Bonus Track_60-5 はじまりはちょっとゆるめに! VSルーレア&レイジ戦! ~ミライの場合~<SIDE:月萌>
開始と同時にクラフターの五人が一斉に護符を使った。
『耐火』『対地』『ブレス・レジスト』、『クイックアクト』に『クイックチャージ』。
おれとミズキはTPトランスファーを利用してフルブレッシングオール。神聖強化、漸次回復、状態異常防御がみんなにまとめてかかった。
「『ムーンライトブレス』ッ!」
同時にフユキがレイジに斬りつけた。
自己強化を発動しながら走り、攻撃という速攻だ。
「おー。イー気合じゃねェか。
だが、ナツキなしでどこまで持つかな?」
「その前に倒すッ!」
もちろんナツキブーストは使ってない。今回はナツキに頼らないで戦い、覚醒するのが目標だからだ。
縛りを設けつつ、コトハさんも死守すると思い定めた、フユキの気迫はものすごい。レイジ相手にどんどん押していく。
でも、それはまだしちゃだめなのだ。
「落ち着けフユキ。突出するな」
「……ああ」
得意の俊足で、一瞬で追いついたイズミが冷静な声で呼びかけると、フユキはちょっとクールダウンしたよう。
そう、今回、先に倒すのはルーレアさまだ。レイジはそれまで倒しちゃいけない。ニノも『クロックアップ』はつかわずに、まずは、アイテムでのサポートだ。
それを察してレイジが笑う。
「なんだなんだ、クロックムッシュは使ってこねえのか名誉会長副会長? ははーん、オレ様の足止めが目的ってわけだな?」
「いやそれはサンドイッチだ。」
「やめろ腹が減る。」
「………………てへっ?」
イズミの冷静な、フユキの目の座ったツッコミをもらい、レイジがてへぺろを決める。
ちょっとゆるい光景だけど、裏を返せばレイジにはそれだけの余裕があるってことだ。ちょっとしたきっかけでこの状態が、ひっくり返されるかもしれない。
このパーティー唯一のプリーストとして、全体の補助をするおれにとっては、注意しとかなきゃいけないとこである。
「ミライさん。
大丈夫、あなたの目は鋭く、視野は広い。
俺もついていますからね」
そう思ったとき、タマキくんが優しく声をかけてくれた。
タマキくんは、シロイルカ装備の技『フロート・バブル・リング』で浮遊して、一段高い位置から戦局を見られる。それに、冷静で頭も切れるからすごく心強い。
うん、と返事をしたらおれのしっぽがパタパタゆれて、タマキくんもニッコリ笑ってくれた。
と、コウくんとシロウくんも軽口をたたく。
「タマもなー。たまにはダイにもそんなカオしてやればいいのに」
「タマだけにな。」
「なんかいいましたかコウ、シロウ? 手が止まってますよ!」
「へいへーい!」
とたん、ビシッといつもの調子に戻るタマキくん。なんだかおかしくて笑っちゃうけど、がまんがまん。口元を抑えて、戦場を見渡した。
レイジとフユキ、イズミは盛んに斬りあって、フィールドの真ん中に。
浮遊するルーレアさまには、コウくんシロウくんがばんばんボムをぶつけ、ミズキとダイトくんがジャンプを繰り返して斬りかかる。
『なるほど、うまいね。わたしはレイジをまきこめないから、ブレスを吐けなくなる。で、小回りの利かないわたしを手数で圧倒するというわけだ。
でも、ひとつ忘れてないかな。わたしは……』
と、ルーレアさまが着地する。
太い竜の足がどん、と地面を踏み鳴らせば、そこここから岩の柱や、火柱がつきあげてきた。
『地属性ももってるから、こうしたこともできるって』
おれたちは足元への対処もしなければならなくなる。でも、大丈夫。そのときのためにおれがいるのだ。
「まかせて! 神聖強化神聖強化神聖強化! 神聖防壁ッ!!」
おれは自分に全力強化。そうして、フィールドの地面いっぱいに、防壁をしきつめた。
「これでしばらくだいじょうぶ! みんながんばって!」
おう、ありがとう、と声が返ってくる。
観客席からも、歓声が上がった。
多分後二回かかると思われます(爆)
次回はソリステラスでも開戦です。がおー。
どうぞ、おたのしみに!




