Bonus Track_2 とあるリビングでの会話
「おかえりなさいお兄ちゃん。ごはんできてるよ!」
「ああ、ありがとう。
すまないな、何から何まで……
本来なら俺が面倒を見なければならない立場なのに」
「おれは充分めんどう見てもらってるよ!
これも、研修の一環なんでしょ?
それをお兄ちゃんのとこでできるなんて、むしろラッキーだったかも!
あれ、ねえ、ミソラさんは?」
「ミソラはマザーとの謁見があるからな、今日は帰れないかもしれな……
って、あいつはうちに『帰って』はこないからな? あいつは勝手にひとの家にあがりこんでメシを食い茶を飲み菓子を食ってくつろいでいくだけで、あいつの家はちゃんと……」
「いいよ、照れなくって。おれ、ミソラさんのこともだいすきだもん!
あっ。もしかしておれ、おじゃま……」
「そういうのじゃない。
……約束してるんだ。お前たちを立派なαにして、それからと。
お前にここにいてもらうのは、むしろ、約束を果たすために必要なことだ。
お前はすこしも邪魔なんかじゃない。ミソラもお前にここにいてほしいと言っている。
だから遠慮なくいてくれ。たのむ」
「……おれはαにはなれないよ。
『おれ自身がαになるのではなく、誰かをαにしてあげる。』
それが、おれの、生まれながらの……
この研修だって、ほんとは」
「あきらめるな。
まだ、きっとチャンスはある。
……あいつらならきっとやってくれる。
お前を、俺たちを、こんな境遇から救い出してくれるはずだ」
「……うん」