Extra Stage_ツクモエもりのうどんまつり〜くろねこイツカ、にどめのふゆ〜
・今回は500回記念の番外編です!
・本編とはあまり関係がないもふもふほこほこ、どうぶつ童話です。
・ねこねこ、こねこね、ふみふみです。
・「ただ、うどんがたべたかっただけなんや!!」と犯人はきょうじゅつしており(ry
ツクモエもりは、ふゆまっさかり。
ゆうべはちらりと、ゆきがふりました。
だれかがちいさく、くしゃみをしました。
「へくちっ!」
「くしゅっ!」
ここでいっかい、あそこでひとつ。
とたん、ツクモエもりはわきたちます。
「あ!」
「くしゃみだ!」
「うどんだ!」
「みんな! うどんまつりだぞー!」
「わーい!!」
すると、みんながいっせいにばんざいします。
いつもクールな、もりねこのフユキくんもうれしそう。
ゆうがなみけねこリンカちゃんと、リンカちゃんのおとうとのしろねこトラオくんも、ぱぱっ、とおこたからでてきます。
やまねこのアオバくんも、うれしそうにぴょんぴょん、とびはねます。
「うどんまつり?! やったあ!
これでまた、ミツルにあえる!」
アオバくんには、はなれてくらす『だいしんゆう』がいます。
タンチョウヅルの、ミツルくんです。
わたりどりのミツルくんとは、ふゆだけしかあえません。
でも、ミツルくんたちは、『うどんまつり』がだいすきです。
だから、まいとしこのころになると、ツクモエもりにやってきてくれるのです。
アオバくんはもう、うきうきわくわくです。
いっぽうで、きょとんとしているこもいます。
「えっ? えっ?
『うどんまつり』って、なんだろ?」
そう、きょねんの『すばらしっぽまつり』でゆうしょうした、くろねこのイツカです。
なかよしトリオのいっぴき、ちゃいろいしばいぬのミライが、やさしくおしえてくれます。
「そっか、イツカはきょねんのふゆ、しゅぎょうのたびで、いなかったっけ。
あのね、『うどんまつり』っていうのはね、みんなでざいりょうをもちよって、おっきななべでぐつぐつにこんで、うどんをつくってたべるおまつり!
こころもからだもぽっかぽかになって、はるまでのあいだ、みんな元気でいられるんだよ!」
「なるほど! じゃあおれ、でっかいえものをとってくるよ!」
「それはだめだ」
イツカはいきごみますが、うしろからだれかが、それをとめます。
ふりかえればそこにいたのは、ミライのお兄ちゃんで、イツカのおししょうさまの、ノゾミさんでした。
ノゾミさんは、おおきなきつねのしっぽをふりふり、イツカにこういいます。
「イツカ。おまえたちネコには、だいじなやくめがある。
むらのひろばにいって、みんなをてつだうんだ」
「ええ〜。おれも、かりにいきたいよ〜!」
やんちゃなイツカはごふまんです。
でも、ノゾミさんはきっぱりといいます。
「なにをいってるんだ。
『うどんまつり』がせいこうするかどうかは、おまえたちのはたらきにかかってくる。
だいじなだいじな、『にんむ』だぞ?」
そうきいてしまうと、イツカはがぜん、やるきになっちゃいます。
「わかった! おれ、がんばる!!」
にゃーん! とげんきよく、ひろばにはしってゆきます。
そのせなかをみおくって、ノゾミさんはやさしくいいます。
「ミライ。カナタたちといっしょに、はたけにいって、だいこんをとってきてくれ。
いちばんおおきい、おいしそうなやつをたのむぞ。
お兄ちゃんたちも、がんばってくるからな」
「うんっ!」
ほんとうなら、しばいぬのミライも、かりにいくべきでしょう。
けれど、おっとりとしたミライは、かりにはむきません。
むしろ、なかよしトリオのもういっぴき、たれみみうさぎのカナタといっしょに、はたけのおせわをするほうがむいています。
だからノゾミさんは、ミライをはたけにいかせました。
ふりふりと、うれしそうにゆれる『まきしっぽ』をみおくって、ノゾミさんもかけだしました。
ノゾミさんたちがかりにいき、ミライたちがはたけにいったころ……
イツカはなかまたちといっしょに、ひろばではたらいていました。
おおきなおおきなボウルのなかに、うどんのこなをいれます。
ついで、すこしのしおみずをいれたら、みんなでいっしょに、こねこねです。
こねこね、こねこね。
こねこね、こねこね。
ただ、ふしぎなことに……
おおきなボウルのまわりには、ねこ、ネコ、ねこばかり。
イツカはくびをかしげて、ききました。
「なあ、どうして、みんなネコばっかりなんだ?」
するとみんなはくちをそろえます。
「ねこといえば、うどんをこねるものだろう?」
イツカはさっぱりわかりません。
それでも、うどんのこながすこしずつまとまってくると、だんだんたのしくなってきました。
やがてひとまとまりの『きじ』になったうどんのこなを、みんなできれいなぬのにつつみます。
そうして、おおきなおおきな、きのいたのうえに『えいやっ』とおいて、ぽんぽんとうえにのっかります。
「イツカ、ふみふみするぞー!」
「よっしゃー!」
ツクモエもりのねこたちは、こんどはみんなでふみふみです。
ふみふみ、ふみふみ。
ふみふみ、ふみふみ。
イツカたちのよこでは、おおきなかまどにかかったなべに、きれいなみずがいれられています。
ミライたちがはこんできた、いろんなやさいも、どんどんきられて、おなべのなかへ。
はたけでとれた、だいこん、にんじん、さつまいも、かぼちゃ。
すなのなかからひたすらほって、ほってほってほりだした、ながーいながーいごぼう。
つめたーいぬまにつかって、うんしょっとひきあげてきた、れんこんもあります。
たったいま、けずったばかりの『けずりぶし』や……
こんにゃくいもからつくったばかりの『たまこんにゃく』も、ぱらぱら、ぽんぽんといれたら、かまどにひをいれます。
くつくつ、くつくつ。
おなべがだんだん、にたってきました。
ふみふみ、ふみふみ。
イツカたちはうどんをふみふみ。
くつくつ、くつくつ。
ふみふみ、ふみふみ。
そうしているうち、ノゾミさんたちがかえってきました。
てぎわよくきりわけたおにくにおしおをつけて、にえたつなべにぽんぽんぽん。
からだのあたたまるしょうがや、おさけをしぼったあとの『さけかす』、にこむとあまーくなるおねぎもいっしょにいれて、ぐつぐつ、ぐつぐつ、にこみます。
イツカたちはというと、まだもうすこし、ふみふみです。
ぐつぐつ、ぐつぐつ。
ふみふみ、ふみふみ。
そのうちに、おにくもしっかりにえたみたいです。
おなべから、とっておいしそうなにおいがただよってきました。
「カナタ、『おみそマシーン』をたのむ!」
「まかせて!」
なかよしトリオのひとり、たれみみうさぎのカナタが、ぬのをかぶせたなにかを、よいしょよいしょとおしてきました。
ぱっ、とぬのをとってみると、あらわれたのはおおきなやぐら。
そのわきっちょには、カナタがさんにんくらいすっぽりはいれるくらいのおおきなおたまと、おなじくらいにおおきなおはしがぶらさがっています。
まずはみんなで、おたまにおみそをいれます。
おみそをいれおわり、みんながじゅうぶんなきょりをとったら、カナタはぽちっと、てもとのリモコンのボタンをおします。
すると、おたまがぐいーんともちあがり、おおなべのなかへ。
つづいてふたつめのボタンをおすと、おはしがもちあがり、おたまのなかへ。
みっつめのボタンをおすと、おはしがおみそをといていきます。
じつはこれは、だいはつめいなのです。
『ふゆのうどんといえば、みそにこみうどんだよね。』
そうおもいつつもみんなは、このときだけはちょっぴりがまんするしかなかったのです。
なぜって、ぐつぐつにえてるおおなべのうえで、おみそをとくのはとてもあぶないこと。
もしもおなべのなかにおっこちたら、じぶんがおうどんのぐになってしまいます。
だからこれまで、うどんまつりといえば、おみそなしうどん。
どうしてもみそうどんがたべたーい! というばあいには、じぶんのおわんのなかで『ちょこちょこっ』と、おみそをとくしかなかったのです。
けれど、ことしはちがいます。
ちいさな『てんさいこうさぎ』から、りっぱな『はつめいかうさぎ』にせいちょうしたカナタが、おみそマシーンをつくってくれたのです。
これで、だれも『ぐつぐつ』にこまれるしんぱいなしに、みそにこみうどんをたべられるのです!
そうしてぶじ、おみそがときおわったら、ほんじつのメインイベントです。
ツクモエもりのねこたちが、みんなでこねこね、ふみふみつくったうどんのきじが……
するどいつめですぱすぱときられ、みごとに『めん』のかたちになります!
『めん』をいくつかのかたまりにわけ、くるくるっとまるめたら、ぽーんぽーんとおおなべのなかへ!
おおきなおおきなふたをして、かまどのひがきえてしまうまで、ゆっくりぐつぐつ、にこみます。
まないたやほうちょう、ボウルやおおきなぬの、おみそマシーンなどをあらってかたしおわったころ、かまどのひがきえました。
すなをかけ、しっかりとひをけしたら、さいごのひとふんばり。
ちからもちのどうぶつたちのてで、おおきなおおきなやぐらがはこばれてきます。
やっつにわかれたやぐらで、かまどをかこみ。
じょうぶなつたでしっかりとしばりあわせると、みんなでやぐらにのぼります。
「さあみんな、おわんとおはし、おたまをくばるよ!」
シロフクロウのミソラさんたち、そらをとべるとりたちが、ちからをあわせてしょっきをはこんでくれました。
とりたちのなかには、ミツルたちタンチョウヅルも、ちゃんといます。
「さあ、みんなしょっきをもった?」
「はーい!」
「おなかはすかせた?」
「もっちろん!」
ミソラさんのかけごえに、みんながげんきにこたえます。
そのなかには、ツクモエもりのめがみさま、やさしい『マザー』もちゃんといます。
「それじゃあ、こえをそろえて! せーの!」
「いただきまーす!!!」
ツクモエもりのじゅうみんたちは、ことしもこうして『うどんまつり』をたのしみます。
そうしてみんななかよく、はるをまつのです。
もちろん、はるがくればわかれもあります。
タンチョウヅルのむれが、きたにかえれば……
アオバはしんゆうのミツルと、またいちねんのあいだ、おわかれです。
それでも、つぎのふゆも、そのつぎのふゆも、またいっしょにあそぼうねと、ふたりはあたたかいうどんをたべながら、やくそくするのです。
そのすがたをみながら、イツカはおもいます。
はるがくれば、また『すばらしっぽまつり』がひらかれる。
アオバはそのときに、きっと『そらをとべるはねがほしい』とねがうだろう。
もちろん、おれもがんばるけれど……
つぎのたいかいは、アオバがゆうしょうするといいのにな。
おれは、しんゆうのミライやカナタが、いつもいっしょにいてくれるのだから。
「どうしたの、イツカ?」
「おかわり、よそう?」
すると、カナタとミライが、やさしくこえをかけてくれました。
「ううん、なんでもない。
さっ、どんどんたべて、もっともっとげんきになるぞー!」
「おーう!」
なかよしトリオはげんきよく、『みそにこみうどん』のおおなべにむかうのでした。
おしまい
おかげさまで昨日よりは少し良くなりました。
きっと明日には治るはず!
次回は本編、うさうさしいサプライズ訪問です。おたのしみに!




