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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_22 しあわせのときへむかって

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22-6  月萌国の秘密(1+)、そして前のめりのモラトリアム

 その後一時間ほど、講習は続いた。

 内容は、この月萌ツクモエ国の現状だった。



 月萌が500年ほど前、建国の当初から鎖国をしていることは誰もが知っている。

 そしてその理由は、国家的政策判断を補助するスーパーコンピューター『マザー』による、総合判断とされている。

 しかし本当の理由は、伏せるべきと判断された情報を伏せ、β=力なき民たちを混乱から守るため。


 伏せられている情報のひとつに、月萌がソリステラス連合国との戦争状態にある、というものがある。

 かの国の工作員たちが、公式にはほぼ一貫して『コスプレ愉快犯』として扱われるのも、それゆえ。

 ただし月萌に姿を現すかれらは、ソリステラス人そのものではなく、彼らの操る『アバター』だ。


 もちろん月萌国内にそんなものは用意されていない。

ティアブラシステムネットワーク』。この地球のほぼ全域を覆う、『ティアブラシステム』のためのネットワーク、これを利用して『作られる』のだ。


 まずソリステラスから『TSネットワーク』を介し、ウイルスプログラムが送り込まれてくる。

 ほとんどは月萌が設けたセーフティネットに阻まれる。しかし、いくつかは辺境にたどり着き、『モンスター』として顕現。国内の土や水などを侵食、『表面換装マスクエフェクト』を悪用して工作員たちの使うアバターを作り上げるのだ。


 もしもそこにただの人がいたら、いろいろと大変なことになる。

 だから、高天原辺境は無人の地とされ、定期的に野外討伐実習が行われる。


 クラフト実習で作られた道具のほとんども、そのさいに使用されている。

 高ランクのものは月萌国防軍に納められ、規格外はアイテムリサイクル実習にと、すべて無駄なく月萌のために使われる。

 プリースト専攻の魔法治療実習もまた同様に…………。




「うあ~!」


 イツカは奇声を上げてリビングのソファーにぶっ倒れた。


「なんかさー! なんかもーさー!!

 俺たち三人これ半分くらい知ってたよな、ノゾミ兄ちゃんとミソラ姉ちゃんから聞いてさ!

 うっかり言っちまいそうじゃね? つかあのあと誰かに言っちまったらどうなってたんだよ……」

「そのへんは大丈夫なんじゃないの?

 ネット上に『あやしげな書き手による陰謀論』として定期的に流布されてるもの、これ。

 だから当時ペーペーのおれたちがうっかり口滑らしたところで、ただの中二病としてスルーされてたものなんだよ」


 おれが携帯型端末ポタプレに表示してみせたサイトを眺めてイツカはひとこと。


「……守秘義務講習、いらなくね……?」

「いまのお前たちは『高天原の四ツ星』だ。その言葉は重みをもって捕らえられる。

 その責任感を養ってもらうための措置でもこれはあるんだ。

 ほとんどの人間は発言の内容より、発言者の立場で態度を決めるもんだからな」


 すっかりオフの顔となったノゾミお兄さんは静かに言う。

 イツカの向かいの席で、ミライが入れてくれたお茶をうまそうにすすりながら。

 

「そういうもの……なのかなぁ……。」


 心優しいミライが悲し気な顔。

 それを見たノゾミお兄さんはミライを隣に座らせ、優しい目で諭し始めた。


「例えばだがミライ。俺はミライのいうことなら無条件で信じるぞ。

 だが、マルキアのいう事は一旦疑う。そうしないと、騙されてお前たちを危険にさらすかもしれないからだ。

 ミライも、ソナタを守るためなら慎重になるだろう?」

「……!」

「それとおんなじことだ。

 イツカとカナタは、いまや月萌が誇るアイドルバトラーだ。

 その発言は、多くの人の心に届くもの。だから誰かを不用意に傷つけないため、慎重にならなければならないんだ。

 守秘義務というのは、つまりそういう事でもあるんだ、ミライ」

「そっか……そうなんだ……

 責任重大って、ことなんだね……!」

「そういうことだ。

 優しいけれど強いおまえなら、できると思うけれどな」

「そ! そそそ、そっかな?!

 ありがとお兄ちゃん、おれがんばるっ!」


 ミライは大いに照れながらも、元気な笑顔になった。


「そうだよね。おれもはやくりっぱなαになって、お兄ちゃんとミソラお姉ちゃんを安心して結婚させてあげなきゃだもんね!」

「ちょ、いや待て、それはっ……」


 そして、無邪気に最大の攻撃を繰り出した。

 あわてまくるノゾミお兄さん。イツカがとってもいい笑顔になる。おれも便乗しておく。


「へ~~~ノゾミ兄ちゃんそんなこと言ってたのか~~~ほ~~ふ~ん~」

「そっか、そりゃがんばらないとだね~!」

「っっっっば、ばかやろうっ!

 お、おまえらがグズグズしてたら勝手に結婚するからなっ!

 か、か、勝手に幸せになっちまうんだからな!」

「聞~い~た~! さっそくミソラ姉ちゃんにそれ知らせようぜ!!」

「おい、待てこら!! やめろバカ猫!! モフりたおすぞ!!」

「♪~」



 そんな風に馬鹿やりつつも、おれたちはしばしのモラトリアムを満喫した。

 ただし、全力前のめりでだが。


 企画バトルで積極的に、三ツ星以下とも試合をし。

 ハヤトとアスカ、ルカとルナをふくめた四ツ星のみんなともガンガンバトルし。

 もちろん通常授業や専門実習にも手を抜かず。


 月と王冠と四つの星をモチーフとして、ニノがセンス良く成型してくれた『もとチョーカー』――うさ耳パーツ用バレッタと猫しっぽようリング――をトレードマークに、おれたちは戦い、学び、当番に精を出し。

 エステに通い、健康診断を受け、アカネさんに衣装を作ってもらい。

 レモンさんに歌唱やダンスの指導を受け、ときにはエルカさんにシックなコーディネートやウォーキングを習い。

 ときにはノゾミ先生とトウヤさんの『ラストバトル』に巻き込まれ、オルカさんに救助してもらったり。

 そして、遊んだ。お茶会もした。


 すると、あっという間に約束の日はやってきた。

すこし投稿時間を早めましたが私は元気です(魔女宅風)


次回! リムジンでわちゃわちゃしてソナタちゃんにお帰りいってもらう回!

お楽しみに!

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