表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_62 捜査に出会いに入れ替わり?! 特別休暇は大忙し!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

697/1358

Bonus Track_62-5 スケさんの問い、僕のこたえ!~チアキの場合~<SIDE:月萌>

 ときどき、わからなくなることがある。

 これが現実か、夢なのか。

 ゲームなのか、ほんとなのか。


 夢を見たことがある。

 僕は、犬のモンスターで。でも、どんくさすぎてひとり、はぐれてしまって。

 とぼとぼ歩いていたら、けがをしてひとりぼっちの鳥のモンスターをみつけた。

 この子を助けたい、そう思って僕は、森に走って木の実を取ってきた。

 けれど、その子は消えてしまった。

 時間経過によるデスポーンだった。

 かなしくなったそのとき、目が覚めた。


 こんな夢も見た。

 僕はやっぱり、群れからはぐれた犬モンスターで。

 でも、襲ってきたプレイヤーたちにやられかけたとき、鳥のモンスターが乱入してきて、助けてもらえて。

 ああ、僕にもともだちができた。もう、ひとりぼっちじゃない。

 うれしくなったそのとき、目が覚めた。



 目が覚めて、初めて夢だったとわかる。

 そこまでは、ほんとのことにしか思えない。

 今この時も、そんな夢のなかのようだと感じた。

 劇のはずなのに、ほんとのことみたいに。

 それだけシオンの脚本や演出、出演してくれるスケさんたちがすごいのだろう。

 でも、そのときはそんな風に思う余裕もなくて。


「スケさん……スケさ――ん!」


 まるで、僕に胸を貸してくれた、優しいふしぎな剣士が、理不尽にさらわれていくようなきもちになって。

 引き留めようと伸ばした手は、届かなくって。


「あぶねえっ!!」


 間一髪、レンが僕をさらって飛んだそのあとに、巨大な骨のこぶしが落ちてきた。



 アダマンタイトのかけらと、骨と土が絡み合ってできたフォートレスゴーレムは、さらに変形していた。

 こちらから見て左の半身に、アダマンタイトのかけらが。右の半身に、スケルトンの骨が集中していた。

 いましも広い広い両肩の上、そして胸の真ん中に、一つずつ違った頭がはえてきた。

 左肩にはフォートレスゴーレムの大きな頭。そして右肩に小さく、スケさんの頭。

 胸では紫の竜が大きく口をひらいて、ブワッと闇のブレスを吐いてきた。


「『ブレス・レジスト』ッ!!」


 素早く護符を使ってくれたクレハのおかげで、ブレスそのものは防がれた――けど、僕のきもちは特大のダメージをもらってた。

 こんなのって。

 こんなのって。

 思わずレンに泣きついてしまう。


「レン、どうしよう! 僕できなかったの、失敗しちゃったの?」

「ダイジョブだ、スケさんはまだ生きてる! ……いや死んでるけどっ!!

 だからっ、とにかくダイジョブだ。まだ勝ってやるチャンスは、あるっ!!」

「…… ふふっ」


 かっこよく、大真面目に言ってるけど、なぜかちょっとおもしろくなっちゃう。

 そんなレンのことばは、あっという間に僕に笑顔を取り戻させてくれた。


「ありがと、レン。

 よし、勝とうっ!

 なんとか剣を取り戻して、もういちど……」

「っていってもよ、完全にどっか埋もれちまってんぜコレ。

 それになんかあいつブレスはいてやがるし、探すとか無理ゲーだろ、今は」

「そんな……それじゃ、戦えない……」


 たしかに、フィールドの地表部分はもう原型がない。しょんぼりしかけた僕だけど、レンのくれた言葉に『あっ』となった。


「いやさ、チアキ。

 お前さ、もともとクラフターだよな?

 剣だけで戦う必要とか、そもそもなくね?

 スケさんだって、わかってるだろうよ。あれだけ強ぇ剣士ならさ。

 そのうえであんだけガンガン仕掛けたってことは、もっと全部をぶつけて来いってなことだ。

 そうだよな、スケさんよ!

 剣でもいい、ボムでもいい。何でも使って仕掛けて来いってなことだよな?!」


 そのとき、確かに見えた。

 レンの呼びかけに応じて、スケさんの頭が、こくっとひとつ、うなずいたのが。


「っしゃあ! こうなったら遠慮はいらねえ!

 見せてやれ、チアキ。お前のとっておきをよ!」

「わかった。レン、お願い!」

「おう!」


 レンは親指を立てると、大きく右手を掲げた。

 腕甲ブレイサーが緑に輝いて、おとっときの特大ボムを召喚する。

 レン特製のテラフレアボム、改良型だ。


「せっかくだから派手に行くぜぇ! レッツ・パーリィ!

 いけっチアキ!!」

「うんっ!」


 火を噴いて飛んでいく後ろ姿に向け、祈りを込めて両手を組んだ。

 そして、全霊を込めて、呼びかけた!


「僕の中の、導きの力! どうかスケさんたちへ、届けてっ……!」


 すると『奇跡』は起こった。

 フィールド全体を焼き尽くすはずのテラフレアボム。その爆発が、スケさんと、スケさんから続く骨の右半身にだけ集中。

 さっきの戦いでは砕けなかったはずのスケさんたちの体を、キラキラ輝く光球の群れに変えたのだ。

 白く輝く光球たちは、ありがとうというように僕をとりまくと、天に向かってのぼっていった。



 すべての力を出し切って放心する僕の前、戦いはクライマックスを迎えた。

 ユキさんの、勇ましい声がきこえる。


「よーしっ! そろそろあたしも働かなくちゃねっ!

 ……いくわよ、ハルキくん。

 あいつがもう一度ブレスを吐いたら、あたしが蹴散らす。

 そのすきに、ハルキくんがあの頭の上から必殺技をお願い。

 ハルキくんの剣なら、必ずできるわ!」

「ユキさん、それ逆のほうがよくないですか?

 だって、あの高さ。さすがに俺のジャンプでも届きません」


 とまどうハルキくんに、ハルオミは優しく力強く告げる。


「大丈夫だよ。可愛い弟のためなら、山の一つや二つ、兄貴が作ってあげるから!

 ……みてて。『山、笑う』!!」


 ハルオミが高らかに唱えると、フィールドが再び盛り上がる。

 フォートレスゴーレムのとなり、瞬く間に立ち上がったのは、小さな山。

 山肌にはつぎつぎと、色とりどりの花が咲きみだれ、ふんわりと優しい香りがただよってきて、すこし力が戻ってきた。


「ちょ、兄貴やりすぎー!

 もう、やればいいんでしょ、やればーっ!」


 でもその言葉に振り返れば、やっぱり。ハルオミがナナさんの胸に、後ろ向きに倒れこむところだった。

 ハルキくんはちょっとトホホと笑いつつ、それでも飛び出していく。

 山肌にガンガンとたたきつけられる、フォートレスゴーレムのこぶしをひょいひょいよけつつ、上へ、上へ。


 一方でクレハは、ユキさんにありったけのアイテムを使いまくっている。

 とはいえ、手持ちは少ない。『ブレス・レジスト』に『クイックアクト』、『防壁シェル』に『強化インフォース』、『クイックチャージ』と使い切ってごめんと謝る。


「ごめんユキさん。こんなことしか俺、できなくて」

「何言ってるの、クレハ君。

 あなたが見ていてくれること。それが一番力になるの。

 見てて。……いってくるわ!」


 飛び立つユキさんの背中を、祈りを込めて見つめるクレハ。

 その瞳に、きらきらと星の輝きが宿る。

 同時にユキさんの体を、同じ色の輝きが包み込んだ。

 弾む声とともに、ユキさんはいっきに加速した。


「すごいすごい! 力がどんどん湧いてくる!

 これなら絶対絶対、負けないっ!!」


 くるくると旋回しつつ、風の力を集めたユキさんは、星色と風色に包まれて、まるで妖精のよう。

 いつもの軽装備さえ、キラキラの輝きをちりばめたものに変わった。


「さあ来なさい、ドラゴン頭!

 すべてこのユキ様が、吹き散らしてあげるっ!」


 そんなユキさんの挑発に、みごとにドラゴンの頭は乗った。

 再び大きくあぎとを開き、色濃い闇を吹き付ける!


「風よ集え、放てコノハ!『コノハライド』――!!」


 ユキさんはあわてず騒がず、風の力を右足に集めて、まっすぐに蹴り放つ。

 その威力は素晴らしく、闇のブレスがきれいさっぱり吹き飛ばされる。

 さらにはフォートレスゴーレムの全身に、細かいひびが無数に走った。


「今よ!」

「はいっ!

 いくぞ、全力っ!!

『ゴールドムーン・ストライク』ッ!!」


 白の装束に金の剣、伝説のシャモアを模した姿に変わったハルキくんが、花集う山頂からジャンプ!

 大きく大きく跳躍した先は、フォートレスゴーレムのはるか頭上。


「いっっけぇぇ――――!!」


 僕たちみんなの声援と、金色の力をまとって、ハルキくんは勝利の流れ星となった。


わんわんわん!


次回、新章突入。

ソリステラスでも上映会なう!

あの彼女の意外な姿にカナタは……

どうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ