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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_25 合宿と開発と(2)

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25-6 いぬねこうさぎのやらかしバトル?!

 ケイジとユキテルの『シルバー&ゴールド』は、二人ともに剣士の超攻撃型ダブルハンターバディだ。

 高天原において、だいたいのバディは前衛ハンターと後衛補助系。ふたりともハンターだとしても、タイプが違うことが多い。

 しかし『シルバーゴールド』はめずらしく、二人とも前衛で剣士なのだ。しかも足の速い犬装備。

 ふつうの前後衛構成のパーティーがやりあえば、あっという間に食いつくされてしまう。


 どうしてこうなったか。『S&G』はもともと、体の弱いケイジをユキテルが守り、ユキテルをケイジがフォローすることで成り立っていた『ふたりでひとつ』のバディ。

 しかしユキテルの放校、ケイジの成長を経た今、二人ともに敵陣に突撃できるやんちゃわんずバディが仕上がってしまったのだ。


 もっとも弱点はあり、ふたりとも鳥装備の『しろくろ』は鬼門。ソーヤとシオンの『ツーバイフォー』など、高機動タイプのダブルクラフターバディにガチに距離を取られれば、逆に一人ずつ集中砲火を食らって沈むことになる。

 おれたちもその前例に倣って攻める予定となっている。


 まずはおれ。始めの合図とともにフルバースト。両ももの魔擲弾銃オーブ・ランチャーを抜き、ケイジとユキテルに向けて撃ちまくった。

 品ぞろえはフレアボム、クレイボム、ブリッツボムにスモークグレネード。

 立て続けの爆音、爆炎、土煙が、フィールドにちょっとした地獄を作り出した。


 もちろんこの程度では、この二人を止められない。素早く跳び退く足元を、銀の斬撃が薙ぎ払う。すぐにケイジ本人も斬り込んできた。つづいてユキテルも走ってくる――よしよし、いい流れだ。

 ポーカーフェースのおれの見る先、ユキテルの背にイツカが降った。

 宙を蹴り、剣を押し立て、チャージなし。『ムーンサルト・バスター(弱)』というべき体制で。

 音もなく襲い掛かったそれは、見事にクリーンヒット。ユキテルが驚きの声を上げた。


「いってっ?! ……イツカ?!」

「へっへー。作戦成功!」

「なーるほどさっきの斉射アレはこういうことなっ! 面白いぞっこんにゃろう!!」


 そう、これはフェイントアタックだ。

 おれの銃撃で視界を悪化、イツカが跳ねて上空へ。相手が爆煙をついてつっこんできたところで、背後を取ってドン、という流れの。


 やりようによってはこの瞬間に一人討ち取ることも不可能でないシロモノだが、今回はポジション取りが主目的。

 いまだ八割のHPを残すユキテルは、レトリバー専用スキル『レトリーブ』を発動、大幅な自己強化のうえでイツカに斬りかかる。

 イツカも『ムーンライト・ブレス』で自己強化。そのまま激しく渡り合う。


「やっぱすごいよねユキテル。

『ブランクないどころか前より強いんじゃないか』って言われるのも納得だよ」


 一つ後ろに跳んだおれは、ケイジにむけて笑いかけた。

 これは彼の注意を引くための行動でもあるのだが、ケイジは笑みとともに応じてくれた。


「ゆっきーは頑張ったからな。

 二年間、働きながらもさ。

 ゆっきーはオレの誇りだよ!」


 言いつつしっかり斬撃は飛ばしてくるけれど。

 跳ねてかわして後退。おれを追わせつつ『瞬即装填フラッシュ・ロード』。左右の魔擲弾銃オーブ・ランチャーにボムを満たし、軽くケイジを撃ってさらに誘う。

 これももちろん、作戦行動だ。


 ケイジとユキテルは、あまり互いの距離を開けようとしない。近くにいるといないとでは、あきらかにパフォーマンスが変わる。

 本人たちもそれはすでに気づいていて、そこは今回、積極的につくようにしてくれと言われているのだ。


 案の定、ケイジの斬撃の精度が下がってきた。ユキテルもちらちらとケイジを見はじめ、こちらに来たそうにしている。

 そんな戦いぶりで、ノリノリのイツカ相手に耐えきれるわけもない。ユキテルはけん制の一撃でイツカをおしやると、こちら……というかケイジにむけて走ってきた。

 ケイジはそれを察し、ちらりとうれしげに振り向く。

 おれは横っ飛びで上空への射線を大きく確保。イツカは『短距離超猫走スプリン・チーター』をかさねた斥力ジャンプで一気に跳びあがる。


「カナタ!」


 何も語らなくてもわかる。狙いはケイジとユキテルの合流地点だ。おれはすばやく魔擲弾銃オーブ・ランチャーを向け……しまった。


「ごめんミスった!」


 急いで『瞬即装填フラッシュ・ロード』。『斥力のオーブ』を装填し撃つ。


「平気行ける!!」


 オーブとのランデブー地点、タイミングともずれてしまったが、そこはイツカ。もちまえの反射神経で、いつものようにオーブに足裏をつける。

 すでにパワーチャージは終わっている。月色の光をまとい、赤い光を宿した剣をふりかぶるイツカは、ルビーの瞳で狙いを定める。

 そしてこれまた、いつものように――


「『ムーンサルト・バどわっとぉ?!」


 オーブを蹴り上げたやつはしかし、とんでもない勢いでぶち落ちてきた。

 そう、これは、あきらかに勢いがおかしい!


「イツカ!!」

「おいっ」

「『レトリーブ』!!」


 異常を察したユキテルが、とっさに『レトリーブ』を追加発動。なんとかキャッチしてくれたのだが、もろともにどさりと地面に転げた。

 重なるように赤くポップアップした数字は、ふたつともに5000を超えていた。


「ふたりとも平気かっ?!」

「ごめんユキテルだいじょうぶ?! イツカしっかり!!」


 もちろん、二人ともに戦闘不能。

 テストバトルはそして、その場で中断となったのだった。

閲覧いただきありがとうございます!

おかげさまで、『勝手にランキング』さんでOUT12まで到達致しました!


次回、反省会!

イツカ「よし、最初から覚醒しとこう!」

カナタ「今度こそ殴っていいよねイツカ?」

お楽しみに!

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