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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_44 月萌杯突破記念パーティーにむけてのあれやこれ~高天原学園生たちの場合~

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44-5 名付けて、『うさねこ社交ダンス部大作戦』!!

「ん・な・わ・けないだろこのおばかにゃんこ!!」

「ミ゛ャー!!」


 その直後。

 おれたちは改めて合流。ヴァルハラフィールド内のミーティングルームで、現状確認とともに善後策を考えてみることにした。

 一時から一時間程度の授業と、見学者ブースでの短い話が終われば、ソナタとの約束までは三時間あるが、アスカとハヤトはこれを見越していたのだろう。授業をとらずにおれたちを待っていてくれた。


「ったく、よりにもよってそっち行くとか。

 だったらきみとカナぴょんなんか100回くらい結婚してなきゃでしょーが!」

「ええええ?!」


 ユズキさんは先生方にご挨拶をしてくるからという理由で席を外してくれた。進捗を携帯用端末ポタプレで報告し合い、合流できるようなら合流して帰ろう、というゆったりしたスケジュール感だからこそのこの惨状である。


「だいたいそんなんだったらだれも苦労してないっての!

 まったく、ハヤトから悪い虫をよけられ、かつ決定的な誤解を避ける塩梅を保つのにおれがどんっだけ苦労してきてることかっ」

「うに゛ゃー!!」

「ねえカナタ、何が起きてるの? まだ後ろむいちゃだめなの?」


 おれの腕の中、人耳と犬耳をふさいだミライが心細そうな声を上げる。

 そろそろ潮時とみたおれは、背後で『おにおこ』中の白ウサギに声をかけた。


「アスカ、その辺にしてやって。そろそろミライが限界だから」

「あ、あ、ああごめん。ちょっと待って……いいよ」


 アスカがおしおきの聖静籠サイレントケージ逆さ吊り版を解除すると、ぼとっとイツカが落ちてきた。


「ほらミーたんが心配するでしょ。シャキっとする!」

「うえええ……」

「……。」


 アスカは意外なパワーでイツカを立たせてびしっと活を入れ、ハヤトは頭痛いといった様子で眉間をもんでいる。

 何が起きたのか。イツカがやらかしたのである。



 アスカの『売約済み』という言葉に対し、リュウジ氏があたかもその意味するところであるかのように口にしたのは、その『言葉』そのものについての一般論。

 正しくは字義通り、イツカが直感した通り。すなわち『売買契約締結見込みとみなされた人物である』ということだ。


 イツカを含むおれたちは、この事実をとっくに知っている。

 アスカはトラップクエストで最下層に堕とされ、ハヤトは相棒アスカの自由をあがなうために莫大な借金を負って国に縛られる――つまり『アスカはΩ(オメガ)としてハヤトに売り渡される』。そういうシナリオを描かれていた。 

 タカシロ赤竜管理派。つまり、リュウジ氏が長を務める者たちの手によって。


 なのにイツカのやつめは、とんでもない方向に発想を吹っ飛ばした。

 そして合流後、開口一番のたまったのだ。


『アスカ、ハヤト! おまえたちってば実は婚約してたんだな!』


 ……あとは見ての通りである。



「ええ、だってさぁ……おじさんの言ってたのってアスカに婚約者いるってことじゃん。で、アスカと一番仲いいのってどうみてもハヤトだし……」


 その爆弾発言の瞬間みごとにフリーズしたハヤトだったが、いまはいつもの仏頂面。けれど背中に隠した狼しっぽは小さくゆらゆら。『相棒アスカと一番仲がいい』と言われたことがすっごく嬉しいらしい。

 気持ちはわかる。なぜって、おれも試合後の相棒イツカとハヤトの仲良しっぷりを見るたびに、いまだに胸のお餅が焼ける。

 でも、へたに口に出すとしっちゃかめっちゃかになりそうなので、ここは黙っておく。


「だとしてもあいつらがそれを認めると思う?

 自分の都合で不老不死を手放しておきながら、定命だ、血を残せだ……だったら自分が一人でも腹を痛めて産んでみろってんだ。

 ったく、おれが『エンジェルティア』クリアしたとたん掌返しやがって」


 アスカの言いようは手厳しい。たしかにタカシロの祖は、自らの意思で女神から与えられた不老不死を手放した、ときいているけれど。


「まあいいや。いまは君たちだよ。

 悔しいけれど、あいつの言うことはそんなに間違ってない。

 いくら月萌杯突破者とその家族とはいえ、この短期間でヴェニーズ・ワルツを踊りこなすなんて無理ゲーじゃないか、というのが世の大方の見解だ。

『常人でも1、2カ月で踊れる人もいるのだから、君たちなら余裕だ』と言ってくれてる専門家もいるけれど、やはり少数意見だね」

「あー……」


 おれとイツカはうなずき合う。


「イツカ目が回るって言ってたよね……」

「カナタめっちゃ恥ずかしがってたよな……」


 しかしはああと漏れたため息は、気合の入った一言によって途中で消えた。


「でも、おれはやりたい!

 ソナタちゃんが頑張ってる限り、おれもいっしょにがんばりたいっ!!」


 ミライだった。大きな瞳を目いっぱいきらめかせ、小さなこぶしを固め、むんっと大地に両足を踏ん張る姿は、かわいらしいながらも気合充分。

 黒柴先輩イワオさんにもけして負けない、りっぱな猟犬の風格だ。


「おれね、おれ、がんばるから!

 どんくさくって、ぶきようで、ダンスとかちょっと、苦手だけど……

 だったらそのぶん練習する! いっぱいいっぱい練習する!!

 だからおねがい、あきらめないで。『お兄ちゃんたち』がさきに、あきらめないで……!!」

「ごめんねミライ。そうだよね、おれがまずはだれより頑張らなくちゃだね!

 ため息ついてなんか、いられないよね!!」


 そうして放たれた心の叫びを聞いたとたん、おれはミライの両手を取っていた。

 そうだ、おれたちはそもそも、ソナタを助けるために。そして、ミライを救うためにとここにきたのだ。それが無理ゲーだなんだなんて、言ってはいられない!

 イツカも大いに心を打たれたようす。ミライの肩に手を置いて、ごめんなと謝る。


「そうだったな。ごめんなミライ。

 そうだよな。最初っからあきらめてたら、できるもんもできねーよなっ!

 いっちょ気合入れていくかっ!!」


 するとアスカはいい笑顔で笑った。


「よっしゃよっしゃ~。

 カナぴょん、このあとソナタちゃんと会う予定だよね。

 そのときに確認してくれる? いつからダンスを始めてるのか。

 それと、レッスン動画のアップをお願いしてくれるかな。

 鍵付きでもいいし、編集や公開をこっちに投げてくれてもいいから、できるだけこまめにほしいんだ。

 あ、きみたちミライツカナタは鍵なしでの毎日公開マストだからそのへんヨロシク!」

「念のため聞くけど、ソナタの動画をどうするの?」


 ソナタはアイドルを志す世界一の美少女。ミッドガルドでの活躍は、今や月萌じゅうのファンの熱い注目を浴びている。

 だが、それとプライベートの動画をさらしていいかはまた別だ。

 アスカがよからぬことに使うとは思えないが、兄としては一応確かめておかねばならない。


「もっちのろん! 動画配信で全国に流すのさ!

 可愛い小学生の女の子が毎日けなげに頑張る姿を見て、それでもやめろと言えるなら言ってみろってなもんだからね!

 さらに、そいつを見てうまくリードできるよう、必死に練習する可愛い恋人カッコ中学生カッコとじるの姿をセットにすれば、月萌中が二人の味方になる。

 一週間もしてごらん、最悪『多少下手でもそこがいとおしい』って世界中が言うようになるよ!

 名付けて、『うさねこ社交ダンス部大作戦』!!

 イツにゃんとカナぴょんは、ふたりに見劣りしないように頑張ってね。

 るーるーたんずにもレッスン動画公開お願いする予定だから、再生回数二倍差は仕方ないとして、三倍開いたら罰ゲームね♪」

「ええええ?!」

「あー、えっとー、おお俺たちってたしかすっげーえらいひとだったよーな」


 イツカが目を泳がせてそんなことを言うが、むしろ逆効果だった。


「いやー、子供のくせにえらいひとがどーのこーのって結構人気のコンテンツじゃん?」

「よくわかんないけどヤバい予感しかしない!!」


 イツカが黒猫の耳をぺたんこと折って震撼する。おれも全く同意見だ。

 やさしいミライはちょっとおろおろ。


「え、え、やばいのっ? おれ、あんまりがんばっちゃだめかな??」

「だいじょうぶだよミーたん。そうしたらミーたんが『ミライツカナタ』の長男になるってだけの話だからね」

「えっ、おれがお兄ちゃんになるの? だったら、がんばっちゃおうかなっ!」

「ええええ!」

「うそだ! ぜったいうそだ――!!」


 最後はそんなふうにわちゃわちゃとなったけど、ふいにアスカは言った。


「……まあ最悪ね、ズルする方法もないではないんだよ。

 けれど多分、それはヤバいと思う。

 変なお助けソフトとかインストールしたり、絶対しないでね。

 どうしても必要ならおれたちで絶対に信用置けるの作るから、無理っぽいと感じたら包み隠さず相談してね」


せつめいってむずかしい!

そしてなぜか急に長くなる!!

しろうとゆえのあるある連発です。


次回、動き出す大作戦! 予定! いやほんと動き出して(爆)

お楽しみに! 

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