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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_39 さいごの休日、そして

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39-6 『頼りなさいよねっ、仲間でしょっ!』~そしてソーシャルディスタンス

 そのまま、学食へ繰り出すことになった。

 疲れているだろうというので五ツ星寮の食堂へ行くか、という話にもなったのだが、にぎやか好きのイツカは学食へ行きたがったのだ。


「金曜の朝昼は寮で、夜と土曜は部屋でだろー。

 俺はさびしいと死んじゃうからっ! な?」

「うん、厄介ごと拾ってこないならいくらでもいいよ?

 そうでなくてもお前マルキアとかに狙われてんじゃん。今日明日ぐらいは我慢して?」

「え~」


『うさぎはさびしいと死ぬ』というのは迷信だ。ましてこいつがその程度で死ぬわけもない。

 しかし脱走されても困る。無自覚のうるうる攻撃を受け流しつつ心中うなっていると、小さな咳払いが聞こえてきた。


「え、えへんっ。

 そ、そういうときのために、あ、あた、あたしたちがいるんでしょっ?

 た、頼りなさいよねっ、仲間でしょっ!」


 ふりかえれば、顔を赤くして一生懸命のルカがいた。

 よくできました、といいこいいこしながらルナが言う。


「わたしたち、たしかに『にじいろ』のリーダーだけど。

 ふたりは『みんな』の仲間だから。

『みんな』を仲間にしてくれたふたりをたすけにいって、文句を言う子はきっといないから、安心して?

 だいじょぶだよ、わたしたち、こんなときに手を出すような子じゃないから」

「ぴゃっ?!」


 もちろんルカが真っ赤になった。



『おれたちのほうが変な気持ちになっちゃってもアレだから、寮の食堂で食べるとき可能なら同席して』

 おれたちからそうお願いすると、事態はとりあえず丸く収まった。

 そう、今日は木曜。明日は金曜、定例試合のある日だ。

 というのにルカたちはレモンさんとともに『月萌杯』で開幕のステージを務めてくれることになっている。

 さらには『おこんがー!+MITSURU』はインターバルに。ラストには『うさもふ三銃士』もアーティストとして参戦。

 こんなの、むしろおれたちのほうが楽しみなくらいだ。

 それをダメにされるような要因は、できるだけ取り除いておかなければならない。

 たとえば変な気持ちにならないとしても、ケンカしてしまったりしたら大変だ。


 それでも、これは。

 おれたちはアスカに、今日あったこと、そして抱いた疑問を伝え、明日の試合にレイン理事は来るのかと聞いてみた。

 アスカは白いうさみみを微妙に揺らしつつ微妙な顔をした。


「ん~。おれの言いたいことはわかるよね?

 でもふたりの言いたいこともわかるんだ。

 いいよ、話しといで。

 ただし、VIP席を出てどっか行こうとか、そういう誘いはどんなものでも絶対断って。『お花摘み』でも、ドリンク買いに行くのでもね。

 あと、君たちへのおさわりは未遂でも容赦しないこと。

 ライカ分体を一緒に着けるから、第二部終わりには一緒におれたちの控室まで来てね。それを約束できるなら、レインにアポとるよ」

 

 けれどよくみれば、デコ眼鏡の奥のオッドアイは笑っている。

 ははあ、つまり。

 今日もまた執事姿のライカは、わーいまたレインで遊べる~と万歳していた。


「『で』なのかよ……」

「『で』なんだ……」


 いやまあ、だいたい予測はしていたけど。

 ハヤトはイツカとおれの肩に手を置き、ふるふると首を横に振った。

 よくわかる。いつの世も、常識人は大変なのである。



 ――そして、半日後。


「やあやあひさしぶりだね、ふたりとも。

 君たちのほうからお誘いをいただけるなんて、うれしくて昨夜は眠れなかったよ。

 でも安心したまえ、今夜いっぱいくらいならごふっ?!」


 目の前には晴れやかな金髪碧眼のイケメンが両手を広げて『いた』。

『いた』と過去形であるのは、高天原の制服姿のライカにたった今きれいな肘打ちを決められたからだ。

『美少年からのおしおきはごほうび』と豪語する、自他ともに認める変態理事は、うれしそうにVIP席に沈んだ。


「で、君たちの聞きたいことというのはなんだい? 私のスリーサイズ、好きな食べ物、好きなシチュエーション、好きなモガモガ」

「いやそういうのはいいんで。」


 たぶん昼間から健全な中学生に聞かせてはならない単語を発しようとしたのであろう、理事はライカに後ろからガッと口をふさがれて幸せそうだ。

 ライカはアスカと同じくらい、小柄で華奢な美少年の姿になっている。つまり、その指は細い。理事の形の良いほっぺたにガシッと食い込んで痛そうだ。

 ギブギブとライカの腕をたたく理事はいい笑顔。ライカもとってもいい笑顔。

 うん、なんだろうこのイチャイチャは。おれたちいったいなにしにここにきたんだっけ。

 イツカがうーんとうなって言い出した。


「カナター、おれにも」

「おまえはちょっとだまってようねっ?」


 このうさみみマニアめ。おれはイツカをうさみみロールにし、あっこれはこいつの思うつぼだったと後悔し、眼福眼福とはあはあしている変態理事からとりあえず、当社比二倍のソーシャルディスタンスを確保したのであった。

ついに奴を召喚してしまった……

一見びーでえるなようですが、ライカは剣です大丈夫。


次回、理事は何を話すのか? どうぞ、お楽しみに!

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