46-7 はちゃめちゃバトルでストレス解消!
「ふふー。さーイツにゃんがんばってー!
イツにゃんが負けるならおれテラまた撃たなきゃだからねー。今度は<比翼>強化バージョンだけど」
「それはやめてっ!!!!」
アスカが神聖強化をかけつつニコニコのたまえば、イツカは一転涙目に。
二発一組で桁違いの威力を叩き出す<比翼>。さらに強化したっていったらどんなことになっているやら。
しかもアスカはS級プリースト。さらにそこに神聖強化をかけてくる可能性すらある。いや、ぜったいそのつもりだろう。だってイツカの尻尾がぶっとい。
というわけで、ここはおれの出番のようだ。
「安心してイツカ、おれにも『完全爆破防御』はあるから。
うっかりじゃなくてちゃんと降参するなら、おれが守ってあげるよ」
「まじかー! じゃあこれ終わったら降参するー!!」
「ちょっと待てー!!」
ハヤトが突っ込む――器用にイツカと斬りあいながら。
お互いに、もう剣先は見えなくなりかけ、周囲に衝撃がガンガン飛んでいるというのに。
「だいじょうぶだよハヤト。イツカは『これ終わったら』って言ったでしょ。
イツカがやっとこぎつけた剣士バトルを放棄するわけがないよ。相手がハヤトだったらなおのことね」
「そ、そっか……」
とたんにハヤトのふさ尻尾ははたはた。ほんとにわかりやすい。
するとアスカがちょっとむくれる。
「むう……ハーちゃんやっぱおれの味方になんない? イツにゃんあげるから!」
「バトルどーなるんだよ??」
「えーと、それはそれ、これはこれでっ!」
こうなるともう訳が分からない。でも、まあいいか。
今日は気晴らしのための、遊びのバトルだ。気の向くまま、気軽に楽しくハチャメチャに。
「ねえアスカ、それじゃもうこの二人はこの二人で、おれたちはおれたちで楽しくやらない?
とりあえず、勝った方がモフモフってことで」
「さーんせー! それじゃさっそくテラフレア~」
「やめろおおおお!!」
「ボムと見せかけて小麦粉ボーム!」
楽しくやろうという提案にアスカは全力で乗っかってきた。
みためテラフレアボムにそっくり。なかみは小麦粉という、お笑い系ボムをぶちかましてきたのだ。
いやいや、コントかこれは。あたりはあっという間に真っ白に。
「にゃああああ!!」
「げほっぶほっ」
もちろんこの爆殺ウサギのことだ、足元に粉塵操作か何かの陣を描いて粉塵爆発を狙うだろう。よっておれの選択肢は一つ。
足元に粉塵操作の陣を現出しつつ、『玉兎抱翼』発動。白く大きく変わった耳翼をめいっぱい引いてばさり、そこらの小麦粉をまとめてアスカにお返しした。
「『玉兎抱翼』! ふきとべー!!」
「ぶは!」
「あ、アスカが埋もれたー!!」
「おい、大丈夫か?!」
すると、おれの後ろから声がきこえてきた……
「と見せかけてー後ろからのひざカックン!」
「残念。それは幻覚だよ!」
おれがいるよりだいぶ後ろ。おれが幻像を残していたあたりから。
しかし、アスカは一枚上手だった。
「ふははは、おれも幻覚なんだな!」
なんと、幻のおれに襲撃をかけたのは、アスカの幻像だったのだ!
本体は小麦粉の山の上、不敵に笑いを見せている。
「ぬふふふふ」
「ふふふふふ」
おれも不敵に笑い返す。面白くなってきた。
「うわーアスカ小麦粉ですっかり白うさぎになってる……カナタも……」
「もとからだろ……っていうかお前も白猫になってるぞイツカ」
「ハヤトも白狼じゃん! 完全冬仕様! あ、ストップブルブル禁止! はい、チーズ!」
イツカはうれしそーにスクショを撮り、しかるのち「あーだめブルブル禁止! そのまんま!! そのまんまで!!」とむちゃぶりをのたまいながら、ハヤトとのバトルを再開したのだった。
すごく……こなごなしいです……orz
次回、戦い終えて、聞く決意。
どうぞ、お楽しみに!




