上げさせるから」


 ハヤトは義理堅くも謝ってくれた。

 どんなに親しくなっても、その辺は崩さない。ほんとうに、いいやつだ。

 だからおれもこう言った。


「ありがとう。ハヤトもよければいっしょにどうぞ」

「え、いや。いいのか」

「アスカが疲れてるってことは、ハヤトも疲れてるってことだもの。

 ごめんね、イヌ科じゃなくて」

「いや! ……いや、俺は、うさぎもすきなので……その、ありがたく……」


 ハヤトはちょっと顔を赤らめて、そっと優しく触れてきた。

 こう丁重にされると、むしろ何だか照れてしまったりもする。

 アスカがちっさくやきもちをやく。


「むー。ハーちゃんはおれをモフればいいのにー。でも今日はゆるしちゃう!」

「よーし俺もモフモフ~! てーい!」


 するとイツカもとっこんできた。

 それも、ぽんっと黒い子猫に変身し、おれの膝に飛び乗ってくるという卑怯っぷりだ。


「ちょっ定員オーバ……しょうがないなあ」


 子猫ならではのうるうるとした、つぶらな瞳で見上げられちゃかなわない。おれはアスカとハヤトにブラッシングしてもらいつつ、猫イツカのブラッシングを開始。

 そして、ここを訪ねた本題を切り出した。


「でさ、アスカ。明日、いけそうなの?」

「もっちのろーん☆ 死ぬ気で仕上げたよん☆

 工房見学に、『ハートチャイルドハウス』の慰問。

 たとえ徹夜してでも行かなくちゃだよ」

 

 ハヤトも寡黙にうなずいた。

 ソリスでは、各地の長の家が、スターシードとハートチャイルドのよるべである。

 だから、各地方をまわったときに、ハートチャイルドたちもあるいは誰かに支えられ、あるいは車いすに乗って、かれらのほうから会いに来てくれた。

 だが、ステラのハートチャイルドはすべて、『ステラマリス・ハートチャイルドハウス』にあつめられ、治療を受ける。

 かれらが敷地の外に出ることは、治療が終わるまではまずない。だから、こちらからゆくのである。

 ハートチャイルドたちの解放は、おれたちの悲願でもある。

 だから、会いに行って、がんばるからねと伝えたい。


 ちなみに『ハートチャイルドハウス』ゆきは工房見学の後である。

 これならおれたちもいやでも腰を上げざるをえないってものである。

 それでも、ステラ様がせっかく気を使って時間をガッツリ空けてくれたのだ。明日は、目いっぱいに楽しもう。おれたちはしばしのブラッシングタイムを満喫しながら、そう言いあうのだった。



 そんなわけで、翌日は朝からアスカもいつもどおり。

 そろって元気に、工房見学にレッツゴーだ。

 向かう先は、今では少数派、それでも知名度はバツグンの、手作業での魔道具工房。


 個人的に一番のお目当ては、何を隠そう、杖だ。

 いまは難しいかもしれないけれど、いずれミライに杖をプレゼントできたらと思っているのだ。もちろんおれたち自身の装備だってどんどん強くしなきゃだし、ソナタにもスタイルが決まったら、何か作ってあげたい。


 いやいや、私欲にばかり走ってはいけない。おれたちはここで学んだことを、月萌にもたらさなきゃなのだ。バランスよく見ていかないと。

 もちろん町の様子もしっかり見なくちゃならない。おれたちがまだ気づいていない、そして手を差し伸べなきゃいけないことだってあるかもなのだ。


 そんな風に気を引き締めつつも、気づけばおれたちはまたしてもかぶりつき。

 優美なマジックシンボルの彫金、ローブへの魔力糸の繊細な折り込み。

 配合の違う魔力糸そのものを組みひものように組んでいく工程には、そこまでするんだ!! と目からうろこが落ちた。

 ああ、やっぱり時間なんか、いくらあっても足りやしない。

 それはそうだ、技術が、腕が、理論がここまでくるまでの時間はそれこそ膨大なもの。ちょっとやそっと見せてもらったくらいで、つかみきれるわけもない。

 それでももうすこし、もうすこし。

 そんな風に食らいついていたら……


「なるほどな、最強になるってったら気合が違うわ!」


 親方さんに朗らかな声で言われて、大いに照れてしまうのであった。


あつさであたまがまわらんとです……


次回、つづき……の予定です!

どうぞ、お楽しみに♪

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