Bonus Track_63-7 幸せな回想、幸せへの決意~ハルキの場合~<SIDE:月萌>
あのステージの翌日。
俺は、ついに彼女に――エルメス様にプロポーズをした。
もちろん生まれて初めてのことだ。
というか、告白もした。こっちも実は生まれて初めてだ。
めっちゃくちゃ、緊張した。
それでも俺は、正しい答えを返せていた。
一緒にソリステラスに住もう、あなたをお手伝いしたいから、と伝えると、彼女はありがとう、と俺の手を胸に抱いて……。
俺が彼女だったら、きっとその場で抱きしめていただろう。
へたしたら、さらって行ってしまったかもしれない。
それでも彼女は、精神力でそれを押しとどめて。
『大きな、大変なご決断です。
いまいちど、ご家族の皆様と、お話をなさってください。
ハルキ様を、お慕いしているから、……
どなたにも、無理をしていただきたくはないのです』
親父、おふくろ、兄貴も。みんな賛成してくれた。
親父と兄貴は涙ぐんでいたけれど、それでも。
それを伝えると今度こそ、彼女は俺をそっと抱きしめてくれた。
そのときのあたたかさとやわらかさは、とてもくぐつなどとは思えなかった。
『その。このさきは、ソリステラスで、……
お城の庭に、大好きなバラの花壇があるのです。
それを見ながら、お茶をして。それから……』
そのまま、はずかしそうにそうささやいてくれたエルメス様は、世界中の誰より可愛くて。
はい、ぜひ、と答えた俺は、まさしくしあわせの絶頂だった。
おかげさまで俺は、それからぼうっとしまくりで。
「こら。あんまりぼうっとしていると卒業が遅れるぞ。
二か月ぴったりで四つ星修了、即日五ツ星昇格で卒業。
それをかなえたいなら、しっかりやれ?」
気が付けばノゾミ先生に、チョップをもらっていたりする。
俺は現在17歳。結婚を認められる18までには、まだすこし間がある。
その間に、花婿修行……というか、いろいろ勉強や、顔合わせやらを行う予定だ。
親父おふくろのおかげで、それなりの教育は受けさせてもらっている。なので、楽とはいえないまでも、だいぶアドバンテージがある状態だ。
もちろん、たとえそれがなくとも、俺はがんばるのだ。
ただの『皇女の夫』ではなく、公私ともに彼女をささえるパートナーとなるために。
そして、イツカさんとカナタさんが架けてくれた平和の架け橋を、より確かなものとするために。
ブックマークありがとうございます!!
いただけるときにはいただけるものですね……( ;∀;)感涙
次回、あらたなウサミミ! ……じゃなかった、ステラの食糧生産事情の一端を垣間見ます。
どうぞ、お楽しみに!




