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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_20 白い猫でも、黒い猫でも

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20-1 『マザー』の正体(1)

2020.04.01

一部表現を修正しました。

小さな体に水晶をちりばめた青いドレスを→小さな体に青い、水晶をちりばめたドレスを

『マザー』は、この月萌ツクモエ国を見守り、政策決定や施策の補助を行うスーパーコンピューター。

 であると同時に、この国の象徴たる『女神』でもある。

『マザー』は月萌の重要時には人型の『化身』を遣わす――たとえば、今のようなとき。

小夜見コヨミII』救出作戦の成功を讃える式典は、いま真っ盛りだった。


 学内講堂の壇上には、サラサラとした水晶色のロングヘアに銀の三日月の髪飾り、小さな体に青い、水晶をちりばめたドレスをまとった少女。

 この姿こそ、『マザー』クレセントフォーム。

 女神の名にふさわしい気品。大人顔負けの知性。

 つねに堂々と落ち着いて、なのにどこか可愛くて、ふとみせる顔はとても優しい。

 そんな彼女は、月萌全国民のアイドルである。


 だが、いまのおれにはそんなこと半分どうでもよかった。

 どうも彼女とは、どこかで会っている気がしてならないのだ。

 それも、一度二度どころの回数じゃなく。


 もちろん、月萌の象徴たる彼女の顔は、こどものころから知っていた。

 けれど、それはあくまで画面や紙面ごし。

 こうして直接、生で会うのは初めてのはず。

 気になる。いったいどこで。

 首をひねっていると、おれたち三人が呼ばれた。

『ミライツカナタ』と、パーティー名で。

 はいっとあわてて返事して、座席の列の間を通路へ。通路をたどり壇上へ。


 一気にこみあげてきた緊張を深呼吸で押し流しつつ、目の前の小さな国主を見る。

 月の夜空のブルーの瞳が、じっとおれたちを見る。

 彼女はそして、澄んだ声でおれたちを讃え、励ます。


「試合と連戦と作戦行動を、すべてなしとげたバイタリティ。

 豪胆にして繊細なやりようには、感嘆を禁じえぬ。

 我が戦士の見習いたちよ。今後とも心して励むように」


 はいっ、と返事する。柄にもなく少し声が上ずった。

 イツカが代表して賞状と褒章目録をいただく――いや、なんだってお前いつもどーりのカオしてんだよ。ソナタの友達とかじゃないんだぞおい。

 一礼して退出しようとしたときおれは、彼女がいたずらっぽい笑いを浮かべているのを見た。


「なにをそんなにかしこまる、初めて会うわけでもなかろうに」

「え?!」


 聞き返したかったけど、その暇はなかった。

 後ろ髪をひかれつつおれは、女神の御前を去ったのだった。




 同じ感想を抱いたのは、おれだけではなかった。

 ヴァルハラフィールドで執り行われた祝勝会。

 そこで、ほとんどの生徒たちが一様に疑問を口にしていたのだ。


「あれは会ってる」

「絶対会ってる!」

「どこでだろ……」

「え? あいつティアラだろ?」


 そんななか、サラッといいきる男が一人。そう、恒例のイツカだ。


「は?」

「えっ?」

「ティアラって『ティアブラ』の女神ティアラ?」

「いやいや……うそ?!」

「で、でもそういわれてみれば……

 目の色とか、アクセント、あと体幹の使い方。完全に一致する!」


 しゃかしゃかっとシオンが出してきた画像と数字におれたちはざわついた。

 けれどイツカは平然と言う。

「だろー?

 すぐわかったぜ、あいつとはしょっちゅう話してるし」

「……えっ」

「ええっ?!」


 さらにやつはこんなことまで言う。

「いや、献上の時話そうと思えばちゃんと話せなくね?」

「えええええ?!」

二日前PVに仰天し、本日その日のユニークを見て二度驚いた私がいます。

おおおおおおおお?!(心の叫び)ありがとうごさいました――!

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