Bonus Track_48-2 きみはおひさま~ルナの場合~
「ちょっと! ホンキなの?
そうでなくても忙しいってのに、あたしたちのラストライブまで出るとか。
そんなの、どう考えたって無茶でしょ!」
るかは慌ててる。
さっきアスカくんからきた、メールが原因だ。
それにはこう書いてあった――『イツカナがラストライブ出たいってさ。今なら話せるからコールしたって!』
その瞬間、るかは連絡先の一番上をタップ。カナタくんにコールをかけた。
ワンコールでカナタくんがでてくれて、その瞬間にるかはまくしたてはじめた。
そのほっぺたは今日も、ほんわかあったかな色。
でも、カナタくんのとなりに座っているイツカくんをみたら、わたしの胸もあったかになった。
ちっちゃく手をふったらイツカくんもニコッと笑い返してくれて、なんだかほんわかしあわせ気分。
『出るっていっても、前座でちょこっと歌わせてもらえたらってだけで。
本格的に二人とセッションするには準備がたりない。それはもちろんわかってる。
だから、花束を渡すみたいな感じで。
アイドルバトラーとしてのおれたちの原点って、ルカたち『しろくろウィングス』でしょ。いまのおれたちがあるのは二人のおかげだと思う。
そのほかのことでもいっぱい助けてもらってるし。そのお礼の気持ちを歌いたいんだ。
……ダメかな?』
と、カナタくんがにっこり笑った。
いつものすてきな『うさプリスマイル』。
まるでほんとに王子さまみたいなこの微笑みに、るかは弱い。
もごもご、赤くなって口ごもってしまう。
「う……断れるわけないじゃない、そんなの……
でもせめて、ビデオメッセージってカタチじゃダメなの?
リアルタイムで来たら、ステージに押し上げられることもあり得るわよ。
あんたたちなんだかんだノリがいいから、やっちゃうでしょ、そうなったら。とくにイツカ!」
『たしかにイツカはノリで生きてるからね。
そこはおれがなんとか踏ん張るよ。
だいじょうぶ、これ言い出したのおれだから』
「え……………………」
るかはフリーズしちゃう。たしかにカナタくんが『むちゃ』をいいだすなんてめずらしい。でも、それって。
「それだけいっぱい、感謝してもらってるってことだよね。
歌ってもらお。こまかいとこはわたしたちでなんとかする。ライブステージにあげられちゃっても、わたしたちでまもってあげよう。
わたしもふたりの歌、ききたいし!」
「るな……
そうね。じゃああたしたちは、その分もっと張り切るわ!
いいっ、あんたたちの本領はアイドルバトラーなんだから。
落ち着いたら試合とセッション、いいわね?
――そうしてもっともっと世界を魅了してくわよっ!
戦争してる暇があるなら、あたしたちのステージを見に来たいって思えるくらいにね!」
『おー! それいーじゃんっ!
やろうぜやろうぜ!』
わたしの言葉で火が付いたるか、瞳をキラキラさせて立ち上がる。
画面の向こうでイツカくんも立ち上がった。
うん、やっぱりかっこいい。
胸のぽかぽかが、一気にドキドキにかわる。
「わたしもがんばる!」
そう言ったら、イツカくんはあの太陽みたいな笑顔をむけてくれた。
そしたら、全身がぽかぽかになった。
うん、やっぱり、だいすき。
はやく、卒業したいな。
そうしたらわたしたちは、ソレイユ・プロダクション所属のアイドルになる――また、イツカくんたちといっしょになれる。
いっしょにレッスンしてトレーニングして、勉強もして。
カレッジも、一緒に入学したいな。
もちろん、Ω制廃止や、世界平和のお手伝いもめいっぱいして……
そんなふうにぽわぽわしながらもスケジュールとかをすりあわせ、通話を終えると、るかがわーんとわたしに抱き着いてきた。
「るな~!
どうしよう、どうしよう!
カナタのばか……もううれしすぎ……
本番もしかして泣いちゃうかも……あ~~どーしよ~!!」
「いいじゃない、泣いても。
よかったね。るかがいっぱいがんばったからだよ。おめでと」
るかはいちおう、お姉さん。でもこんなときは妹になる。
かわいい妹の背中をポンポン、つやつやの羽根をなでなでして、わたしはいっぱいのしあわせをだきしめた。
ひたすらほのぼのでありました。
やっぱり『くぐつ』の話は出なかったね(爆)!
次回、久々に国会行きます。
いやホントはほぼ連日行ってるんですけどね。
どうぞ、お楽しみに!




