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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_57 ソリスのソウル、ステラのスペル(2)

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57-7 六獣騎士、それぞれの思惑<SIDE:ST>

 たぶんこの席順と、時計回りで発言、は六獣騎士たちに染みついているのだろう。

 特に仕切るまでもなく、発言は時計回りに進行していった。

 ライアンさんの隣、ルリアさんはぐいーんと椅子の背もたれに体を預けていう。


「あたしもライアンのきもちわかるなー。やっぱしたいわいろんなバトルー。

 でもまー……戦争って形じゃなくてもいいっちゃいいかなーって。

 つかこの戦いって、そもそもゲームみたいなモンでしょ? いっしょにバトって強くなって、ゴールしたらみんなでおつかれさーん、みたいな。

 だからやりたい子がやりたいときやる、それでいいと思うんだよね。

 つかヤじゃん、イヤそーにバトられるのってさぁ。さらにその後ろに、騙されて不幸になってる子たちがいるとかさ……

 あたしたち的には絶対そんなんおことわりだわ。

 でも月萌も途中から主義かえたら、ステラの二の舞になるだろうし。

 そんくらいならイツカナがグランマに会ってドンジャラホイってんでもいいかなって。そんなかんじかなっ」


 パレーナ八世は端正なたたずまいのまま静かに発言。


「生きてゆく限り、常に戦いは付きまとう。

 ならばこそ、それに基づかぬ戦いには慎重にならねばならない。

 そもそもミッション『エインヘリアル』は謎だらけなのだ。

 我ら人類はなにゆえ、さらなる『進化』をせねばならぬのか。それが戦争という手段でなければならぬのか。

 約束の地とはどのような場所なのか、進化を遂げたと認められる要件は何か、適格者はどのようにして召されるのか。

 そもそも、戦い以外の進化の方法はないのか。

 残念なことにソレア様ですら、それらを知らされてはいない状態だ。

 そんな状態で子らを戦わせる羽目になるのは実に業腹ごうはらだと、父も祖父も常々語っていたし、私もそのように思う。

 だから、イツカとカナタの存在は、私たちにとっても大いなる希望だ。

 ぜひとも『グランドマザー』に拝謁し、それらを聞いていただきたい。

 私たちが一番欲しているのはそのことだし、そうである以上、イツカとカナタのことを全力で守り、支援していきたいと思っている。

 もちろんその結果、戦いが最良の選択肢であるならば、総力を挙げて戦う所存だ」


 ステファンさんも穏やかな芯の強さをみせる。


「パレーナの言う通り、ミッション『エインヘリアル』は謎だらけ。女神様がたも、理由もわかり切らぬまま進まなければならない状態で、お気の毒に思っているわ。

 ただ、もしかするとそこには『グランドマザー』の思いやりがあるのかもしれない。

 今のわたしたちが聞いたらとてもつらくなるようなことを、『グランドマザー』は隠してくださっているのかもしれない……

 そう考えると、いまのまま静かに進み続けるのがいいのかもしれないとも考えられて、複雑なきもちね。

 ただ、わたしはやはりイツカさんとカナタさんには『グランドマザー』にお会いし、その望みを遂げていただきたいと思うわ。

 このソリスにも『ハートチャイルド』はおりますし、少ないながら3Sも生まれます。何の罪もない子たちが、生まれながらにしてかなしいさだめを背負わずに済むようになる。これを喜ばない者などおりません。

 そして『グランドマザー』のみこころも、きっとお聞きしていらしてほしいですわ。

 たとえつらい事実があったとしても、民を守るためなら受けとめられます。

『グランドマザー』も何らかの形で、お楽になるかもしれませんから」


 エルマー君も立ち上がり、頑張る。


「静かに平和に暮らせたら、いいんだ。

 それだけで、いいんだ。

 僕たちは強いのかもしれないけどでも食べもしない人を叩きに行かなくっていいんだ。

 そんなのは余計なことだ。

 なんでここが約束の地になっちゃいけないんだ。

 いつも思ってる。

 せめてどうしてなのか……知りたい……」


 とつとつと語ると、少し迷った後、フードを取って「おねがいします」とおれたちに深く一礼した。

 長めの前髪の下では、あわく美しい、月の光のような色の瞳が、祈りを透かして輝いている。

 胸を貫かれるような美しさ。息をのんで見つめているとエルマー君は、「あ、その、いえ、うん」と真っ赤になってフードをかぶり、そそくさと椅子に収まった。


「だいじょぶだよ、ふたりはちゃんと聞いてくれるよ!」


 肩の上のナツキがやさしくぽんぽんとほっぺたに手を添えれば、フードの下からのぞくくちもとがふんわり微笑みに染まる。

 その様子にやさしく目をやり、クローリンさんが言うことは。


「わたしたち小さき動物の民は、みな見てのとおり、弱きものです。

 それがなぜ滅ばずにここにいるのか――それは血の呼び声ゆえです。

 この体に流れる血が、己の記憶を残せと叫ぶのです。

 わたしたちは皆さんのように力強く戦うことはできません。ゆえに皆さんを支え、そのかわりに守っていただくことで、その使命を成し遂げる道を選びました。

 ですので、わたしたちは。たとえどのような状況となったとしても、みずから選んだひとを、その目指すところを、一心に支え続けるのみですわ。

 それでもただ、ひとつだけ。

 こどもたちが『ハートチャイルド』として生を受けることがなくなること。これだけは是非とも、かなえてほしいのです」


 そうして彼女も、お願いしますとていねいに頭を下げてきたのだった。


こちらの表示で見ると皆さんセリフすっげー長いっ?!


次回、まとめない!

どうぞ、お楽しみに!

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