40-3 インターバル~作戦会議を手短に?
アスカたちの控え室に顔を出せば、ハヤトのウォーミングアップをアスカが静かに手伝っていた。
顔だけこちらにむけた二人に迎えられ、おれとイツカはすこしぴりぴりした雰囲気の室内へお邪魔した。
アスカがよくきたねーと笑みをくれた。
「おいす、まあまあ座って~。時間ないし、手短に行くよ。
シオンともつめたんだけど、ミソラちゃん先生の決め手はやっぱり『聖域展開』だよ。
『コトダマドライブ』でイツにゃんを止めるには、最速発動速度を出せる『無差別型』じゃないとついていけない。けどそうなると、またあんなカタなしになっちゃう。
次の試合に必要なのは、ハッキリとした決着だ。さもないといらない疑義を出させることになるからね。そのつもりで準備しといてちょ」
「おう、了解!」
「ありがとうアスカ。アスカのお墨付きをもらえて、心強いよ」
「どったま~。
懸念としては、のぞみんの体力の残りが想定より大きい感じなことだ。
ちょっと回復効果がデカすぎたっぽいね」
『まあ精神的にはその分きてるみたいだけどさ~』
にゃはは、とライカの笑い声。
しかしライカはすでに剣の姿になって、控室の壁に立てかけられていた。
いつになくおとなしいのは、ハヤトの集中力をそがないためだろう。
だというのにイツカのやつめは言った。
「なーライカ、今日はねこみみメイド服でコントやんねーの?
レインとか楽しみにしてんじゃね?」
「ぶっ?!」
身もふたもないいいように、ハヤトが吹いた。
不機嫌一歩手前な角度だった狼の耳しっぽが、ぴょっと跳ねてへたんと脱力。
「お、おいイツカ! なんだって俺の剣で……」
「おー、いー感じに肩の力抜けたわー。さっすがイツにゃん!」
『あえてここまでハーちゃんをあやさないでおいて正解だったにゃー!』
「おまえらな……」
いつも通りの晴れやかスマイルにもとったアスカ。
ぽんっと小さな煙を上げて、いつものねこみみメイド服少年の姿になったライカ。
二人に囲まれたハヤトはとほほと脱力していたけれど。
「いい感じに力抜けてるよ、ハヤト。
これなら多少二人が無茶振りしてきても大丈夫だよ」
「そ、そうか……カナタが言うなら信用できるな。ありがとうカナタ」
おれが思ったままに伝えれば、救われたようないい顔になってくれた。
「よーしよしよしそれじゃあ今日は無茶振り三倍でいってみよっかねー」
「おい。」
『にゃはは、いーねいーねー。せっかくの晴れ舞台だもんね!』
「いやまじにちょっと待てっ」
「いーなー俺もまざっていい?」
「イツカはその次試合なんだからやめとこうねっ?
ほら、エルカさんたちの控室いくよっ!」
このままだと脱線がとんでもなくなりそうなので、おれはフリーダム猫野郎をとなりのとなりの控室へとひっぱっていった。
本当ならノゾミお兄さんとミソラさんのもとに行き、お疲れ様ですを伝えたかった。
けれどいまゆけば、談合を疑われる可能性がある。
いまごろは、ミライたちが行ってくれている。だからおれたちはエルカさんたちのもとでエールを交換し、次いで武者震いのミツルたちを激励して、関係者席へと舞い戻ったのであった。
ブックマークありがとうございます!
これは驚くほかないですっ!!
作戦会議はアスカたちのほうになってしまいました^^
カナタの笑顔の話になるはずが……何故(。´・ω・)?!
次回、エルカさんの告白とショーバトル開始(予定)!
お楽しみに!!




