表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_28 ふたつの再訪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

304/1358

28-5 レアメタルセットとテラフレアボム

 その日の午後。

 集まれる者は集まって、のお茶会で、第三次合宿の成果を発表したのだが……

 おれたちがもらったレアメタルを披露したとたん、クラフター勢とトラオがいっせいにガタッと立ち上がった。

 商売人、というか売人の顔になったトラオとニノとレンが、額を寄せて話し始める。


「今回の記念ってことでセット販売したらひと財産できるぞマジで!」

「悪くないな、ここはひとつオークションに……」

「ついでにカナタの『斥力のオーブ』とかも付けてみろよ、だいたいこのくらいの値段はつくぜ!」

「おおー」

「だからお前らバチ当たるぞっての!」


 クレハがツッコミをくれるが、ニノはめげない。


「その収益の半分はイーパラに寄付して鉱石密輸被害者への弁済に充ててもらう。な、それならよくないか?」

「そういうことなら反対はしないけど、ルーレア様には一言通せよ?

 それとそのプロジェクト、お前は深くかむなよ。くれぐれも原案だけにしてくれな?」

「うー……で、でも~、ちょっとだけー……」


 ニノという名のワーカホリック狐は、オレンジの耳をくりんとさせ、指先をツンツンしながら上目遣い。

 普段わりと大人っぽいのに意外とはまっている。タテガミオオカミ装備というだけあって、狐耳大好きのクレハに刺さることを確信した上での犯行のようだ。ぶっちゃけあざとい。


「だ……だからっ、お前がまたシゴトふやしたら本末転倒だろっ?」


 はたして、いつも冷静なクレハが、あきらかにぐらついた。

 それでも、なんとか持ち直して説得に入る、が……


「一連の強化合宿はそもそも『お前の負荷を俺たちで分散して、お前も月萌杯突破プロジェクトに加われるようにする』ってのが第一目的なんだからな?

『オッドアイのうさぎまんじゅう』も復活してくれ、ともいわれてるんじゃなかったか?」

「はあああ! そうだった!! よーしニノさんぜーんぶがんばっちゃうぞー!!

 大丈夫だって、俺ならやれる! な?」

「だから~…………」


 最後の一言で逆効果になった。クレハは助けを求める目でおれたちを見る。

 アスカがいい笑顔で言った。


「ようしクレっち、まずはお耳を垂らして言ってごらん。『俺はただお前が心配なんだ……』って。ちなみに語尾の『……』は必須だからね」

「えっ」


 クレハはフリーズした。

 なお、ニノは期待のまなざしできらきらとクレハを見ている。それでいいのか。


「ちょ……ええっ……い、言うの?! 俺がっ?!

 えーと……えーと……お、おれはただおまえがしんぱいなんだ?」

「疑問形NGもいっちょ!」

「お、おれはただ……あのー……」

「はいはい照れないもういっちょ!」

「お、おれは、……おれは、ただ…………」


 そのとき、困惑のクレハの肩にポンと手を置いたものがいる。イズミだ。


「おれに代われ。

 ……ニノ?」

「すみませんでしたっ!!」


 ほぼ無表情から一転。キラーンと眼鏡が光ると、いつになくゴージャスな、花の笑顔が向けられる。

 そうして名前を呼ばれただけで、ニノは最敬礼で即時無条件降伏した。


「おおお……!」

「さすがはニノ使い……」


 その鮮やかさに、おれたちは一様に感嘆した。イズミはわかりやすくドヤ顔。

 一方でしょんぼり狐になったニノを、アスカがさとす。


「まあね、『タイミングってものはある』ってミソラちゃん先生も言ってる。だから『記念鉱石詰め合わせセット』自体をいま出すべきなのは否定しないよ。

 でもね、ニノっちはいま、カタチはどうあれイーパラの人間だ。

 ノルン関連で儲け話をやるってなら、3Sたちがイーパラを使って周りの皆に与えた被害を回復することを最優先しないといけないよ。

 よって、詰め合わせセット・プロジェクトをやるなら、『ニノっちの分のトロフィーをイーパラに寄付してセット販売をやってもらい』、『その利益は全額弁済に充ててもらう』ようにするべきだ。

 それでもいいなら、今日明日中に企画書作ってイーパラに投げて、あさってからはこっちに加わってくれるかな?

 ニノっちの技術力は『月萌杯』突破に欠かせないものだ。そう思っておれたちはここまでやってきたわけだからね?」


 ニッコリ笑うアスカに、ニノは冷静さを取り戻し、おれたちに頭を下げてくれた。


「……アスカの言うとおりだな。悪いみんな、よさげな話で頭に血が昇っちまった」

「いや、最初に売れるとか言っちまったの俺だし……悪かったわ」


 トラオも素直にごめんすれば、イズミも優しくふたりの背中を叩く。

 すると、レンが驚きの言葉を発した。


「まあ、売らないで済むんならそれはそれでいいけどな。

 ついさっきなんだが、やっとテラフレアボム実現のメドがついた。

 レアメタルがいくつか素材候補として必要だったからついでに取ってきてもらおうかと思ってたんだが、ナイスタイミングすぎてびびったわ!」

「まじか!!!!!!」


 今度こそ、全員がガタッと立ち上がった。

なんと! レンがテラフレアボムのこと言いだしてから、作中では一週間しか経っていません……

リアルでは一か月以上経ってるよ、オーマイガッ!!

(作者も作中三週間ぐらいたったかもって思ってました……^^;)


そんなわけで次回、レン回です。もしかしたらボナトラになるかもしれません。どうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ