表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_49 二つのイベント、二つの陰謀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

536/1358

Bonus Track_49-5 れっつ、卒業試験!~アスカの場合~

「あれ、それまだ飲んでなかったの?」

「……後で飲む」

「あとでってもうテスト始まるよハーちゃん。

 今飲まなかったらいつ飲むのさ?」

「……ほっとけ」


 月曜放課後、学科試験の会場へと向かう途中。僕はハヤトのポケットからのぞいたホーリーポーションの小瓶に気づいた。

 きのう、ルカとルナが僕たちにくれたものだ。


『あんたたちもたいがいワーカホリックよね。

 でもおかげであたしたちも助けられてきたんだし。……

 がんばって。週末はお互いカッコよく決めるわよ!』

『これね、わたしとるかで作ったの。

 学科試験うまくいきますようにって。

 これ飲んで受けたら、ヤマがぜーんぶ当たったからおすすめだよ!』


 との言葉とともに。

 ちなみにホーリーポーションにそんなトンデモ効果はなかった気がする。

 ともあれ、縁起のいいものだ。おれはさっそくその場でいただいた。

 けれどハヤトは、後で飲むからといってポケットに入れて。


 そのまま、後生大事に持ち歩いていたというわけだ。

 ……もしかしてこれは。

 いつもの猫耳メイド服姿のライカが陽気な声を上げる。


『あー! もしかしてハーちゃん、るーるーたんずのことっ』

「ちがっ! そうじゃない!! これはあくまでゲンを担いでいるだけでっ……

 ア、アスカも誤解すんなよっ?! 俺は、……」


 ちょっと赤くなってあわあわと慌てるハヤト。いっそのこと『そっかそっかーやっぱハーちゃんはこのちょーぜつてんさいうさぎびしょーねんのおれのことがっ』とか言ってやりたくなってしまったが、ここはがまんだ。

 今はまず、学科試験をパスすることだけを。

 後のことは、そのあとだ。

 僕は努めてさりげなく、ハヤトの背中をぽんと叩いた。


「はーいはいっ。

 まったくもーハーちゃんは。前回模試ほぼ満点だしといてなに言ってっかなー。

 あーあ、こーなったらおれ満点とらなきゃじゃん。頭脳担当が体力担当にペーパーで負けたとか、説得力がなくなるからねっ!」


 そうして叩いた軽口に、ハヤトはまっすぐ返してくれた。


「だったら満点とってこい。遠慮なんかなしに。

 もう、やつらの目を気にしなくっていいんだ。

 お前の頭脳も、才能プラチナムーンも。

 ここからはもうなにひとつ、隠さなくっていいんだからな」


 なにひとつ、か。

 たぶん、ハヤトにはいろいろ、バレている。

 僕は、一つ息を吸って。そして――


「よーし! それじゃあおもいきって脱いじゃうぞー」

「バ、バカッ! そういう意味じゃなくてだなっ」


 そんなふうにからかえば、さっき以上に真っ赤になるハヤト。

 よしよし、肩の力は完全に抜けたようだ。

 これでOK。学科試験はいただいた。

 と、そこへ飛んでくる仲間たちの声。


「いよっ、お熱いね!」

「どうせならダブル満点とっちゃえよ!」

「がんばってー!」

「応援してるからな!!」


 教室一つを貸し切りにした、おれたちのための試験会場。

 その前の廊下は、すでに仲間たちでいっぱいだった。


 ここに来た頃は、こんな光景を見られるなんて想像もしていなかった。

 高天原学園卒業は、あくまで手段でしかなかったのだ。僕たちを脅かすやつらの喉元に迫るための。

 でも、そんな考えは寂しい、間違ったものだったと、いやでも気づかされた。

 ハヤトを守る。そのために敵となるものはすべて下す。その考えは変わっていない。

 けれど、その途中、こんなふうに楽しくワイワイしたってぜんぜんいいんだ。むしろした方が断然いい。

 そのことを教えてくれた、愛すべき日々からの卒業は、ほんの少しだけ寂しかった。

 だから、言った。


「おーう!

 満点取ったら週末パーティーでおいしいものいっぱいオナシャスッ!!

 おれには甘いものとー、ハーちゃんには肉ねっ!」


 するとハヤトはしっかり付け加える。


「ちゃんと野菜も入れてくれ。バランスが大事だからな!」

「おーうっ!!」


 次世代三巨頭――胃袋担当ソーヤ、データ担当シオン、よろず相談担当のミライを先頭に、笑顔の仲間たちがこぶしを突き上げた。



 そうして、その日の夕方。

 おれたちのもとに届いたのは、ふたりともに満点での合格の知らせだった。


どんなものでも、テストで満点取るのって難しいですよねorz

次回、イツカナがここにいなかった理由とか!

どうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ