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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_60 旧ソリス国領の視察と合宿と!(3)

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60-7 咲き乱れるは百合の花園? 蒼穹の恋愛大明神!<SIDE:ST>

「そんなことが……

 あらためてごめんね、リン。それに、ミルルも。

『鳥は空を飛べてなんぼ』って固定概念が、二人に苦しい思いをさせてしまったんだね。

 そこはほんとうに、申し訳なく思ってる。

 走る鳥も、泳ぐ鳥も、みんな鳥なのにね……」


 バーベキューパーティーののち平原の村を見て回ったおれたちは、またしても『拉致』された……ルリアさんたちが変身した、でっかい鳥さんによって。

 着いた先は、天高く浮かぶ浮島『天空島』。

 いくつかの浮島が橋で結ばれた、まるっきりファンタジー世界のなかの景色。

 ただ天空城の建つ中央の島だけには橋がなく、翼持つものか、それに連れられた者しか入ることができなくなっている。

 さらには、天守と王族用の部屋を含む卵型部分『コアエリア』は、二階部分から一階分上に浮いているという丁寧さである。


 おれたちはそんな天空城コアエリアの展望室で、ルリアさんとお茶会をしていた。

 今日のルリアさんは気品あふれるブルーのドレスで決めて、まさしく女王様という雰囲気だ。

 ドレス姿なのはルリアさんだけじゃない。

 女子一同も全員色鮮やかなドレス、おれたち野郎ども(ハヤトももう元の姿に戻っていた)はスーツ姿。

 おれたちの前に並ぶお茶とスイーツも、明らかに最高級品。

 おれたちの後ろには侍従さんらしき人たちがさりげなく控え、なんともゴージャスな雰囲気である。


 しかしルリアさんは、わりとそれまで通りだった。


「だから、ねえ。

 あたしたちでそれをブッこわそう。

 ライアンのつぎの平原の六獣騎士にミルルがなるの。

 そしたら、走る鳥だってすごいんだぞ! って認めさせられる。

 で、リンはあたしに勝って後を継ぐ。どう?」 

「えっ」

「ルリアさま?! それは……!!」

「いつかの話よ。

 あたしたちだって不老不死じゃない。いつかは年を取って一線を退き、後継者を決めることになる。

 その暁にドーンと殴りこんで来いっ、てなコトよ。

 そんときまで『飛べないやつはどうのこうの』なんてつまんないことのたまってる輩がいたら、あたしごとブッとばしちゃってちょうだい!

 そうなる日まで、いえ、もしもそうならなくとも。

 二人のこと、どうかよろしくお願いします」


 ルリアさんは席を立ち、ていねいにマルキアに一礼した。

 マルキアも優雅に一礼を返す。


「はい、お任せを。

 ……その日までソリステラスの平和を、守らなければね。

 そのためには、月萌との和平を破らせぬことが必要だわ。

 イツカ、カナタ。どうか、よろしくね」


 そしておれたちはマルキアと握手した。

 まさか、こんなことになるなんて――

 イツカと掃除のことでけんかして、郊外へ飛び出して。

 ジュディに警備モンスターと間違って捕獲され、悪役モードのマルキアに捕まった時には、こんなふうに握手することになるなんて、思ってもみなかった。

 でも、わるくない。

 腰を掛けて口にしたお茶の味は、これまた……


「でさ、でさ。

 みんなこっちで気になる子いない?

 もう明日帰りでしょ。つまり今夜が最後のチャンスだよ!

 ここは恋愛大明神の異名をとるルリアさまにどーんといってごらんっ?

 たとえばー、ベルちゃん。

 あのうさちゃんと例のオオカミくん、どっちを選ぶのっ?」

「ファッ?!」


 ……格別だったが危うく噴き出すところだった。

 気を利かせてくれた侍従長さんが『コアエリアの見学をなさりたい御方はどうぞこちらへ』と声をかけてくれたので、おれたち野郎どもは全力でさりげなく逃げ出したのだった。



 コアエリアの見学、といっても、見られるところは限られている。

 それはそうだ、ここは個人の居室も執務室もあるし、エリアに浮力を与えているなんらかの機構もある。いわばトップシークレットのかたまり、立ち入れるだけでも特別というものなのだ。

 けれど渋いロマンスグレーの侍従長・セバスチャンさんは、そこを案内しつつ、そっと伝えてくれた。


「リン様のこと。ありがとうございます。

 リン様はアリオン家の姫君であらせられましたが、ご幼少時、事故で翼を失われました。

 選民思想に侵された者たちの中傷からご両親を守るため、リン様は自ら王家を出、翼を取り戻す努力を続けていらしたのです。

 けれど、旅立ちのときのお顔はまるで、命を断ちに行く方のそれで……。

 それがあのような笑顔を取り戻せたのは、皆様のおかげ。

 ミルル様やライアン様。マルキア様たち『エルメスの家』の方々――そして、あなた方、月萌国の皆様のおかげなのです」

「えっ、おれたちはリンさんにまだ、何もしてあげられていないと思いますけれど……」

「とんでもない。

 あなたがたの――とくにカナタ様、貴殿の活躍を動画で見て、リン様は大いに勇気づけられたのです。

 ガンナーこそが、戦局を動かす司令塔となりうる『一番カッコイイ役割』だと。

 けしてただ、目の良さだけのわき役などではないのだと」

「そうだったんですか……!」


 誇らしさが湧き上がる。

 おれの一生懸命が、絶望していた女の子を勇気づけていた。

 こんなにうれしいことがあるだろうか!


「リンさん、あれで照れ屋だから言いませんけど。

 今日あたりきっと言いに来ると思いますよ!」

「よかったな、カナタ!」

「よかったね、カナタおにいちゃん!」

「うん!」


 レムくんもニコニコと言ってくれた。

 イツカがぽんっと右肩を叩くと、ナツキも左の腕に抱き着いて。

 アスカとハヤトも笑ってくれて、ほのぼのほっこりだ。


「国をたがえるもの同士、難局を迎えることもあろうかと思います。

 それでもどうぞ、リン様と……そしてルリア様と。

 いつまでもよき友でいていただけると、大変うれしく存じます」

「おれたちもそう思います。

 どうか、……」


 その時聞こえてきたひときわ華やかな声たちに、おれたちは全員凍った。


「だーいじょぶだいじょぶっ! マルキアはパレーナの好みドストライクだから!

 きょうのクルーズの目標はメアド交換! しまっていくわよ!」

「おー!!」

「ありがとうルリア様。まさかこんな日が来るなんて……」

「だからもールリアでいいっての。マルキアおねえさまって呼んじゃうぞ?」

「あ、それいいかも……」

「いいですね……」

「いいと思います!」

『異議なしよ!』

「『お姉さま』が取れる瞬間もぜひ拝見したいものです……」

「ミルちゃんわかってるー!」

「わーん! お姉さま~妹たちがルリアをいじります~」

「もう、しかたないですね……ルリア?」

「キャー!!」


 開いたままのドアから聞こえてくるのは、爆走ガールズトーク。

 このなかにおれたちは入れない。入る勇気がない。

 比較的耐性のあるはずのレムくんもフリーズ、能天気イツカすら耳を折って入ろうとしないのだから、これはほんものの魔境とみていいだろう。


「……よろしければわたくしのオススメスポットをご覧になりますか」


 きっとよくあることなのだろう。セバスチャンさんはいい笑顔でそう申し出てくれたのであった。


ガールズトークもまた楽し。


次回、職人街をめぐってクルーズ船に乗り込むまでを描く予定です。

いやはやほんと忙しいツアーだな! お楽しみに♪

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