Bonus Track_38-2 スタック警告、もしくは、名もなき少年のせいいっぱい
ミツルへ
いつもあったかいメールありがとう。
今日は俺からもビッグニュースです。
俺の初陣が決まりました!
『月萌杯』の会場警護、だって。
3Sたちとの連携も申し分ないし、これなら、安心して出せるって。
なにもない、新しい人間としてだけど。やっと、外に出られます。
ミツルたちの都合がつくなら、会場で直接話をしてもいいって。
もちろんテンリュウや、ほかのみんなも一緒でいいし、気が進まなければ断ってもいいから。
でも、もし。
もしも、俺の存在を、許してもらえるなら……
その日、俺に名前をください。
俺は、こんどこそ、ミツルを守りたい。
その名前を呼ぶと、ミツルがほっとできるような男に、もう一度、なりたいです。
いや、ミツルがのぞむなら、女になったって、人間以外になったって、かまわない。
一生ぶんの勇気を出して、お願いします。
『 』より
『送信』をタップする手は震えていた。
このメールはもちろん、検閲されている。
だから、これが、オレのできる精いっぱい。
オレの願いが叶う日は絶対こない。
それでもそう書かなければ、消されてしまう。
高揚した調子にさりげなく紛れ込ませた、『スタック警告』は。
頼む、伝わって。
頼む、気づいて。
さもないと、イツカとカナタは――
今回めっちゃ……短いです……orz
夕刻に次話(新章突入)アップの予定です。
暴れたりない龍虎、バトるっ! お楽しみに!!
最後となりましたが、ブックマークありがとうございます!!




