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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_30 プロの彼女ら、学生のおれたち

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Bonus Track_30_3 胸の底がざわざわとして~ヴェール・シュナイザーの場合~

2020.07.25

数か所修正いたしました……すみませんm(__)m(誤字、表現直し。詳細はあとがきにて)

「ごめんなさいマル姉さま……ごめんなさいみんな……本当にわたしってダメです……もう、これで軍人なんて、恥ずかしい……」


 あまりの情けなさに、ログアウトしてその場で膝を抱えてしまった。

 みんなに謝らずにはいられなかった。


 なんだって、あんなの受け止めようとしたんだろう。わかってたはずじゃないか、『グランドスラム』は絶対ヤバイって。

 絶対ぜったい回避って、頭に叩き込んでた。シミュレーションではカンペキにやれた。なのにああだ。

 本当に、わたしって馬鹿。

 せっかく、『虚飾』も使わせてもらっていたのに。能力は、底上げされていたはずなのに。

 恥ずかしくって顔も上げられない。いっそこのまま消えちゃいたい。


「無理ないよ、新米とはいえα三人だったじゃん?」

「そうそう、あいつらうまいんだよねーそーゆーとこ。仲が良すぎるっていうか!」


 陽動組のリンとマールがくしゃくしゃと頭を撫でてくれる。


「まだ学生であるかれらが、バディでもないのにあれほどの連携をしてくる方がむしろイレギュラーですから……」

「あたしだってあれは無理だよ。落ち込まないで?」


 管制のレムちゃんが冷静に分析して、ジュジュもうしろからぎゅーっと抱きしめてくれる。

 優しい、優しいきょうだいたち。

 でも、だからこそ思ってしまうのだ。


「けど……あと少し何とかできてたら、あの子連れて来れたかもしれないのに。

 本当にごめんジュジュ。わたしのせいだ」

「そんなことない。

 今回のは、あたしがひとりで突出したからだよ。きもちがあせって無茶をしたから。ベルはわるくない。ぜったいだよ!」


 ジュジュがワタシの顔を上げさせてそう言ってくれた。

 にしし、と笑ってくれる顔を見たら、ふしぎと「……うん」と言っていた。


 彼女も、本当はまだ落ち込んでる。

 けれどそれをかくして明るくふるまってくれている。

 わたしが、頑張らないわけにはいかない。

 せめて泣くのは、シャワールームでにしよう。


 そう思ったその時、わたしとジュジュはいっしょくたに抱きしめられていた。

 ふわっと甘い香り、ふわふわの優しい感触。


「……マル姉さま」

「いいんだよ、泣きたかったら一緒に泣こう。

 ウサギちゃんの連行は無理目目標だったとはいえ、あなたたちには、酷なことをさせてしまったからね。

 だからこれは、せめてものお詫び。ありがとう、ごめんね、かわいい妹たち」


 施設で暮らしてた頃とかわらない、あったかな胸。

 こどものころから、何度も泣いた場所にふんわり抱え込まれたら、ぶわっと涙があふれてきた。



 運動音痴で、本ばかり読んでいたわたし。

 こわがりで、体力もなくて。

 武者修行と称して12の歳で家を出されてしまったけれど、あっという間に行き倒れた。

 目が覚めると、やわらかくて温かな布団の中。

 エルメスさまと、マルねえさまが、心配そうにわたしを見ていた。


 たぶん、生まれたのがソリス国のハンターの名門でさえなかったら、家を追われることまではなかったと思う。

 けれどわたしにはハンターの素質はほぼなく、代わりにクラフターとしての素質があった。

 それも、ステラ国で最強とされる『カードキャスター』の。


 ソリス、ステラの両女神が手を取り合ったとはいえ、地方ではいまだに『新しい女神とその民』に対する敵対心があらわだ。

『トーテム』を直接身に宿し、優れたハンターを多く生み出すソリスの民は、クラフター中心のステラの民を『臆病者』『卑怯者』と見下す。

 そんなソリス国の、縮図のようなあの家に、『カードキャスター』のわたしが、戻れるわけもない。

 わたしは『エルメスの家』の子に、マル姉さまの妹になった。


 そこからは全力でキャスターとしての研鑽を積み、戦績を上げ、ついには3S『虚飾』の使用さえ許されるようになった。

『虚飾』とわたしの相性はよくて、ただ身に宿すだけで能力も三倍くらいにまで伸びた。

 すこし言動が恥ずかしいものになってしまうけれど、そこはトレードオフだ。


 わたしだって、やれるんだ。自ら選んだ家族の役に立てるんだ。

 それを見せたくて、いくつも結果を出してきた。


 それが狂ったのは、あいつらと戦うようになってから。

 甘ちゃんのケモミミ学生たち。正直、わけがわからない。腹立たしい。


『あまり悪く思わないでやっておくれ。あれらも変わらず人なんだ。

 我らと同じ、女神の意志のもとにある、ね』


 エルメスさまはそういっていたけど、わたしの胸の底は、どうにもざわざわとしておさまらないのだった。

『グリーン』ちゃんの独白です。

ミスがあったら後程なおしますのでお許しを!


2020.07.25

なおすとこ一杯あり申した……orz

てっそ→いっそ

なぜだか→ふしぎと

小さなころから、→こどものころから、

そんな家に→そんなソリス国の、縮図のようなあの家に、

必死に頑張ってきた。→いくつも結果を出してきた。

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