表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_54 おれたちの、なすべきこと

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

595/1358

54-7 対決! 灼腕の獅子!(2)

 二人がこぶしを向け合えば、ソレア様が嬉しそうに進み出る。


「オッケー、だったら決闘だ!

 ふたりとも、ここじゃ狭いだろ。まずは外に出ようね!」


 もちろんこっちもおめめきらっきらだ。

 ぱちんと指を鳴らせば、あっという間に視界が切り替わる。

 転移させられた場所は、併設のバトルフィールドだった。

 フィールド中央には、ライアン氏とイツカとおれ。

 ステラマリス様、そして先の学者風青年と和装風美女は、ソレア様といっしょにVIP席。列席者の皆さんは前列に、その後ろはもうすっかり大入り満員だ。


 ライアン氏が天に向かって大きく吠えれば、上半身を覆っていたローブがどこかに消える。

 あらわになった筋骨隆々の身体を、あっという間にあかね色の短い被毛が覆う。

 さすがにズボンはそのまま――というか、そもそも履いてきたズボンとブーツが戦闘向きのものなのだ。

 ソリス国では戦装束が第一正装だった。だからいま、この姿こそがライアン氏の正装なのだ。

 彼は誇らしげにこぶしを突き上げ、歓声にこたえる。


「っしゃ! カナタ!」

「うん!」

「『我らが神器よ、力を解放せよ! リリース!!』」


 一方でこっちも『変身シーン』。イツカのチョーカーにおれの指輪をはめ込むと、光とともに装備チェンジ。

 こちらもこちらで歓声をもらうが、もちろんおれはそのまま下がる。これは、ライアン氏とイツカの決闘だからだ。

 

「賢い選択だな、青ウサギよ。

 お前が出たところで勝負の行方は変わらん。

 そこで指をくわえてみているが良い!」


 事前の分析によると、おれとライアン氏では、おれがかなり有利。

 イツカとライアン氏では、ライアン氏が有利。

 ただ、バディ戦ということでおれが入れば、あの和装風ドレスの女性が参戦するだろう――おれと彼女では、彼女があきらかに有利。

 彼女は水の刃を操る戦士であるが『錬成強制終了(リアクト・ブレイク)』を習得している。つまり、クラフターにとっては天敵と言っていい存在なのだ。

 つまり総合的に見れば、ライアン氏とイツカのタイマンが、こちらにとって勝ちの目が大きいパターンなのである。

 だから、おれはVIP席で王子様然と足を組み、にっこり笑ってこう言い放つ。


「ちょっぴり気が合いますね、ライアンさん。

 おれとあなたの相性は最悪。ですのでどうぞ、うちの猫と思う存分、遊んでいってください。

 この勝負、おれが出るまでもありません」


 ここで間違っても『そちらこそおひとりで大丈夫ですか?』なんぞとはいわない。

 いくらイツカにナツキがついていたとしても、さらにもう一人なんて言ったら、今の段階じゃ普通に勝てない。

 おれたちは『一応』月萌最強だが、決して無敵でも無双でもないのである。


「言ってくれるわ。

 だが、気の強い女は好みだぞ。

 もしもお前の騎士の命乞いをしたくなったら、いつでもわが胸に身を投げるがいい!」


 なんだか華やいでる雰囲気のなか、おれはただ、笑顔を返す――イツカに『今は黙っとけ』と伝える意味も込めて。

 イツカをはじめとした数人はそのとたんさあっと青くなったが、ライアン氏は気づく様子もないようだ。

 よしよし、これはもうギルティでいい。試合の後が楽しみである。


 そんな感じの綱渡りでタイマン決定に持ち込めば、ほぼ何も知らないソレア様は上機嫌で声を上げた。


「よーしよーし、勝負はタイマンでいいね決定だね? なら始めよう!

『ソレアの名のもとに、決闘デュエルは認められた。結界展開。

 どちらかもしくは双方が負けを認めるか、戦闘不能となるか。もしくは先に定めた条件を含む合意の形成されるまで、このリングは解かれぬものとする!』」


 ぱんっと手をうてば、バトルフィールドを輝く光の輪が包み込んだ。

 これはデュエルリングといい、『どちらかもしくは双方が負けを認めるか、戦闘不能となるか。もしくは合意の形成されるまで』内外からの影響をほぼ遮断するべんり結界。

 時と場所をあまり選ばず、スポーツ感覚で決闘が行われるソリス国では、非常に身近な術だそうだが。


『あら、やっぱり……

 あたしもイツカに宿っとけばよかったかしら』


 その効果は確かなもので、おれとイツカの耳飾りをむすんでいたバニーのチカラは、その瞬間に遮断された。彼女が頭の中で失敗したかもと声を上げる。


『だいじょぶだよ、バニー。

 チカラの残滓は残ってるし、試合一回分くらいならなんとかできるよ。

 ナツキもいてくれるしね』


 ここからおれたちがイツカにしてやれるのは、声援とアドバイスだけ。

 おれたちの耳飾り型幻術通信機も、『虚栄バニティ』のチカラを遮断された今は、ただの飾りに過ぎない――百歩譲って、耳飾りに残るチカラの残滓は使えなくもないのだけれど。


 今回、レイジとグリードは月萌に残っている。念のためにと、イツカの背中の制御翼と腕輪に力を詰め込んでおいてくれてあるが、使いきってしまえばおしまいだ。

 抜刀し、構えをとるイツカも、それはわかっている。

 だからここは慎重に……


 なんてイツカが、行くわけもなかった。

『はじめ!』の声と同時に、いきなりフルスロットル。

 開始後一秒足らず。黒猫の騎士と赤獅子の闘士は、バトルフィールド中央で第一撃をぶつけ合ったのだった!

け、決着がつくなんて……ももももちろん思ってなかったさ……(; ゜Д゜)


次回、決着! 予定!

どうぞ、お楽しみに♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ