表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_23 新たな約束、新たな仲間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/1358

23-7 爆走にゃんこ、追いかける!

『どうせ泉に行ってくるなら、シャスタにお使い頼まれてくれる?

 もちろんわたしのお使いだから、抗魔力の護符も貸すし、報酬も出すわ!』


 エアリーさんからホットケーキを託されて、おれたちはシャスタの洞穴に向かった。

 だがその道中は、若干気まずいものだった。

 というのは。


「……………………。」

「……………………。」


 このパーティー唯一のカップルの雰囲気がなんか微妙だからだ。

 コトハさんはなんだかうつむいてるし、フユキは顔に出にくいながらおろおろ。

 これだったらまだあの激甘おやつタイムの方がましだ。

 最初こそソーヤとレンが冗談を連発してくれたものの、三十分もすればネタと気力が尽きたよう。

 ほかのおれたちも軒並みお手上げで、一度のおやつ休憩と何度かのエンカウントをはさんだ以外は、もくもくと洞穴まで歩き続けたのであった。



『どうした、わがカンナギたち。

 姉上から使いと聞いていたが、ふむ、新たな指輪が入り用かの、森猫の?』


 そんなこんなで洞穴入り口にたどり着くと、すぐに神秘的な女性の声が響いてきた。

 くすくすと、からかうような調子で。

 フユキは冷静に率直に答えをかえす。


「いや、けして装備品をたかりに来たわけではなく、純粋に修行をと」

「おい!」

「気にしないでください。私たち別にそういう間柄ではありませんから」


 そして、あっという顔になった。

 一方でコトハさんがすらすらと答えている――これはまずい。

 なぜって、内気で恥ずかしがり屋のコトハさんがだ。初対面の、すごい女神に対してだ。

 おそるおそるコトハさんの顔を見れば、眼鏡の向こうの目は無表情だった。

 これは……テンパってるときの目だ。それもめっちゃくちゃ。


「い、いや、……その」

「いきましょう。ホットケーキがさめちゃいますから。」


 コトハさんはすたすたと歩き出した。

 怖がりで慎重なコトハさんが。後衛クラフターのコトハさんがだ。


「ちょ、まっ……」


 とめようとしたそのとき、その姿が水色の光に包まれた。


『ふむ、気にしないでよいならば好都合。

 今回、この娘にはこちらについてもらうこととしよう。

 たまには人間と共闘のバトルもしてみたいものでな?』

「な………………!!」


 止めようとフユキが伸ばした手の先で、謎の光は、そしてそれに包まれたコトハさんは跡形もなく消えてしまった。



 そこからあとの勢いはとんでもなかった。

 もともとフユキは、ミッドガルド時代には兼業だったという。

 しかし得意分野に注力するため、高天原に来てからは『ハンター実習はあくまで力を落とさない程度』にとどめていたというのだが……

 今回は、コトハさんを守れるようになりたいと、実戦では久々に剣を振るったという状況のはずなのだが。


「おおおいフユキー!」

「まってよフユキくん速いよー!!」


 走る走る走る。


「おいっまずは支援すっから」

「突出したらあぶな……くなかったー!」


 エンカウントはなぎ倒す。


「フユキってば、そろそろおやつ!」

「後でいいっ!」


 おやつ休憩もぶっちぎり。


「ぜー、ぜー、ぜー…………」


 おれたちを引き連れてあっという間に最深部、『シャスタの泉』に到達したのだった。



 岩壁にかこまれた泉の間には、幻想的な光景が広がっていた。


 青い微光をたたえた水面に、シンプルな玉座がひとつ。

 おそらくは泉の水を形成しているのだろうそこに、清楚で神秘的な美貌の女性がかけている。

 透けるような青いドレープを重ねたドレスのすそも、透明感を宿した水色に波打つ髪も、長く、長く垂れ下がり、水底まで届いているのではないかという印象を受けた。


 そしてそんな彼女の足元、玉座にもたれるように座っている少女が一人。

 着ているものこそ、シンプルな白と青のワンピースに代わっているが、その顔、眼鏡、もふもふのたぬき装備。間違いない、彼女はコトハさんだ。


『おお、速かったな』


 玉座の女性はおれたちを見ると、洞穴入り口で聞こえたのと同じ声で、ゆったりと語り掛けてきた。

 おれたちは一様に息を切らして口がきけないのに、フユキは一言。


「コトハを返してください。シャスタ様」

『返せとは人聞きが悪いの。

 コトハはわらわの側につくことに同意してくれたぞ?』

「え……ほんとなの、コトハさん?」

「コトハさん!」


 シオンとミライがもふ耳を垂らして悲しい顔で問いかける。そもそも単体でも可愛いのに、二人そろうと破壊力がすごい。これで落ちてくれればいいのだけれど……


『くっ……ほ、ほんとなんだから! うそじゃないからねっ!』

「ごめんなさい、シオン君、ミライ君。でもわたし、こうでもしないときっと、ダメだから……」


 どうやら駄目だったようだ。

 レンはぜはぜはしながら無茶ぶりする。


「ぜー、はー……フユキ、やれ、それ」

「……『それ』?」

『わかったであろう!

 さあ、それ以上話をしたくば、われらに勝ってみせるがいい!!』


 フユキがきょとんとしている間に、シャスタ様と呼ばれた女性は、はるか見上げるほど巨大な水の龍へと姿を変えた。


「ちょ、ええええ?! なに、シャスタ様ってばマジこんな好戦的なの――っ?!」


 ソーヤが半笑いで叫んだ。


にゃんと! ブックマークありがとうございます!

なんだか、打ち切りから首一枚つながった気分です(おい)


次回、やっぱりバトルきちゃったよ!

ただし前回とは様相が違います。おもにぶちきれチートにゃん(灰色)のせいです。

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ