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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_52 そして、運命の夜は来た

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Bonus Track_52-2 必要充分な、真実~マルキアの場合~

 イツカが短く頼めば、ツクモエマザーは結界を解いた。

 私たちのアバターを、そこに導く。

 私たち『闇夜の黒龍』メンバーの。そして、エル――エルメス第三皇女の。


 対して、カナタはゆっくりと立ち上がる。

 相棒の手を借り、肩にすがって。

 それでもしっかりと、紫の双眸を私に向ける。


「マルキア、ひとつ……聞くけれど。

 いいの、こんな、おれたちで?

 策にはまって3Sに負けて。……そんなおれたちは、もはや、君たちの望む、希望の星とは言えないんじゃないかな?」


 強い、強い輝き。……美しい。

 初めて出会ったときの弱気の虫など、もはや陰すらない。

 期せず胸が高鳴るのを覚えつつ、私はいつもの調子で笑ってみせた。


「アハハ、かまやしないさ。

 この点においてはあたしたちがその分すぐれていたと、それだけのハナシだろ?」


 エルも異を唱える様子はない。

 唱える資格などないから、とわかっているためだろうけれど。

 青の光の中に姿を現した、幼き姿の女神に問いかける。


「月萌を統べし尊き女神よ。よろしいでしょうか?

 ソリステラス連合国はこのわたくしを人質として差し出し、休戦協定の締結に賛成する。

 あなた様はひととき、あなた様の騎士とそのお力を、我が国の尊き御方の治療のために貸してくださるということで」


 なぜって、人質と言いながら、ここにいるエルは『くぐつ』なのだ。

 それでも、ものは食べるし眠りもする。必要充分に本物なのだ――やつらが壊さない限りにおいては。

 もちろん、『マザー』たるものがそれを判らぬわけもない。

 わかったうえで、幼き姿の女神はうなずいた。


「このふたりをか。

 よかろう、この二人でよいならば。

 ただしわれらが祈願者は進学を控えておるそうだ。一か月、それ以上は待てぬ」

「ご英断に感謝いたします。

 わたくしはソリステラス連合国第三皇女エルメス。この休戦協定の締結につきまして、全権委任をうけてこちらに参りました。

 なにとぞ、お手柔らかに、静かなる青き月の女神よ」

「心得た。

 ただし、わが名において言おう。お前は人質などではないし、他の誰にもそのように遇させはしない。

 なぜなら我らが騎士たちは、ことあらばいつでも時空を超えて、我らのもとへ戻ってこれるのでな。……このように」


 女神が瞳を向けた方には、すたすたとこちらに向けて歩いてくる、イツカとカナタがいた。

 一瞬、二人がメイド服をまとっていたような気がしたのは気のせいか。気のせいだということにしよう。どうみても今は、白の燕尾服を着こんでいるのであるし。

 ともあれ私には、彼らの策が成ったことが分かった――かまいやしない、我らにとっては必要充分な勝利だ。

 もっともそれは我らがクライアントにとっては不充分なものなのだが、まあ文句は言われないだろう。

 何故って、三階バルコニーから見下ろす彼女の背後にはもう、あのピンクの髪の白兎が立っていたのだから。


 黒の燕尾服のイツカナは、女神と白のイツカナとあいさつを交わす。

 そして力を振り絞り、妹たちと観衆にも短いあいさつを。

 長居は無用、さあ、出発だ。

 いつものように、上空の転移ゲートを開けば、体がふわりと上昇しはじめる。

 しかしやっぱり奇妙な構図だ――イツカナをイツカナが見送っているのだ。

 あの女も同じ想いを抱いたよう。こちらを見るやぽかんと口を開けた。

狐と狸の化かしあい!

もっとモフくてもいいと思いました!(爆)


次回、とある女神<マザー>の小さな祈り<モノローグ>! お楽しみに!

※『とある』風になっているのは故意による偶然です。

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