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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_63 捜査に出会いに入れ替わり?! 特別休暇は大忙し!(2)

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63-7 子供たちへの想い、子供の想い~学院、そして『エルメスの家』~(2)<SIDE:ST>

 学園長やタクマくんたちと別れて、次に向かったのは『エルメスの家』。

 マルキアや『シエル・ヴィーヴル』、今日警護をしてくれている『Bチーム』の面々を輩出した、名門児童保護施設である。

 ここでは視察のついでに、お昼をお呼ばれしている。

 子供たちが腕を振るった料理が出るかもしれないとのこと、楽しみである。


「いい、覚悟しておきなさいよ。

 ここの子たちはみんな、あなたたちの熱烈なファンなのだからね?」


 マルキアにいたずらっぽく警告されて覚悟していたおれたちだったが、はたして施設の門が開くと。


「わー! イツカナだー!!」

「キャー!! もふもふよー!!」

「うわあモフモフだ!」

「モッフモフー!!」


 職員さんたちを振り切って突撃してきたちびっこたち数名により、あっという間にもみくちゃにされていたのだった。



 やんちゃっ子たちによる洗礼を終え、ちょっとくしゃっとしたおれたちだが、そこはおれたちも施設出身。

 特にダメージもなく、というかむしろちびっこパワー充填120%の状態で、施設の見学にはいったのだった。


 広い施設内はどこも明るく、清潔だ。

 子供たちもみなこざっぱりと身ぎれいで、笑顔いっぱい。

 貴族、平民の分け隔てもなく、施設の職員さんや先輩であるマルキアやジュディたちにもとてもなついていて、星降園にもまけないほっこりワールドぶりである。

 この子たちにはみな、悲しい事情がある……なんて、この笑顔からはうかがい知れないほどだ。


 ここには、リンさんやベルさんのように、幼くして家を離れることとなった子、マールさんのように、親すらわからない子、レムくんのように、複雑な事情を持つ子もいる。

 昨日お茶会から戻るとあらためて、レムくんが教えてくれた。


『一応、このことは知っておいていただきたいので……

 例として、僕のことをお話しします。

 僕はシルウィス家の嫡男ですが、幼いころは有用なスキルをもたず、母ともども家を出された、ということはもう、ご存じですね。

 母の死後、シルウィス家は一度僕を引き取り、『エルメスの家』に入所させました。

 このとき、その見返りという名目で、多額の献金をしています。

 なぜこうしたか。施設、ひいてはエルメス殿下とのつながりを強めるためです。

『エルメスの家』には、そうして預けられた子供が何人もいます。

 なかには、献金が第一目的で、事情はほぼでっち上げにすぎないという子さえも』


 しかしレムくんは、明るい笑顔を見せた。


『そんな僕たちがすなおに笑えるのは、エルメス殿下のおかげなんです。

 殿下はこうした事情を知りつつも、あえて何も言わず、僕たちを受け入れてくれるんです。

 清濁併せ呑むことで、僕たちを不自由なく養い……そして、たっぷりの愛情で包んでくれました。

 だから僕たちは、殿下のお役に立ちたい、そう思うんです。

 それは、マルねぇさまもいっしょです。

 うがった見方をするひとたちは『エルメスの家』を、孤児を洗脳し、少年兵を作り出す施設、なんて言いますけど、それは絶対ちがうんです。

 もともとステラの貴族はすべからく、12歳までには知識パックのインストールを受けます。同時に、多くの場合技術パックも。そうしてそれを活かして戦い、働くんです。

 けれど、それももう、古いのかもしれません。

『子供は、子供らしく』――ふりだけでも、そうあらねばならない時代が来ているのかも、しれません』

 

 レムくんの、さびしげにかわった笑みを思い出したその時、横合いからぼふっとタックルされた。

 みればなんとそれは、こざっぱりした服装の『リアお嬢様』だった。


「へあっ?! リアっ?!」

「いやいやいや?! なんでここにいるんですか『お嬢様』――?!」

「えー? リアちゃんはときどき遊びに来る、かわいい近所の女の子だよー?」


 ほっぺに人差し指をぷにっとさして小首をかしげるその様子、すっとぼけてる。かんっぜんにすっとぼけてる。

 周りのみんなを見るとかんっぜんにわかってる様子だ。おれはこそっと耳打ちする。


「エルナールさんは了解してるんですかっ?」

「もっちのろんよ!

 エルメスは今月萌でしょ? 姉として、可愛い妹のかわりはつとめてあげないとね!」


 実際のところ、エルメス殿下(本体)はステラマリスにいる(はず)。それでも月萌に決死で行ったという手前、どうどうと人前に出るわけにいかない。

 が。


「いやその姿でってことですよ!」

「だーいじょうぶ、記念撮影の時はもとにもどっとくから!」

「あははは……知りませんよ?」


 グレーっていうか完全にブラックな気しかしない。

 しかし、おれに止められることでもない。

 とりあえずおれは思考を放棄して、可愛い昼食会を楽しむこととした。


いつもありがとうございます!

ときどき一括DLをいただくのですが、いまだにびっくりします。小心は直らないものですね^^;


次回、砂糖を吐く回! ハルキ君の回想です。

どうぞ、お楽しみに!!

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