50-5 第二部の注目ポイント:ライブとバディ争奪戦となぞの棒グラフ!
『みんなー! こーんにーちわー!!』
『今週の最後には、わたしたちの大好きな先輩たち!』
『しろくろウィングス』『白兎銀狼』の、卒業エキシビションバトルが控えてます!』
『だ・か・ら!』
『これまでのお礼の気持ちも込めて!』
『みんなでいっしょにお祝いしたいから!』
『きょうも元気に、いっくぞ――!!』
第二部開始を飾るのは、『おこんがー!』のライブステージ。
イメージカラーのパールホワイトを基調とした、ひらふわのアイドル衣装で飛び出してきたふたりは、笑顔で手を振り、あいさつをして、歌いはじめた。
いつも通り、いや、いつも以上にはつらつとしたその姿。
四巨頭の卒業エキシビに食われるなんて心配をするどころか、むしろそれをお祝いしたいというピュアな気持ちがひしひしと伝わってきて、胸が熱くなる。
今日の彼女たちは、粋な計らいをしているのだ。
さきの四巨頭による選手紹介もその一つ。
そして、もうひとつは……。
彼女たちへの投げ銭額を確認する画面をみると、ぐんぐん伸びていく棒グラフの下に、もう一本、謎の棒グラフが伸びているのがそのヒントだ。
ちなみにこのグラフ、ハルキ君の時にも出ていた。
これの正体は、一番最後にミソラ先生が発表することになっている。
何なのかはだいたい想像がつくが、だからこそ投げ銭しておく。
『すごいよこれ、もうスレッドまで建ってる!!
『謎の棒グラフの正体について議論するスレ』だって!』
携帯用端末ごしのシオンの声は弾んでる。相変わらずしっかりした仕事ぶりだ。
っていうかシオンも第三部で出場するのに大丈夫なのか。いやいや、シオンはこれが『二番目』に心安らぐ行動なのだ。
一番は『ソーやんをブラッシングすること』だそう。その気持ちはよくわかる。
ともあれ、かわいらしいミニライブを満喫したら、試合開始だ。
第二部、二ツ星三ツ星バディが出場するパートは、第一部よりも盛況だった。とくに『騎士団』の出場者が多い。
なかでも注目を集めたのは、創始者四人組による企画もののバトルロワイヤル、その名も『バトルロワイヤル・ダイちゃん争奪戦』だ。
これは四人組唯一のハンター・ダイト君を向こう一カ月間バディにする権利を争うためのもので、当然のようにダイトくんが最初に狙われるというしょーもない展開に。
「ちょおおお!! ナニソレきーてない! きーてないからあああ!!」
「だってダイトが勝ったらバディが組めませんからねー!」
「そーそー! 観念してやられてプリーズ!」
「というわけだ。我らのために死んでくれ」
「しゃれにならねええええ?!」
勝ち残ったのは、スタミナ不足でひとり脱落した……と見せかけて、背後ががら空きだったコウ君、シロウ君、集中攻撃で弱ったダイト君をまとめて爆破したタマキくんだった。
ダイト君追跡をまっさきにあおっておきながらのこれには、おれもうなった。さすがは『騎士団』随一の策士である。
「あはははやられたー! タマVIT低いからマジバテたんだとばっかしー!」
「ナイス作戦。やはりタマキを最初に狙うべきだったな」
「ふふっ、弱さは利用するためにあるのですよ☆ 二人もよくダイをあの短時間で追い込みましたね、いい連携でしたよ」
コウ君、シロウ君、タマキ君は笑って健闘をたたえ合う。
収まらないのはダシにされてしまったダイト君。
「くぉらお前らああ!
とつぜんバトロワとか何かと思ったら……おまえら次から三人でやれ三人でっ!!」
「え~」
「え~じゃない!!」
「だってぇ~」
「だってじゃないのっ!!」
『おにおこ』で雷を落とせば、団長バディが仲裁に入った。
「ダイト君、その辺にしてあげて。三人ともダイト君がだいすきなんだから。ね?」
「ミ、ミライさんが、言うなら……」
「三人も、次からはもうちょっと別の形を考えようね?
大好きなダイト君には、笑ってバディをやってほしいでしょ?」
「そうでした……」
「すみません……」
「申し訳ござりません、団長、そしてダイト。
我ら三名、ついついダイトを我が物にすることばかりに夢中になってしまいました」
「しろーさん言い方ぁー!!」
ちなみにこの時にも、謎の棒グラフは出現。棒グラフがえらい勢いで伸びるのと比例するように、議論スレッドも伸びていくのだった。
四人組が暴走しよりました……どうしてこうなった^^
次回は第三部。シオン覚醒なるか? どうぞ、おたのしみに!




