表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_40 開催、『月萌杯』!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

429/1358

40-7 『第三試合』勝者、『0-Gけもみみブラザーズ』

 冷たい闇の刃が通り過ぎ、ぶわり。無数の葉が散らされる。

 細い枝たちがいくつも折れ飛ぶ。

 ばきばきと、音を立てて。


 けれど森は、持ちこたえた。

 森を守護する、黒猫の騎士のおかげで。


 はらり。はらり。

 白い花びらが振り落ちた。

 黒の髪に。猫の耳に。

 ありがとうとでも言うように。

 窮地を救われた妖精の姫が、感謝のキスをするように。


 とたん、イツカの『力』が膨れ上がる。

 黒髪すらもなおつやつやと。

 その頭上に、あしもとに、咲き誇る花、花、花。

 これはほかにはない、まぼろしの花だ。

 イツカだけに力を与えるために、おれが創りだしたもの。


 そう、何とか完成してくれたのだ。狩りをする黒猫のための箱庭が。


「イツカ、すこしだけ留守番お願い。

 おれは『銀河姫ミルキィ』を止めてくる!」


 おれは黒の狩衣ふう姿となったやつにそう言い残して地を蹴った。

 高く高く宙に跳びつつ、発動、『玉兎抱翼』。

 おれの服が白の狩衣ふうに変わると同時に、ひざまで垂れた水色の兎耳も、身の丈を超える白の耳翼に。

 ばさりと大きくはばたけば、おれの体は一気に加速。フィールド上空を旋回する『銀河姫ミルキィ』に迫る。

 彼女は梢から飛び出すおれの姿を認めるとすぐ、巡航飛行から高速飛行に移行した。


 けれど、残念なことがふたつ。

 フクロウの飛行速度は、そもそもそこまで突出したものではない。

 さきほど一度、神聖強化ホーリーインフォースをかけていたから100kmは超えているが、その速度はおれも出せる。

 おれのなかにはいま、ナツキがいるのだ。

 すでにパワーの制御を身に着けたナツキは、必要充分なブーストだけをおれにもたらしてくれる。


 そしてもうひとつ残念なことは、ここが屋内だということ。

 煙薬をどんどん焚いていけば、天井にたまりゆく煙が徐々に彼女の移動範囲を狭めていく。

 おれは各種の煙霧薬弾ヴェイパーをマジックポーチからつかみ出し、ばらばらとばらまきながら、逃げる彼女を追いかけた。


「『サクリファイ・フルブレッシング』!」


 それでも空のプリンセスは粘りを見せる。

『オウルクロウ』を利用しての高速降下を駆使しておれを振り切り、果たすべき役目を果たす。

『森の感覚』でとらえた戦況は、再び『青嵐公』に傾き始めた。

 けん制を兼ねて『銀河姫ミルキィ』にメガボムによる連射を見舞ったが、S級プリーストの強固な神聖防壁ホーリーシェルは平然とそれをしのぎ切る。

 これは、新型テラフレアボム<比翼>でも抜けるか怪しく思えてきた。

 白っぽい硬質な輝きの向こう、シロフクロウの姫はちょっぴり不敵に笑う。


「いいの、カナタ?

 森の王さまがこんなに森を離れてしまって。

 にゃんこの騎士さま、きつねの大魔王に食べられちゃうよ?」

「おれはやつに頼みました。留守をお願いと。

 約束したんです。あなたを止めてくるって。

 それがおめおめ逃げ帰ったら、ただの男として恥ずかしいですよ」


 おれも笑い返す。

 こうして話している間も、歌によるTP回復効果は継続していた。しかし、『サクリファイ・フルブレッシング』は放たれていない。

 これだって、立派な『止め方』だ。

 もちろん『銀河姫ミルキィ』がそれに気づいていないわけもない。

 わかったうえでの行動だ――格下のおれたちに、ハンデを与えるという。


 けれどそうしてすこしだけ戦況が凪いだことで、おれはひらめいた。

 おれの目の前にはすでに、ものすごく大きな攻撃手段があったということに。


 プラチナムーンの能力をフルに使い、必要な効果範囲と、それをカバーするのに必要な陣の大きさ、そしてそこに描きこむべき文様を算出した。大丈夫、やれる。

 そうと決まれば即実行だ。『サツキ』『ウヅキ』に『瞬即装填フラッシュ・ロード』。錬成陣発動用の『チカラ』を封じた『エナジーオーブ』を装弾する。

 眼下の森の梢を部分的に紅葉させた。


 大丈夫、錬成陣に必要なのは図形の正確さ。何で描いてあるかは関係ない。

 おれがさきほどしたように、地面の砂に足で描いても。

 ソーヤの初舞台の時のように、炎のリボンで描いても。

 最悪、以前試したように、イメージだってかまわないのだ。

 それは『決められたパターンに、『力』を流す』ためのガイドにすぎない。

 ティアブラシステム内の全オブジェクトがまとうパーソナルエフェクトフィールドに対し、特殊な方法で表面換装マスクエフェクトをかけるための『手順書』なのだ。


 いま、おれが描いたのは退魔円陣キャンセル・サークル

 魔法を選択的に阻害する空間を生み出す陣だ。

 この陣は高度なもので、活性化のためにパワーを流し込むポイントが五つある。

 おれは最初の四つに『サツキ』『ウヅキ』から『エナジーオーブ』を打ち込み、最後の一つにはみずから着地し、地に触れた足から力を流した。

 間一髪、おれの耳翼を『銀河姫ミルキィ』の『オウルクロウ』がかすめたが、陣は完成。

銀河姫ミルキィ』のまとう守りの壁、『青嵐公』にかけられた聖なる輝きは、ひなたのアイスのようにとろけていく。

 それでも、二人は笑顔のままだ。


「あーあ、気づかれちゃったね、ノゾミ?」

「下がっていろミソラ。

 お前に傷なんかつけられたら、俺の自制が吹き飛んじまう」

「りょうかーい。

 無力化されたかわいそうな小鳥ちゃんは、おとなしく応援歌でも歌ってるよ!」


 ひとつには、『銀河姫ミルキィ』にはまだ、『オウルクロウ』という自衛手段、『歌』という応援手段が残っているためでもあり……


「仕掛けてこい、二人とも。

 ミソラの力なら、この退魔円陣キャンセル・サークルは一分で破れる。

 そうなれば、おまえたちに勝機はない。もっとも――」


 そう、いまひとつには。


「その前に俺の剣で仕留められなければの話だがな。

 発動。『レギンレイヴ』」

 

『青嵐公』にはまだ、第二覚醒が残っているためだ。

 正眼に愛刀を構え、おれたちをにらんだかと思うと青白い、神々しい輝きに身を包む。

 青キュウビの大魔王は一等星の輝きをまとい、晴れて大魔神にクラスチェンジしたのであった。


『青嵐公』は変身シーンが終わるのももどかしく斬りかかってくる。

 おれは強化のポーションをまとめて10本、両手でぶん投げる。

 ポーションがイツカの背に着弾するより前に、銘刀『青嵐』はイツカブレードに食らいついていた。


 刀での斬撃というより、バットで殴りかかるかのごとき荒々しい打撃はしかし、『青嵐』をつつむ青白いオーラによって、斬撃と打撃の両属性をもった攻撃として襲い掛かる。

 とっさにグリードが、ため込んでいた『力』を放出してしのいだ。

『青嵐公』が不敵に笑う。


「いい判断だぞ、グリード。

 お前に食える攻撃じゃない。

 おとなしく<比翼>を出してこい。さもないと無理やり食わせるぞ」

『『待て』ぐらいしつけられて来いや野良ギツネ。

 オイ、ヤッていいんだな、カナタ?』


 グリードはガラの悪さを全開にして対抗しつつ、おれに確認を取る。

 おれはもちろん森を解除し、全力で距離を取りつつこたえた。


「いいよ、どーんとやっちゃって。

 あ、とりあえず安全な距離はとってね? 黒騎士が黒焦げ騎士になっちゃうから」

「ちょおおお?!」

『あったぼーよォッ。

 バニティ!』

『『レッツパーリィ』!!』

「にゃああああっ?!」


 その時はじまったのは、予想もしていなかった連携攻撃だ。

 グリードは即座に<比翼>三対を自分の中から引き出すと、バニティに呼び掛けた。

 バニティはイツカの声をまねて<比翼>を点火。

 イツカの背中のレイジが『勝手に』仕事をし、やつをとりあえず安全な場所……つまり、おれのもとまで飛ばしてきた。


「ちょ、えええええっ?!」


 イツカのちょっと間抜けな叫びとともに、起きた地獄の大爆発。

 おれはイツカにはっぱをかける。


「チャンスだよイツカ! ここで仕留めよう!」

「え、あ、おう!!」


 おれたちは二人で宙へ。

 イツカの足裏を蹴ると同時に、ナツキがイツカに乗り移る。

 まっ逆さに跳んでいく足裏に『斥力のオーブ』を打ち込み。


「いけっイツカ――!!」

「しゃああ!! 届け――!!」


「『0-G+』!!」


 おれもイツカと声を合わせて叫んでいた。



 灼熱の火の玉が内側からはじけ飛んだあとには、あちらこちら焦げて、ボロボロになった剣士が二人。

 さきに声を上げたのは、『青嵐公』だ。


「届いたぞ、おまえたち。

 俺たちの心が認めた。お前たちの、お前たちを支える者たちの勝利だと」


 そのうしろ、『銀河姫プリンセス・ミルキィ』も優しい目で微笑む。

 イツカは、肩で息をするばかり。


「おい、まだ落ちないでくれ。勝者はそっちなんだぞ。

 俺は大人だからなんとか必死こいて意地張ってるだけで……」

「よーしそれじゃあ、えいっ」


 すると『銀河姫ミルキィ』、なんといい笑顔でひざカックンを仕掛けた。

 バランスを崩した『青嵐公』をふわりとうけとめ、やさしくひざまくらでヒーリング。

 うう、これはずるい。勝ちといわれたが完敗だ。

 イツカが泣きそうな目でこっちを見てきたので、とりあえずイツカをうさみみロールにした瞬間、高らかにゴングが鳴り、湧き上がる歓声。


 しかしそれらは、響いてきたアナウンスにより鎮火した。



 ――『第三試合』勝者、『0-Gけもみみブラザーズ』、という。


どうにも土日は時間がうまく取れません……。

ともあれVSスノブル、やっと決着です。

次回、まさかの事態が明らかに!

どうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ