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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_22 しあわせのときへむかって

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22-1 ハートチケットと家族計画?

「いや、さすがに無茶言うな。」


 一ヵ月以内に五ツ星になれる方法はないか。答えを求めてノゾミ先生をつかまえてみたものの、そのこたえはつれないものだった。

 リビングのソファーの上、ミライがいれてくれたお茶をうまそうにひとくちすすると、先生はきっぱりこう言った。


「二人とも、四ツ星昇格して一週間もしてないだろうが。

 三ツ星から四ツ星。四ツ星から五ツ星になるのは、まったく世界が変わることなんだぞ。

 五ツ星としての知識・実力・技量がすでにあるなら別だが、お前たちはまだ足りない」

「えー。俺無敵スキル覚醒したじゃーん! こよみんだって止めれたしさー!」


 イツカが口をとがらせても、先生の答えは変わらない。


「それを加味してのあの褒賞だ。

 むしろあそこでミライたちの助けまで受けていて、あのTPはくれてやりすぎな程だ。

 マザーはぶっちゃけお前に甘いと俺は思うぞ」

「え……マジ?」

「あ、それは言えてるかも」


 おれはうなずいた。月萌ツクモエの象徴たる『マザー』と個人的に親しいとか、へたすればえこひいきが疑われてしまう案件だ。

 ともあれ、ノゾミ先生は問い、イツカが答える。


「というかお前たち、急にどうしたんだ?

 ほんのついこの間言っていただろう。一か月後の月給で手術費用が貯まって、さらに一か月後くらいにソナタの手術。術後の療養期間を一か月みるとして、その頃には五ツ星になっていたいと。

『にじいろ』の善意で一ヵ月前倒しにはなったが、さらに前倒しとか、いくらお前たちでも無謀だぞ?」

「いやさ、どうせならソナタちゃんが自由になれるときに、ミライも自由になれてたらいいかなーって……

 だからスパートかけて昇格して、『ハートチケット』で還付もらって、て考えたんだよ」


 五ツ星に、αになったら『ハートチケット』がもらえる。

 これを使えば、ソナタたち『ハートチャイルド』の心臓の手術費用が、全額免除になる。もしチケット交付までに費用を払い込んでしまっていても、同額の還付が受けられるというミラクルチケットだ。


 おれたち『ウサうさネコかみ』はミライの意向で、ミライの身請け資金を貯めてこなかった――ソナタのための手術費用を優先して集めていたのだ。

 それゆえ、身請け資金として今あるのは、ルカたちが集めてくれた『ソナタちゃんミライくんファンド』の残りのみ。

 ぶっちゃけて言うなら、ぎりぎり三分の一位。

 しかしここに『ハートチケット』による還付を足すと、なんとか身請けが可能になるのだ!


 先生は意外な答えを示してくれた。


「お前たちの気持ちは嬉しいが、……いや、ハートチケット『が』必要ならば、方法はないでもない」

「えっえっ、どういうの?!」

「ハートチケットは、そのハートチャイルドの『家族』しか行使できない。

 ならば、俺とソナタが家族になればいい」

「……っ?!」


 もっともそれは意外に過ぎた。おれたち三人はノゾミ先生をガン見していた。


「お、お兄ちゃんっ?!」

「ソナタを養女にするんですか?!」

「ソナタちゃんと結婚すあいたたたた?!」


 大外れを口走ったイツカには先生のこめかみグリグリが進呈された。

 一方で、ミライは顔を赤くしている。


「イツカ、お前の直観はどうしてそう気まぐれなんだっ。

 カナタは惜しい。ミライは当りだ。

 ――ミライとソナタが結婚すればいい。

 そうすれば、ソナタの義理の兄として俺が、ハートチケットを使ってやれる。

 もっとも二人の年齢的に結婚は難しいから、現状は婚約になるが、正式な婚約ならばこの場合は認められる。

 まあ、若干早すぎるとは思うが、こればかりは本人たちの気持ちだからな。

 ソナタとミライ、二人が心からそれを望むなら、俺は祝福するぞ」


 それを聞いて、おれの胸は高鳴った。

 かわいいソナタとかわいいミライが明日を誓う。しかもそのことでミライも自由になれる。どこをとってもいいことづくめだ!

 思わずミライの手を取って、弾む気持ちをぶつけていた。


「おれは賛成だよっ!

 ソナタのお祈りパワーはミライにきた。つまりソナタはミライが一番好きだもの。

 おれもミライを大好きだし、反対する理由なんかひとつもないよ!」

「ま、ま、待ってカナタっ。

 そうなったらすっごくすっごくうれしいけど! こ、婚約なんて、まだっ……!」


 しかし、ミライは慎重だった。

 ほっぺたを真っ赤にしながらも、とつとつと言葉を紡ぐ。


「カナタのきもちはすっごくうれしい。

 ソナタちゃんがおれのおよめさんになってくれて、カナタがもうひとりのお兄ちゃんに……そうなれたらおれ、世界一幸せだと思う。

 でもおれ、まだソナタちゃんに告白もしてないんだよ。

 ソナタちゃんの『好き』が、そういう好きかどうかもまだ、わかんないし……

 それに、そういうことは、ソナタちゃんの計算にいれてほしくない、っていうか……

 やっぱりソナタちゃんには、本当に純粋に『すき』、ってことだけでその、婚約とか、してほしい、から……っ!」


 それを聞いた瞬間、ぶわあっと目の前が曇った。

 思わず顔を覆うと、ミライの慌てた声が聞こえた。


「あ、あれっ? カナタ、どうしたの?!

 ごめんね、傷つけちゃった??」

「ううん……うれしくて……

 かわいいミライがかわいいソナタのことを、そんなに大事にっ……

 おれ、生きててよかったよ。

 驚かしてごめんねミライ。ソナタを大事に思ってくれて、ほんとに、ありがとう……」

「カナタ……!!」


 顔を上げて目元を拭くと、ミライが感に堪えない様子でぎゅーっと抱きついてきた。イツカがぽんぽんと背中を叩いてくれた。

 ノゾミ先生――ノゾミお兄さんが優しい顔で、ハンカチを目元にあててくれる。


「ほんとうにカナタはミライが好きなんだな。

 ……いつも弟を大事にしてくれて、ありがとうな」


 さらに泣けてきたところでイツカが、そのムードを完膚なきまでぶっ壊してくれた。


「もうさ、もしミライがソナタちゃんにふられたら、カナタがもらっちゃえばどうだよ?

 俺反対しないしばふっ?!」

「い、い、いつかっ?!」

「ば、ば、ばかっ、なっなななに言ってんのお前っ?!

 お、おおれにはライムというひとが!!」

「あら、もしもカナタさんがそれを望まれるのでしたら、わたくしは反対致しませんわ?」


 ミライが慌て、おれがイツカに『うさ耳パンチ』をくらわすと、さらにとんでもない声が聞こえてきた。

 振り返ればまさかのライム。聞かれた。聞かれたよね今の完全に。いやまて、ライムはミライと入れ替わりで帰ってたはずだよね?! テンパりながらも問いかける。


「え、ええっとラ、ライム? な、な、なにかわすれもの……」

「ええ、ついさっき考え付きましたの。

 わたくしも『ハートチケット』を持っているのですわ。

 ですので、もしもわたくしが……」

「えっ………………」


 ま、まさか。それを言ってしまうのか。また、どういう心境の変化で?? いや、聞いてしまっていいのだろうか。もしも聞いてしまったら……

 そんな風に慌てていると、ライムはいい笑顔でこう言った。


「ソナタさんをわたくしの養女もしくは義妹として迎えさせていただければ、何の問題もなく使って差し上げられるかと!」

「そっちっ?!」

「だってわたくしもミライさんと同じ気持ちですもの。

 ……カナタさんがもし、わたくしと伴侶の誓いを立ててくださるのであれば。

 ただ『好き』という気持ちだけ、それだけで決意していただきたいのですわ。

 もちろん、そのためにわたくしも頑張りますから!」


 守ってあげたくなるような細腕でガッツポーズをして見せるライム。なんというかもう、尊い。反射的に結婚してくださいと口走りそうになった。ひきょうすぎる。


「おー! 愛されてるなカナター!

 ミライもさ、とりあえず告白してみればいいんじゃね? で、よさげならプロポーズしてみてさっ。

 行けると思うんだよなー。だってちっちゃいときソナタちゃんよく言ってたじゃん。ミライおにーちゃんのおよめさんになるーって」


 イツカが言えば、ライムもぱふんと手を打つ。


「そうですわ、ではソナタさんにお会いしたなら、まずわたくしがそれとなく、正直な気持ちを聞いてみますわ。その結果で作戦会議をいたしましょう?」

「えっと……うんっ。

 いきなり無理に告白とかして、困らせたくないものね。

 ライムちゃん、よろしくおねがいします!」


 話がほのぼのまとまったところで、ノゾミ先生が眼鏡を直して言う。


「まあ、そういうことだ。

 ハートチケットが必要ならば、いくらも手はある。

 しかしイツカとカナタが五ツ星になるためには、まだまだ時間が必要だ。

 普通のペースなら三か月。早ければ二か月。

 まずは一か月後、ソナタにカッコいい姿を見せられるように頑張れ。

 というか忘れているかもしれないが、お前たちの卒業試験は俺とのガチバトルだからな?

 勝てとまではいわないが、五分程度には渡り合ってもらえなければ合格は出せないぞ。

 五ツ星になれたはいいが、いつまでも卒業できないようではむしろ恥ずかしいからな。そのつもりで仕上げていけよ?」


 そこで『はい!』といけばさわやかなのだろうが、残念ながらそうはならなかった。

 イツカが疑問を呈したのだ。


「それなんだけどさ、よく考えたらフツーに厳しすぎねえ?

 ノゾミ兄ちゃんて、ぶっちゃけエクセリオンレベルだろ? それと二人がかりでとはいえ渡り合うとか、ただの五ツ星には無理ゲーじゃね……?」

「何を言ってる。イツカとカナタは『赤竜ドラゴン』とその世話役だ。卒業すれば即エース候補だぞ。

 あの女……マルキアもあからさまに興味を示していやがった。

 最低でもそのレベルになってもらわなければ、危なくってここから出せやしない。

 それはアスカとハヤトについても同様だ。互いに補い合って、しっかりやれよ」

ふ、風呂回が……バズったっ……?!(※日向比)

そしてブックマークありがとうございます!

ちょろっと気楽に読める娯楽作品を目指したいです♪


次回はノゾミ先生視点によるお見舞い回。ミツルイベント回ともいいます。

お楽しみに!

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