56-1 万国共通! うさぎな妹は、天使です!<SIDE:ST>
所用で出ますため、推敲があまりできていません。後ほど修正などいたします……m(__)m
「もう! もう! なんなのあいつー!! べーっだ!!」
「ジュジュ落ち着いて、もう帰っていきましたから……」
「おーどしたー?」
ぷんすことおかんむりのジュディをなだめていると、後ろから声をかけられた。イツカだ。
いやそれはいいのだ。気になるのは、その隣にベルさんがいるということだ――それも、なんだかずいぶん仲良く。
ジュディがイツカに「あー! ちょっときーてよイツカー!!」と猛然とバディの『危機』をご報告している隣で、おれとベルさんは情報交換。
「カナタさんたち、もうご飯は済ませてしまいました?」
「うん、さっき。
ごめんね、イツカをまだ寝かせといてやりたかったから先に。
起こしてくれたの、ベルさん?」
「あ、起こしたと言いますか、そろそろいい時間なのでお声をかけに行ってみたらイツカさんが起きていらしたといいますか……」
「ありがとね。こいつねぼすけだから苦労したでしょ?」
「え、いいいいえ、そんなことは……
わ、わたしソリスにいる頃は子守も、あっいえ弟や妹たちの世話もしてましたので!」
「偉いねベルさん。
それじゃ時々お願いしちゃおうかな? もちろん手におえないときはおれを遠慮なく呼んで。うさみみパンチしに行くから」
おれはクラフター、イツカはハンター。トレーニングメニューなんかも当然違うし、別々に行動できた方がいいときもあるのは事実だ。
それに、ベルさんの様子も気にかかる。
こう、昨日までと比べて積極的というか。
「もしかして、ライアンさんに頼まれたりした?
イツカをお婿さんにって」
「ふぁっ?!
いいいいいえ、ちち父は別に!! だってわたし結婚する気とかないですしっ!!」
素の彼女は、だが、素直で嘘のつけない子だ。だからストレートに聞いてみる。
ベルさんは大慌てで否定して。
「でも弟としてならアリだし、そしたらカナタとソナタちゃんもきょうだいだし……あっ」
こんなふうにダダモレになってしまう。
しかもおれをうっかり呼び捨てにして、はわわわわと謝ってきた。
こんな子が軍人で、バリキャリ志望なんて、ぶっちゃけギャップ可愛い。
ふわふわの白うさ耳と相まって、うん、たしかにこれは天使だ。
彼女は16歳、年上のお姉さんだ。だから頭をなでたりはしないけれど、ついつい「いいよ」と優しく微笑みかけてしまう。
「本格的に縁組とかなると、また話は違うけどさ。
おれたちを弟や妹みたく思ってくれるのは、もちろん歓迎だよ。
ありがとう。仲良くしようね」
というと、ベルさんは勇気を振り絞ってといった様子でおれを見上げ、こう言ってきた。
「あ、あのう……
わ、わたし的にはですがカナタさんはお兄さんというかんじだったりしましてっ……!!」
もちろんおれは、そうっと頭を撫でてあげるのだった。
イツカは政治家じゃないし外交官でもない。けれど、マイペースな主人公野郎だ。
たとえひとり、和平反対派の家に入っても、絶対に自分を曲げないだろう。
それどころか、あの無敵の主人公っぷりで、周囲をことごとく落としてくる未来しか想像できない。
そう、誰もやつを止めることなんかできない。
だから、やつがそれでいいというなら、ライアンさんちの子になるというのも、おれは認めてやるつもりだ――あいつももう、すっかりライアンさんになついていることだし。
けれど、それはまだまだ、この先のこと。
おれたちはステラ様を癒しつつ、かれらとのやり取りも続けてゆかねばならないのだ。
そのときにも、そのあとにも、こうして結ぶきずなはきっと、力を与えてくれることだろう――それは、お互いにとって。




