47-1 SFの国のアリス!(※ただし、アリスなし)
早速の修正すみません、次回500回なのでなんか番外編書きます!
イズミとの対面は本編次回ということでご了承くださいm(__)m
「え」
「えっ」
「これイズミ……だよね?」
アスカたちとの、こなこなバトルの翌日。
昼ちかくに突然送られてきたPVを見て、おれたちは度肝を抜かれた。
暗い室内にくっきりとした光が差し込むと、壁際にふたつの立ち姿が浮かび上がる。
艶やかな黒のインバネス、揃いのシルクハットで決めた、黒うさぎ装備とオレンジ狐装備の二人組だ。
二人が帽子を取って一礼すれば、黒うさぎは眼鏡、オレンジ狐は片眼鏡、二人ともに金青のオッドアイであるのがわかる。
オレンジ狐がすっと帽子をかぶり直す。
対して黒うさぎは、一歩を踏み出しながら、ノールックで帽子を相方に放る。
オレンジ狐がそれをうけとり、自分の帽子の上にぽんと重ねておどける一方、黒うさぎはふいとかき消えた――黒のインバネスだけを、抜け殻のようにその場に残して。
インバネスが床に落ちて3秒後、オレンジ狐の背後の闇に、閃光のラインがいくつも走る。
ラインに沿ってバラバラに斬られた壁面が、外側に倒れ落ちてゆけば、周囲360度は一瞬にして、満月を抱いた百万ドルの夜景とかわった。
空を地を跳ね回るのは、変形燕尾服にうさ耳しっぽのシルエット。
星屑のような光をちらしつつ、ビルの壁面を軽く蹴る。
そうして宙を舞い始めるや、青白い光が六つ現れる――大きなうさ耳のさきと、ちょこんと尻尾をのぞかせた燕尾服の裾、そして可愛いうさ足シューズの裏面から。
スラリとした身体はすいと加速。動体視力の限界を越えて消えてゆく。
その一秒後には別の場所に現れて、キラキラと宙に舞う。
壁から壁へ。地上から、屋上へ。一通りはねまわった黒うさぎは、相方のもとに急降下。その一風変わった装備が明らかになる。
軽く広がった裾の変形燕尾服の下は、ひどく毛足の短いモフリキッドアーマー。スリムな身体に張り付くようなツナギタイプのそれは、SFアニメに出てくるボディースーツみたいだ。
ならば剣もビームサーベルふうか、と思ったら、彼は武器を持っている様子がない。というか、剣帯さえも帯びてない。
よく見れば手首に装着された、白く大きな折り返し袖が剣呑な光を帯びている。
なるほど、そこにブレードを仕込んでいるという訳か。
大きな黒のうさみみの先に、微かに銀色をはじく部分があるが、もしかしたらそこも切断力を発揮するのかもしれない。
はっきり言って、斬新だ。
けれどクールな表情の黒うさぎ――イズミにはものすごくよく似合う。
驚きはそこで終わらなかった。
脇腹で揺れる小さな懐中時計。それに手を触れると、燕尾服さえぱさりと落ちる。
そうしてふたたび地を蹴ったイズミのすがたは、今度こそまったく視認できなかった。
ただ、イズミが地を蹴ったあとに残される星屑エフェクトだけが、彼のいた場所を知らせるのみだ。
「まじか……ぜんっぜん見えねえ……」
「イツカも?」
もちろんおれにもまったくみえない。
なるほど、物理装甲をギリギリまで削ぎ落とし、加速装備とブレードだけを身につけることで、ひたすらにスピードを突き詰めたというわけだ。
ぶっちゃけ怖い位の紙装甲だが、あれくらい早ければ、回避すら考える必要がないので合理的とも言える。
実際、防御力の点でも不安はないだろう――彼の背後には腕利きのクラフターがいるのである。
それも、自分で完全に身を守れる実力の持ち主が。
いましも画面の中、SF風味の黒うさぎは、信頼するオレンジ狐のもとに戻ってきた。
見た目ちょっと寒そうなその姿を、オレンジ狐が自分の外套のなかにくるんでやって、どこまでもスタイリッシュにPVは終わった。
イツカがうめく。
「すっげえ……バトりてえ……」
「勝ちの目が全っ然見えないけどね……」
ニノ「うさちゃんフォームは無敵だから最後の手段でオナシャス」
書きながら『装甲0だと最強になるクラスがあるRPG』を思い出してました。
昨日日間PVが天元突破(当社比)しており驚くやらありがたいやら……!! ありがとうございますっ!m(__)m
本編次回、イズミ本人との対面、そして……?
どうぞ、お楽しみに!




