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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_28 ふたつの再訪

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28-2 就任式典は晴れのちフリーズ!

 壇上に立つのは、艶やかな黒のスーツに身を包んだ若き新名誉会長。

 そう、ニノである。

 晴れやかな青空をバックに、短いスピーチを堂々と終えれば、会場は大きな拍手に包まれた。

 今日は、イースト・パラダイスグループ、再出発の日だ。


 ノルン西市街中央広場は朝から晴れていい天気。

 すっかり掃除のされたそこに、たくさんのテーブルが出され、立食ティーパーティー形式での式典が催されていた。

 テーブルには特産の紅茶と、新しい『うさぎまん』がならぶ。

 その名も『うさぎときつねのしあわせまんじゅう』。

 大きさは、手のひらの七割を占める程度。チョコレート生地の黒うさぎと、プレーン生地のオレンジきつねが寄り添い、二匹の前後にはさらに大小のうさぎたちが憩うデザインの、実にかわいらしいものだ。


 素朴にして奥深い味、繊細な成型、絶妙な焼き加減。

 ぽくりと割ると中から現れるクッキー――『たべられるしあわせみくじ』は、イズミが文言を考え、筆跡を提供したものということで、さらにレアリティが増している。

 儚く消えるはずだったコピーうさぎまんのストーリーさえ、優しくつつみこんだ新作銘菓は大好評。

 これからのノルンの発展の、よき旗印となってくれそうだった。



 式典のシメは、女神ルーレアによる祝福の授与だ。

 満場の拍手がやむと、残りのおれたちも壇上に呼ばれた。

 ルカとルナは黒と白のシックなドレス。野郎どもは白シャツに黒のスーツで整列だ。

 今日はケイジとユキテルも、きっちりスーツで決めている。


 やがてオレンジの光が壇上にたちのぼれば、その中からふわり、女神が姿を現した。

 髪もドレスもあざやかなオレンジながら、ほんわかと眠たげな顔をした女神様は、ゆったりとした動作で演台につくと、のんびりとした口調で口火を切った。


「先日は大儀であった。改めて、感謝を。

 本日はそれを形にするために、ここで我が加護を授けることとしよう。

 ……というわけで、脱いで」

「はっ?!」


 その瞬間、会場全体がフリーズした。


 * * * * *


 楽しいランチ会も終わり、日曜日。おれたちは約束通り、ノルンの街を訪れていた。

 本来ならばこの日、おれたちは西坑道奥の女神ダンジョンを踏破し、祝福を賜る予定だった。

 しかし、ミツルのもとバディと3Sの件が明らかになったことで、予定は変更。

 うさぎまん偽造、カジノでのイカサマと強制労働、坑道の違法占拠に違法採掘、レアメタルの密輸……という、ノルンとその周辺の街を巻き込んだ一連の事件をまとめて解決することとなった。


 もちろん、それはとても良いことだ。

 ミツルもぐっと明るくなり、チボリーさんやチコちゃんたちもホッとしてくれた。

 しかしやはり、高難易度ダンジョンによる強化メニューがなくなったことは、惜しいと言わざるを得なかった。

 ここは女神ルーレアにお願いして、式典の帰りにでもダンジョンに挑戦させてもらおう。

 そんな風に話し合ってはいたが、まさかこんなことになるとは。



 おれたちが一様にぼーぜんとしていると、ルーレア様は特に気にした様子もなく、素の口調で説明を続ける。


「その服だと破れるから。

 経験値、欲しいでしょ。あとこの町の人たちも、あなたたちのかっこいいとこ見たいはず。

 仲間たちつれてダンジョンに来たいって言ってたし、どうせならその分も私がここでサービスするから」

「いやせめて闘技場に行きましょうっ!!」


 期せず、おれたちは声を合わせていた。



 基本的に、ティアブラ内ではある程度、自然も建造物も自己修復する。

 しかしさすがに、『青嵐公』が開けた大穴はまだふさがっていなかった。

 そう、ここは、カジノ・イーストパラダイス併設の闘技場だ。

 フィールドの中央、仮囲いがされた大穴の下には、ケイジとユキテルが戦ったという、地下闘技場がみえる。


「さすがにここでは危ないのでは……」


 女支配人イェリコさんが言えば、ルーレア様はサラッと言った。


「下でやる。

 どうせあるなら使っちゃおう。

 そうだ、いっそ下をわたしのお部屋にしてもいいよ~。みんな気軽に遊びに来てくれそうだし~」

「命がけすぎだろ。」


 怖いもの知らずのイズミがサクッとツッコミを入れる。

 しかし、ニノはぽんと手をうった。


「いや、それいいかもしれないな。

 さすがにレディをここに住まわせるのは気が引けるが、適度に弱体化した分体を闘技場のゲストとして派遣してもらえれば、お互いウィンウィンじゃないですか?

 どうせあるなら、潰すよりは使ってしまおう、という意見は、俺もいいアイデアと思いますし……

 下の闘技場の収益は、被害を受けた冒険者たちへの補償に使うという事ならば、かれらにも納得してもらえると思います」


 ニコニコしながら、提案を投げかけるニノ。

 ルーレアさん、イェリコさんたちも、『とりあえずはその方向でいってみましょうか』とOKしてくれた。


 そうと決まれば、やることは一つ。

 ミズキを加えたおれたちは、いつもの装備にチェンジ。フィールドの大穴から、地下闘技場に飛び降りた。

次回はいつも通り朝投稿予定です。

二パーティー構成でのボスバトル、お楽しみに!

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