BONUS TRACK_3_2 そして、またひとり勇者立つ~アスカの場合~
【隔離所】IKポテスト【愚痴スレ】
名無しさん: いろいろ吐き出したい人はこっちへ。
間違えてきてしまった人はブラウザバックお願いしますm(__)m
名無しさん: スレ立て乙ー
名無しさん: 乙です
名無しさん: 乙、ちょうど居づらかったからありがたかったwww
名無しさん: おつありー
名無しさん: 俺、スレ主だけど
やっぱり、俺は割り切れないんだ
俺も陸上やってんだけどさ、あんな記録どうやっても出ない
そりゃ、スターシードは親もいなくて大変なのわかる
そんなハードモード人生を生きるためには、あんだけの能力なくちゃ無理ゲー
でも、割り切れねえよ……
なんなのこの差……
名無しさん: わかる
ただの人間の俺たちは苦労して苦労して一つ星入学、そこからも落ちていま無星の崖っぷち
あいつらはスターシードに生まれ、ニコニコ笑いながら二つ星入学
やってられねえ
名無しさん: え、ガチ高天原生?
名無しさん: うい
名無しさん: 俺もー
名無しさん: まじか
名無しさん: いまポテスト会場
イツカナがまたコケねーかなと思いつつカキコなうwww
名無しさん: おいwww
名無しさん: しょーがねーじゃん
思っちゃうんだ
思っちゃうんだよ
「ずりぃ」って……
ティアブラの中ならまだ仕方ない、装備とかスキルとかあるし
Aランクになるまでやりこむのは相当だ、だからまだ認められる
でも生まれながらで俺の必死のタイムこえてく
しかも、どうしようもなくカッコいい
そんなのみせられちまったら
ひがむ以外にどうすりゃいいのさ……
名無しさん: おまおれ
名無しさん: よう、俺
名無しさん: わかりみパない……
名無しさん: むしろおれはお前らがうらやましいわwww
そんな、どーにもならない差のあるやつらと、同じ学校いけたんだろ、ティアブラで
おれなんか全然、そこまでもいけてねえわwww
まあ、おれはまだ、努力が足りねえんだな
来年こそ入学めざしてがんがるぜー
名無しさん: あー……
うん、なんかその、すまんかったorz
名無しさん: お前からすれば俺たちも、よっぽど鼻持ちならねえ奴らだよな
悪かったわ、素直に
名無しさん: そんなことないよー
むしろ高天原生でも、そんな風に悩むんだなって
なんてかその、勇気出てきた
悩んでるとこ見てそれってひでえかもだけどwww
名無しさん: なんか、目が覚めた、ありがとう
もし、もしも来年、お前が高天原これたら、そんときゃバトってくれ
それまでに俺も、一ツ星、いや二ツ星までいっとくから
名無しさん: おお、がんばるわ
こっちこそありがとう
名無しさん: はいーフラグ一本立ちましたー
名無しさん: おめー
名無しさん: 結婚
名無しさん: だが男だwww
名無しさん: なん……だと……
名無しさん: お、俺は……いいよ(太い声)
名無しさん: キャーwwww
名無しさん: 俺も!
名無しさん: 俺も!
名無しさん: 押忍ッ!
名無しさん: どこかで見たパターンwww
名無しさん: 俺も愚痴りに来た口だけど、ここ見てよかったわ
イツカナちゃんとみてくる、あいつらから盗めるとこ盗んで、ティアブラで勝つ
それでええんや、ここはティアブラ学校なんだしな
名無しさん: だな
名無しさん: まーそーなるかねー
名無しさん: 俺もそうする
てわけですまん、スレたてた本人があれだが、もう愚痴れなくなったんで、落ちます
名無しさん: スレはそのまま残すんで、吐き出したい人はここで吐き出していってね!
ハヤトはここまで読み進めると、ため息をついた。
「愚痴スレまでこうなるとか……あいつらはお花畑ビームでも出してやがるのか……」
「いや、工作班のしわざだね」
「…… そうか」
「ちなみにこの二人どうしは『本物』だよ。
来年、会えるといいね」
そこから先は結局、いつものようなぐだぐだモードと化していた。
モニターでポテスト中継をウォッチしながらなんとなく、気楽に流し読みしていた僕たちだったが……
画面が自動更新され、現れた最新の書き込みに息が止まった。
名無しさん: ごめん二ツ星むりかも金青オッドアイのウサギをみたら俺
「っ……?!」
「陸上やってて、金青オッドアイのウサギアバター……いずみん?!」
いずみんは我らが『うさぎ男同盟』の同志だ。
いろいろあって今は無星だが、もともとは陸上も勉強も優秀なやつで、なんとか挽回をと頑張っていたやつだ。
全速力で自室を飛び出した。
同盟の仲間の特徴は頭に入ってる。もちろんいるはずの部屋も。
第一男子寮へ、一階の右側奥から二番目、105号室へと走る。
部屋のドアは半開き。のぞいて声をかけても構わないというサインだ。
僕はドアに首を突っ込むようにして呼びかけた。
「いずみん!! いずみんいるっ?!」
けれどそこに、もう彼はいなかった。
応えたのは、イズミがいたはずのベッドに腰を掛け、うつむいたアオバ――イズミとよくつるんでいた、ルームメイトだった。
「行っちまったよ。黒服に連行されて」
「え……」
イズミが、なんで。
まさかと学内掲示板にアクセスすれば、最悪のモノが表示された。
以下一名の者を放校処分とする。
零星 マキノハラ イズミ
事由 学内規定違反によるティアポイント喪失
以上
「うそだろ、だってさっきミソラちゃんからボーナスきて……」
「いや、むりだろ。
試験中の相手に邪眼くらわせちまったとか、どんだけTPあっても一発降格。無星の俺たちは放校だわ」
「イズミ……」
そういえば、イズミはスキル『邪眼』を持っていた。
あの、『靴紐が切れてこけた』事件はそのせいなのか。グラウンドでイツカとカナタを見ているときに、うっかり暴発させたのか。
部屋の中は暗い、暗い雰囲気だ。
高天原の星級システムは独特で、所持TPが『星×100万』を下回ると降格となる。
つまり、TPが100万を切ると、無星転落。さらに0を下回れば、放校となる。
ゆえに無星になった場合、一刻も早い一ツ星復帰のために、もしくは放校回避のために、それまで持っていた装備やアクセサリーを売り払い、TPにあてていくものも多い。
イズミもそうだったが、それでも死守していたのがアクセサリーの『アイカラー:金(右)』。
けっして安くないアイテムだが、イズミは絶対に手放そうとはしなかった。
『これはさ、ニノの分身なんだ。
俺がここ来るとき、いつか追いつくから、それまでがんばれって言ってこいつをくれた。
だからこれだけは死んでも手放さない。ぜったいだ』
そう、青と金の瞳で笑っていた。
「あっ」
そのとき、部屋の隅で声が上がった。
いつも無口なミツルだ。
「見て、これ。愚痴スレ、……!」
いつになく興奮した様子で携帯用端末をつきだしてくる。
はたして、その画面に表示されていたのは――
名無しさん: わかった、金青のウサギな
きっと探し出すから、待ってろ
Nino




