Bonus Track_41-2 削除済みメールボックスより~ミツルへ、もしくは、一文字だけ誤字のあるメール
かえすがえす俺は、ほんとうに馬鹿なやつでした。
それでも、ミツルはそんな俺を、思いつづけてくれていた。
自分が甘やかしたためだなんて、自分を責めて……
ずっと、ずっと、申し訳ないと思い、心配し続けてくれていた。
すごく、すごく、うれしかったです。
だから、決めたんです。
こんどこそ、ちゃんと生きよう。
ミツルにはもう、俺なんかよりずっとずっとすばらしいバディがいるけれど。
いまはもう、なんにももたない俺だけど。
実験が成功して、新しい人間にしてもらえたなら。新しい人生はぜんぶ、ミツルのしあわせのために捧げよう。
そう、思っていたけれど……
俺に与えられた任務は、ミツルを失望させるものでした。
俺もあこがれていた、イツカとカナタ。
ふたりの掲げた大きな夢を、叩き潰せというものでした。
もう、だめだ。
もう、戻れない。
ふたりにもし勝ってしまいでもしたなら、俺は月萌のほとんどの国民に憎まれて、それこそどこにもいられなくなる。
ミツルもきっと、俺に愛想をつかすことでしょう。
けれど、負けたら廃棄処分です。
形だけのエクセリオンとして、一日だけの栄冠のさきには、袋小路しか待っていないのです。
ミツルとふたりで話すことなんか、ハナからできなかったんです。
ミツルに、名前をもらうことも。
俺はほんとうに馬鹿でした。
自分の意志で全部を捨てた実験体に、夢を見ることなんか許されていなかったんです。
このメールをミツルが見る頃、俺は、この世からいなくなっていることでしょう。
でも、悲しまないで。
俺は、満足しています。
さよなら、ミツル。
ぬか喜びをさせてしまって、失望させてしまって、心からごめんなさい。
高天原のてっぺんは、テンリュウと獲ってください。
そして、ユゾノさんと、どうか幸せに。
最後にミツルとまた話せて、メールできて、充分すぎるほど幸せでした。
ありがとう。
心の底から、大幸せを祈っています。
『 』より
お昼ごろにもう一部分投稿します。
いよいよ決着、よろしくお願いします!!




