40-1 ノリノリO.A.と似た者同士!
2020.12.10
サイケント→サイレント
静かなる誤字でした(気づかなかった)……
『みんなー、ノってるかーい?』
イェーイ!! と一斉に歓声が上がる。
しかしイエローのステージ衣装に身を包んだカリスマは、耳に手を当てもう一度。
『んん~? ちょーっと声が小さいなぁ~。
もっかい聞くよー、ノってるかーい?』
イェアアアアア!! とさらに大きな歓声が上がれば、彼女は今度こそ納得の様子で返事を返す。
『イェーイ!! ノってるねー!!』
イエローのくまみみ美女が満面の笑顔で両手を上げれば、彼女の両脇で白と黒の羽根つき美少女が後を続ける。
『あたしたちもノリノリでー』
『いっくよ~!!』
『記念すべき第四回月萌杯の始まりを飾らせてもらうのは、レモンと――』
『ルカと!』
『ルナの!』
『コラボライブだ――!!』
オオオオオ!!
上がる歓声、飛び交う紙テープ。
舞い散る紙吹雪、振られるうちわとペンライト。
客席には、おれたちのコスプレをした人たちが何人もいる。
大きなお友達から、かわいい小さなお友達まで。
みんなみんなが大興奮だ。
しょっぱなっから満場のスタンディングオベーションで、『月萌杯』は熱く熱くスタートしたのだった。
まずはレモンさんの『夏色アドベンチャー』、続いてしろくろウィングスの『恋はチェスゲーム』。双方の代表曲をメドレーで歌い切り、O.A.(オープニング・アクト)は終了。
インストゥルメンタルの流れる中、10分間の休憩となった。
楽屋に引き上げてきた三人は、実にスッキリ、いい顔をしていた。
「おつかれ、ルナ!」
「おつかれさま、レモンさん!」
「お疲れさま、ルカ」
彼女たちには、おれたち三人がそれぞれタオルを渡した。
すなわち、イツカはルナに。ミライがレモンさんに。そしておれはルカに、だ。
ルナがありがと、ほんわか笑顔を見せる一方で、レモンさんはフリーダム。駆け寄ってきたミライを捕獲するとそのままぎゅーっとする。
「あーんかわいーなーミーたんもー! ねーライム、ミーたん連れて帰っていー?」
「はわわわ! れっれっれもんさんんっ?!」
豊かな胸に抱きしめられ、ミライは真っ赤になって大慌て。ライムは笑顔で双子の姉をたしなめる。
「お姉さま? そんなことをするとソナタさんが悲しみますわよ?」
「うぐっ!」
レモンさんもソナタのことを大好きだ。白いポーラーベアの耳をしょぼんとさせてミライを解放。ごめんねーと優しく頭を撫でた。
おれとルカは、タオルを受け渡した体制のままそれを見て、思わずふふっと笑ってしまう。
「ふふ、なんかほっとしちゃった。無邪気なのが一番ね」
「そうだね。おれもなんか肩の力抜けちゃった」
「その調子よカナタ。
あたしたちがこれだけ盛り上げたんだから、絶対勝ってよ!」
「まかせといて!」
タオルを渡し、こぶしをぶつけ合うと、元気が湧いてきた。
おもわず、いつものイツカのような、威勢のいい言葉をはいてしまう。
ルカは『それでよーし!』というように微笑んで親指を立てた。
「さってと、それじゃあたしたちはミクたちのとこに行ってくるわね」
「なにかあったらすぐお呼びくださいませね」
三人の楽屋を出て、ルカ、ルナ、ライムは左へ。おれたち『ミライツカナタ』は右へ。
まずは『Snowey Blue』――ノゾミ先生とミソラ先生の控室の前に立つ。
ノックして名乗ればぱっとドアが開いた。
「あ、入って入って!」
ミソラ先生はおれたちをひっぱりこんで、すぐにしっかりドアを閉めた。
これには訳があった。ノゾミ先生だ。
椅子に掛け、静かに瞑想している様子。
だがなんと、椅子ごと聖静籠に入れられている。
ミソラ先生が笑顔で言うには。
「ごめんね、ノゾミいまめっちゃ集中しちゃってて。
下手に撫でるとかまれるかもしれないから、あとで可愛がってあげて?」
「おい。」
もはやペットの狐扱い。さすがにノゾミ先生が声を上げた。
「俺は人をかんだりしないからなっ?
こっちにこい、おまえたち」
目を開けたノゾミ先生が椅子から立つと、聖静籠は解除。
そのまま近づいていけば、ノゾミ先生――いや、ノゾミお兄さんはおれたちをまとめてぎゅっとした。
「大丈夫。大丈夫だからな。
第一試合は絶対に俺たちが勝つ。そうしたら、おまえたちが俺たちに勝て。
いつも通りにやれば、きっと大丈夫だ。
まあ、万一負けても心配するな。
そうなったら、みんなで即買い戻してやる。
俺たちが優勝して代わりに夢をかなえるから、なんにも心配はいらない。
イツカとカナタはめいっぱい戦えばいい。
ミライはお兄ちゃんの雄姿に見とれていればいい。
楽しもう。今日は俺たちの祭りだ」
「おう!」
「はい!」
暖かな声と、頭を撫でてくれる手にほっとする。
イツカとおれが声を合わせると、おれたちの間にはさまったミライが言う。
「ねえお兄ちゃん。おれ、みんなも応援したいんだけど、だめかな?
もちろん、お兄ちゃんを一番に応援するけれど……」
そのかわいい言葉に、おれたちは全員メロメロになった。
『Snowey Blue』の部屋を出、つぎは『はいぱーキャビット!』だ。
ノックをしてごあいさつ。アカネさんに招かれてドアをくぐると、部屋の真ん中には瞑目して座すトウヤさんがいた。
だがなぜか、こっちも椅子ごと聖静籠に入れられている。
やけにデジャブを感じる構図だ。
アカネさんがニコニコと言うには。
「ごめんねー、トウヤちゃんいまめっちゃ集中しちゃってて。
下手に撫でるとかまれるかもしれないから、あとで可愛がってあげて?」
「おい。」
トウヤさんがイチゴ色の目を開けて、聞き捨てならんと声を上げる。
「って似たもの同士すぎだろ!」
これはもはや、デジャブっていうか天丼だ。
イツカのツッコミに、トウヤさんはキョトンとし、のこりのおれたちはもれなく噴き出したのだった。
ぶ……ブックマークをですね、いただきました!
ありがとうございます!!
次回、やっとこ始まる第一回戦。伝説の「闘技場ブッ壊れるかもカード」の再現です!
どうぞ、お楽しみに!!




