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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_24 合宿と開発と

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24-7 それはお前の方だから!

 フユキははちみつ色の目でまっすぐにおれを見て、ストレートに言う。


「それはお前のほうもだ、カナタ。

 せっかくハイレベルな回避と移動を持っているんだ。お前ももっと動けた方がよくはないか。

 以前ライカに指摘されたとおり、地中移動をもっと活用することを視野に入れるのも一案だ。その間、他の補助が途切れるという問題はあるが、それもイツカの装備や技などで補ってしまえるなら、それこそお前たちのバトルが変わる。

 あくまで、俺の考えではあるのだが……。」


 さすがはハイスペックなフユキ。おれはおおいに触発された。

 これは試してみなければ。そう思ったらむずむずしてきた。


「なるほど、ありがとうフユキ。そこは一度、イツカとツメてみるよ。

 銃については、改めてそれからでもいいかな」

「ああ、もちろん。

 すまないな、突き返してしまったような形で」

「ううん。

 そのとらえ方は初めてだったから、かえって新鮮だよ。

 それじゃおれ、イツカを捕まえにいこうかな。

 フユキは?」

「そうだな、俺もナツキをハヤトのところに連れていく。

 一度コトハのところに寄るから、先に行っててくれ」

「了解!」


 なぜ『先に』なのか。特段の用事がない場合、イツカはハヤトとだいたい一緒にいるからだ。つまり、おれがイツカを、フユキがハヤトを訪ねると、必然的に合流することになる。

 さらにはこのところ『シルバー&ゴールド』――ケイジとユキテルとも何かというとつるんでて、そこここで『黒猫ちゃんのわんこはーれむ』なんて言われてたりする。あながち間違ってないようにも見えるのがなんともはや。

 案の定、ジムに入ると四人がスポドリ片手に仲良く話しているところに行き会った。


「あ、きたきたカナター」


 イツカがふりふりと手を振ってくる。おれは小走りでやつの方へ。

 周囲でそっと様子をうかがう野次馬が『御台所みだいどころがいらした』とかささやきあっているのが聴こえる。ハーレムの次は大奥かよ。もちろんさりげにガン無視である。

 とはいえ、ちょうど良かったのは否めない。さっそくおれはさきの件を四人にお願いしてみた。



「うーん。俺ひとりでも斥力ジャンプができるってのはすっげ面白そうだけど……

 正直さ。その戦法メインにするのはちょっと不安なんだよな。

 俺で平気な攻撃でも、カナタは無理なこともあるし……」


 猫耳を折るイツカ。おれは突っ込まざるを得なかった。


「いやお前と比べたらだいたいの生徒がそうだからね?

 覚醒なしでお前レベルに頑丈なのってここにいる三人ぐらいのものだから!」

「あー…………」


 ケイジがふかーくうなずくと、となりでユキテルがいう。


「でも俺確かにイツカの気持ちわかる。

 俺もケイもハンターだし、いまやケイのが俺より頑丈なくらいだけど、それでも気づくと俺が前に出ようとしちまうから」

「いやさぁ、ゆっきーは過保護なんだよ。

 オレ、もう体弱くないんだよ? 一人前の傭兵にもなったし」


 ケイジが口を尖らせば、ユキテルはケイジをじっと見る。

 そうしてやおらその頭をわしゃわしゃわしゃと両手で撫でまわし始めた。


「うあーだめだーケイはやっぱ守らねばならない対象だと再認識しちまったわー!!

 おーよしよしよしよしよしよしよしよし」

「くそおお物理的上から目線か! ぐれてやるー!」


 仲良くじゃれあう垂れ耳犬コンビ。ケイジは完全にキャラぶっこわれている。クールでお堅い傭兵団長どこいった。

 とまあ、それはおいとき。

 

「昔からの役割分担か……

 たしかにそれからいうとイツカは守らざるを得ない存在だよね……」

「へ?!」

「いやおまえ『突撃にゃんこ』だったじゃん」

「うぐっ!」

「お前が一人前のハンターになるまでおれやミライやまわりのみんながどれだけどれだけどれっだけフォローしたことか……」

「アー、ソレハソノー……」

「それは言えてる」


 ハヤトもしみじみとうなずく。


「俺との最初の試合と決闘のときも無茶しまくりで、しろくろがらみの決闘じゃ二回ともビーストモード。ライカによる特訓の時は俺の目の前でブッ刺されて人質になってるし、ノゾミ先生との覚醒チャレンジの話聞いたときなんかマジで血の気が引いたぞ。

 イツカは危なっかしい。これは間違いなく事実だ」

「い、いや二回目のビーストモードはわざとだしライカの特訓はノーカンでいいだろアレ!

 覚チャレだって、ノゾミちゃんセンセだからいけるってわかって追い込んでもらったんだし。

 それにそのあと俺りっぱにケイジと試合してるし『こよみん』事件の時だってちゃんとやれてるしー!」


 ムキになるイツカ。なぜか黒い子猫が一生懸命ミーミー言ってるように見える。

 これは、ブンブンとゆれるしっぽのせいか。イカ耳になった頭の耳のせいなのか。


「それは、そうなんだが……」

「ったくさぁ、せめてハヤトぐらいはもっとカッコいいとこ選択的に覚えててくれよなっ。カナタはもーしょーがないとしてもさぁ」

「イツカは落差がひどすぎるからな……だからこそみんなが応援しちまうんだが」

「……ビミョー……」

「でもってそれはお前もだぞカナタ」

「え?」


 急におれの方にむいた矛先に面食らってしまう。


「そもそも二人がああいう形で闘技場デビューするハメになったのはお前が無理したからだし、その後も部屋の掃除のことで野外フィールドに飛び出して死にかけてるよな?」

「うえっと、その…………」

「今でもレモン完コピ宣言は感情に寄った判断だと思っているし、悩むとイツカをモフり倒すし、イツカのピンチにはあからさまに動揺するし。

 覚醒チャレンジの件でとんでもない無茶してるのはお前もだからな?」

「………………………………」


 ぐうの音も出ないとはこのことだった。

 しかしハヤトはぽつりと言う。


「まあ、それでもアスカよりはマシなんだがな」

「えっ」

「お・れ・がどーしたってハーちゃん~?」


 おれたち四人、声を合わせてハヤトを見てしまった、そのときだった。

 アスカが『いた』。ニッコリ笑顔で、ハヤトの首をがっちりホールドして。どんな隠密スキル(※ただしリアル)だ一体。


「よーするに、どっちもどっちでたよんないとこと頼れるとこがあるってことっしょ~?

 まずは試作してバトってみなよ。なにも必ずしもメイン戦術完全に切り替えなくってもいいんだからさ!

 もちろんテスト戦は、おれたちバディもやらせてくれるよねっ。

 明日にはできる、ぴょんぴょんにゃんこブーツ(仮)?」


 ちなみにハヤトはギブギブとアスカの腕を叩いてる。どうやらヘッドロックじゃなくてフェイスロックのようだ。あなどれない。

 そういえばアスカがかつて――イツカとハヤトの決闘の後に言っていた『親密度イベント』は、そろそろ来るのだろうか。ふと、そんなことを思い出した。


いつもありがとうございます!


次回ボナトラ、海合宿完結(予定)! お楽しみに!

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