27-4 『強欲』の挑戦状!
2020.06.18
金属製の鉄扉には→巨大な鉄扉には
そりゃ鉄扉は金属製だよ……だよ……orz
2020.06.19
『ものすごくめんどくさそうな声』のまえに『男とも女ともつかない、』を追加しました。
RDWの画像といえば、必ず写っているのが『ラビットドリームキャッスル』。
ぱっと見こそ『かわいらしいおとぎのお城』だが、一番てっぺんの風見鶏はビルの七階の高さに達する、かなり大型の建造物だ。
大きく開かれた一階正面にはアトラクション入り口とショップがならぶ。その上はレストランゾーンとホテル。
それらの裏側に張り付くように、一連の施設バックヤードが設けられ、さらにその中核に管理者棟。
今おれたちが目指しているのは、その管理者棟である。
ニノは『虚飾』を尋問しながら。おれとアスカは、Vネットブラウザでカジノ門前の様子を確認しながら。アオバとミツルは寝ながらふよふよついてくるルーレア様がはぐれないよう手を引いて。
あとのメンツ――イツカとミライ、ルカとルナ、ケイジとユキテル、そしてハヤトとイズミ――は周囲を警戒しながら、歩を進める。
『西坑道での違法採掘はいい儲けになったけれど、輸送には苦労させられた。
手を変え品を変え、少量ずつ監視の目を潜り抜けていた。
そこへ現れたのが、『オッドアイのうさぎまんじゅう』。
さっそくコピー品のうさぎまんをつくり、なかに小さなインゴットを仕込んで密輸することとした。……』
ニノが手にしたペットボトルサイズの透明な小瓶――魔道具封印用ボトル(中)のなかには、大ぶりのブローチが一つ。
蔦の絡まる意匠の中央、どんとあしらわれたカボションカットの宝石が、自ら淡く発光し、ゆらゆらと虹色の遊色を揺らす。
これはただのブローチではない。ミッドガルドに放たれた三体の3Sのうちひとつ、『虚飾』の本体だ。
透明な牢獄にとらわれてしまえば、彼女も観念したようす。
ニノの問いに対し、落ち着いた様子で自白していた。
『インゴットを取り出した後のコピー品をどうしていたかは知っての通り。普通にお菓子として販売し、壊れたものはアルバイトたちのおやつにしたわ。
けれど本家の抵抗が意外に厳しくて、コピー品の輸送も厳しくなってきた。
そのため、さらに考えた。
自分たちのオリジナル商品と言うことで『ノルンの森の夢うさぎ』をつくり、その中にインゴット入りコピーまんじゅうを仕込むようにした。
これならば、堂々とみやげ物として輸送できる。
インゴットを抜いたら、夢うさぎは正規取扱店へ。コピー品はそこらの露店とかでさばいてオシマイというわけよ』
さきのお菓子工場から地下トンネルをたどり、ドアを開けて短い階段を昇れば、青いじゅうたんに白い壁、燭台を模した照明のならぶ廊下が広がった。
『ラビットドリームキャッスル』一階、管理者棟だ。
上階への階段と昇降機をスルーし、ひとけのない通路を奥へと進めば、大きなふたつの扉が待っていた。
右手、謁見の間然とした木製の扉には『支配人室』。
廊下のつきあたりを占める巨大な鉄扉には『大金庫室』と書かれた、銀色のプレートがつけられている。
おれたちが支配人室の前にたどり着いたとき、ちょうど『虚飾』の話も終わりを迎えた。
『虚飾』を収めたボトルを左手で掲げ、ニノはにやりと笑った。
「いや……もう、すんっげえ技術の無駄遣い!
もういっそこれはこれで売り出すかな!
いかがでしょうねェ『強欲』さんッ!」
そして『クッソにこやか』と形容するのがふさわしい笑顔でドアをノックした。
すると答えるように、館内放送のスピーカーから、男とも女ともつかない、ものすごくめんどくさそうな声が流れてきた。
「あーあー。マイクテスマイクテス。
『虚飾』と『憤怒』のヒントなしに俺を見つけろ。そうすりゃハナシ聞いてやる。
俺はここにいる。目印は銀のプレートだ。
あーそうだな、三十分過ぎたらRDWをぶっ飛ばそう。みんなまとめてドッカーンだ。あと腐れなくていいだろ。はじめ」
「はああああっ?!」
おれたちが叫ぶなか、ニノは不気味なほど静かに黙り込んだ。
そしてひとこと。
「……まずは来場者たちを逃がさないとな」
するとアスカがニヤッと笑った。
「おうよ、任せてー。
まずは第一段階だ。
るーるーたんず、ミライツカナたん。全力でアイドルやってくれないかな?
どーせだから『虚飾』のバニーたんも手伝って! 突発路上イリュージョンライブ!!」
おれたちは声を合わせた――
「斬新すぎだろ呼び方が!!」
「……ぐう」
爆弾テロとなれば、まずは人命第一。
しかしその中に、見つけなければならないターゲットがいる。
とんでもないミッション・インポッシブルがつきつけられた。
だが、ここには天才軍師にしてショーマンのアスカが。トップアイドルのルカとルナが。
そして超級イリュージョニストの『虚飾』がいる。
かくしてノルン西市街をまきこんだ大作戦が、ひそやかにスタートしたのであった。
いちおう……対決……でいいんですよねコレ……?
次回、ミッションインポッシブル! お楽しみに!




