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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_21 選択と集中?

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21-4 ごちゃまぜケーキバイキング・再び!(3)

 おれがやっと本題に入れたのは20分後。

 若干やきもちを発動させたデイジーが、リリー君を連れて店を出たあとだった。


『ごめんねカナタ! すっかり時間取らせちゃって……』

「ごめんなさい、今日はカナタの話を聞くってここにきたのに」

「わたくしもごめんなさい。

 ここへのおでかけは、わたくしが言い出したものですのに……」


 二人を見送ると、ライカを先頭に、ルカとライムもそろって頭を下げてきた。

 あせっておれは三人の頭を上げさせた。


「いいっていいって、そんな長い時間でもなかったし!

 ……デイジーの幸せの手助けだったら、おれも異議はないしね」


 敵国人のおれを守ると言ってくれた少女と、一部の記憶と魂を共有するという存在。

 ライカは、彼女もおれを好きなのだと言っていた。

 けれど。


「たぶん、今回のはこれで正解だったんだよ。

 全然気にしてない相手に、やきもちなんかやかないもの」


 デイジーはリリー君にやきもちを焼いた。つまり彼女の中に、彼に対する気持ちは『ある』という事。

 なら、これは『正解』だったのだ。


「いずれデイジーに説明しないとね。また、二人に来てもらってさ」

「賛成!」

「賛成ですわ!」

『よーしカナぴょん、ならばこっからは優しい君がモテモテになるターンだ~!

 おれとハルオさんを一日好きにしていーよ♪ カナぴょんのすきなこと、なーんでもしてあげる♪』


 するとライカ、さっそくおれの隣に回って腕を組んできた。

 見た目は完全に美少女なのに、触った感じ……そこのところは詳しくは言えない……は男なんで、違和感が半端ない。どうしてこうなった。

 狼狽しているとさっそく『ハルオさん』もやってきて、まるで騎士ナイトのようにおれの前にひざまずいた。

 今回も『取ってつけたような眼鏡』『怪しい黒のトレンチコート』『今時見ないタイプの七三分け』という謎の三点セットなのに無駄にかっこいい。解せない。


「あいわかった。ライカ君の命令ならば聞かざるを得まい。

 カナタくん、今夜私は君のものだ。できれば優しく」

「あなたは何もしないでください。」


 おれは即答した。



 そしておれは、ライカにふたつ頼みごとをした。

 ひとつはうはうはしてる『ハルオさん』を安全にしまっておくこと。

 もうひとつは……いや、これは後でいいだろう。

 そんなわけでおれは、ようやくライムとルカを前に、話を切りだしていた。


「もしかして、もう予測してるかもしれない。

 でも、ちゃんと言わせて下さい。

 考えたんだけどおれ、今はαになることを一番に考えたいんです。

 今、この半端な状態で無理に何かを決めようとしても、結局半端な結論しか出せずに、二人を振り回してしまうだけになる。

 それは、避けたいから……。」


 ライムはルカを見る。ルカは思った以上に冷静な様子で確認してきた。


「ソナタちゃんの手術のこと。ミライ君の身請け。それと、フユキ君のことね」

「うん。

 フユキからは、自分よりソナタのほうを優先してって言ってもらってる。

 手術費用は今月にも貯まる予定で、そうなると来月かその次には手術。

 そのあとαになったらハートチケットを使って、そのお金をミライの身請けに充てる。そんな目算だよ。

 本当はミライの身請け代も三ツ星の段階で稼ぎきる予定だったんだけど、まさかこんな速さで四ツ星になれると思ってなかったからさ」



 ――だから『マザー』から受け取った褒章目録の中に、おれの四ツ星昇格の一文を見つけた時にはむしろ、戸惑いが先に立った。

 このペースでは、ミライの身請けがすむ前にきっと、おれたちはαに、五ツ星になってしまう。

 そうしたらもう、卒業したも同然だ。

『三人いっしょに、高天原で学びたい』。かつて抱いた望みは、諦めなければならないだろう。


 けれど、背中を押してくれたのはミライだった。


『カナタ、辞退なんかしちゃだめだからね! せっかくのチャンスなんだから!

 ミソラお姉ちゃんときめた目標は『在学中に』だよっ。

 たとえ五ツ星になってもまだ卒業前研修だってあるんだし、基礎学科の授業もあるでしょ? だからぜんぜんセーフなんだからっ!

 だから、迷わないで。

 おれならだいじょぶ。むしろとっても嬉しくて、とっても誇らしいんだからねっ?』と。



「……そっか。

 そのことだけどね、これ、見てもらえる?」


 対してルカは、すっと携帯用端末ポタプレを差し出してきた。

 その画面を、そこに横たわっていた文字と数字を見て、おれは驚きの声を上げていた。


「え……ええっ?『ソナタちゃんミライくんファンド』てこれ、……

 それも、こんなに……?!」

「『にじいろ』の中にも、あなたたちを気にしている子がいてね。

 まあ、あたしたちもその、気になってなかったわけじゃなかったし……

 実は今日、目標額がたまったの。

 よかったら、受け取ってもらえるかしら」

「い、いいの……ほんとに、いいの……?」


 これなら。これならソナタの手術費用は余裕でクリア。

 そして、五ツ星になる前に、ミライを自由にしてやれるかもしれない。


 けれど、この額は。

 おれはたずねずにいられなかった。


「『にじいろ』で困ってる子は? このTPがあれば、放校や降格を免れる子とかはいない……?」

「そのあたりはバッチリやってるわ。

 ほらっ、あたしたちにもメリットはあるわけだし?

 その……カナタの後顧の憂いが解決すれば、あ、あたしのチャンスも早まる……わけでしょっ?

 だから、そのっ……」


 ルカは赤くなってうつむいた。

 向こうのテーブルから、ルナがさりげなくこちらを見ている。つまりこれはルナたちに言えと言われていたことなのだろう。

 そうしてかっこよくキメようとしたけれど、最後の最後で照れてしまったというわけだ。


 ともあれ、そこまでしてもらったなら、こたえは一つ。

 おれはスパッと頭を下げた。


「ありがとう、ありがたく使わせてもらいます!!

 ふたりとも喜んでくれる。おれたちもうれしい。

 お礼と言っては何だけど、これからも、困ったときには相談してね。

 αになるのが一番ではあるけど、それでもできる限りで力になるから!

 そうだ。ソナタの手術の時でも、よければルカたち代表者何人かでいっしょにお見舞いに来てもらえるかな。ソナタ、すごく喜ぶと思うから」

「うんっ、声かけてみるわ! ありがとうカナタ!」


 ルカは頬を染めたまま、ニッコリ笑ってくれた。

 安堵からか、いつになく無邪気なその反応が、やけにかわいらしく思えて……

 気づけば顔が熱くて、ライムにまとめてくすくす笑われてしまった。

 いやおちつけ。いやおちつけ。まずは本題に戻ろう、それがいい。


「ってことは、ルカは……」

「ええ。待つわ」

「わたくしも、お待ちしますわ」

「ライム……」


 ふたりはそろってさっぱりと答えてくれた。


「これから両方αになるまでは、ライバル兼友人、でいきましょう」

「わたくしは、メイド兼おさななじみ、でお願いいたしますわ」


 そして、ふたりで顔を見合わせて笑うと、こんなことを言ってきた。


「で、あたしたちからも提案なんだけど。

 たまに三人でここに来ましょう。

 たとえこの先どうなるとしても、せっかく三人仲良くなれたんだし!」


 なんと二人はとっくに、考えを共有していたようだ。

 おれは正直、驚いた。

 そして素直に、両手を差し出した。


ネットが激重です……

うまく投稿できるといいのですが!

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