49-6 エアリーさんのサプライズ・おかわり!
おれたちは事前にアスカから聞かされていた。
『前回のでデータは取れたから。今回は大丈夫のはずだから』と。
はたしてかれらは、やってくれた。
ミライとソナタは危なげなく踊り終え、おれたちは拍手を送っていた。
イツカはひゅーひゅー。エアリーさんたちはやったーと手を打ち合わせる。
ミズキは優しく顔をほころばせ、シスターズの三人ははなやかに歓声を上げる。
「よかったわ、うまくいって。
ところでシュナちゃん、コユキちゃん、ヒトミちゃん。
せっかくだから踊ってみない?」
するとエアリーさんが、そんな三人に声をかけた。
「えっ、あたしたち、ダンスはよく知らないですし……」
「それにあの、踊ってくださるお相手も……」
「ドレスとかも、持ってないよ?」
すると待ってましたとばかりにレオナさんたちがとりだしたのは。
「じゃーん! 作っちゃいましたー!」
「ええええ?!」
なんと、赤青黄色の可愛いドレス。
それぞれスレンダー系、清楚系、キュート系。明らかにこの三人をイメージして作ったものだ。
「着てみてもしイマイチなら、リメイクするから!
踊るのは心配ないわ。ここにいる素敵なお兄さんたちがリードしてくれるから、全部お任せすれば大丈夫よ。ね?」
「ええええ!」
今度はイツカが驚きの声をあげた。おれも予想外のことに驚いてしまう。
しかし、ミズキは動じた様子もなくニッコリ。
「そうだね、そうしてもらえたら俺たちの練習になるし。
ありがとう、エアリーさん。では……
プリースト系どうし、お相手を願えますか、コユキさん」
そうして、コユキちゃんの前ですっと膝をかがめ、手を差し出す。
コユキちゃんはぱあっとほほを染めるけれど、その視線は気づかわしげに二人の仲間たちへ。
こうなったらおれたちも勇気を出さないわけにはいかない。
「それじゃ、おれはクラフターのよしみで。ヒトミちゃん、お願いします」
「シュナちゃん、俺とっ! ハ、ハンターどうしだし。えと、お願いしますっ!」
果たして、三人の返事は。
「は、……はい……!!」
「えへっ。よろしくね、カナタお兄ちゃん!」
「オッケーですが、イツカお兄ちゃんは噛みすぎです! テイクツー、はい!」
「えええちょっ……やるの? やんなきゃダメ~?
にゃあああ! えっと、シュナちゃんお願いしますっ!!」
「にゃああとえっとはなしで! テイクスリー、はい!」
「お願いしましゅっ!!」
「惜しい! もう一度!」
「おにゃっ」
「猫にならなーい! ワンスモア!」
「にゃああ!」
いちおう、月萌最強ハンターのはずの男は、勘弁してーとしまらない鳴き声をあげる。
ひつじ牧場野外ホールは、明るい笑い声に包まれた。
なおイツカの名誉のために付け加えておくと、ダンスそのものは申し分なかった。
あとは、帰ってから特訓である。
こういうのもたまには、動画のネタとして悪くない。
おれはこっそりとほくそえむのだった。
ご心配おかけしております……m(__)m
朝早いうちはだいぶ楽なので、少しずつお話を進めていく所存です。
次回、アスカ視点。仲間たちの応援と、粋な計らい。そして卒業試験(学科)の結果は?
どうぞ、お楽しみに!




