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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_19 『守護者』の理由(2)

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Bonus Track_19_4 間奏(忍び寄る化生の、もしくはこたえあわせ1)~フィル=レムレス=ホワイトの場合~

 門前に残るのは『シルバー&ゴールド』。

 すなわちケイジとユキテル。あの中では最弱の、ダブルハンターユニットだ。


 残りの三隊が空と地上から先行を試みる。

 地上を走る『白兎銀狼』『ミライツカナタ』、地雷を踏んで大ダメージ。

ホーリーナイトバットガール』は空から救助に入ろうとする。

 二階屋上のレッドが、機銃掃射でそれを阻止。


 その間に、門前のブルーが『シルバーゴールド』を撃破。

 さらに動揺を深める『H&B』を、レッドが撃破。


 あとは、ただの作業となる。



 ――はずだった。



 ふたを開ければ門前に残ったのは二パーティー。それも二番目三番目の『白兎銀狼』『ミライツカナタ』。

 しかも高天原生なら絶対にやらないやり方で、頼みのMRLを無力化してきた。

『ブルー』は機転を利かせ、焦った演技をして見せるが、先行2パーティーは粛々と地雷を破壊。

『S&G』『白兎銀狼』『ミライツカナタ』のコントロールセンター到着を許してしまった。



 そこまでは、まだ理解できる。彼らが、僕たちの策を見抜いて行動しただけのことだ。

 でも、その後に起きたことは全く不可解だった。



『白兎銀狼』は建物の横手に張り付き、増援に対する警戒に当たる。

『ミライツカナタ』は正面から、『S&G』は裏口からの侵入を試み、それぞれ玄関ホール、裏口前でそれぞれジュジュ、『グリーン』と戦闘開始。

 だがその直後、屋上で『レッド』が謎の悲鳴を残して倒れた。


『レッド』が倒れたときの警備カメラの映像を、巻き戻してスローで再生してみる。

 ほんの二秒ほどだけ写っていたのは、全身真っ白なメイド服の少年だった。

 顔はアスカによく似ているが、頭にはネコミミ。


「これは……ライカ?!」


 そんな馬鹿な。そのときライカはハヤトの背に負われているのが、はっきりと警備カメラに写っている。

 ぶっちゃけ微動だにしていない。あんまりに動かな過ぎて、どこからかやってきた白い子蜘蛛が、彼の頭と建物の間に糸をかけてしまったくらいだ。

 これは、いったい……。

 なんとはなしに画像を拡大してみた僕は、あっと声をあげてしまった。

 それは、蜘蛛なんかじゃなかった。

 白い、大きな耳をもつ、極小サイズのうさぎだったのだ。

 しかもそいつはこちらをみて、ニヤリ、と笑ったようにも見えた。


『よーっす『ホワイト』ちゃーん。

 おにーさんとイーコトしなーい?』


 そのとき、後ろからふわっと抱きすくめられた。

 横合いからぬるり、と僕の顔を覗き込んできたのは、アスカによく似た顔で、ネコミミをつけた――


「ひ、」


 助けを呼ぶ暇もなく、僕は声を奪われた。


 恐怖もあったが、まず確かめたい気持ちが勝った。

 警備カメラのひとつには、いまもハヤトの立ち姿。

 頭から、蜘蛛の糸とみえるものがキラキラと伸びている。

 そういえば、ハヤトの立っている場所のうえ。二階部分にもダクトがあった。

 そしてそいつは、この部屋につながっていたはず。

 この部屋の換気口ダクトを横目で確認する。

 はたしてそこからは、キラキラ光る蜘蛛の糸のようなものが垂れているのが見えた。


『はーい、よくできましたー。ライカちゃんはなーんにでも化けられるんだなー。

 メイド服が似合うぜっせーのびしょーねんとかー、鎧が似合うぜっせーのびしょーねんとかー、蜘蛛と見せかけたミニミニうさぎちゃんとか!

 もちろんうさぎ部分をこうしてヒトガタにするのだって思いのままさぁ♪

 ってわけでひとつ、カンタンな質問に答えてもらおうか。

 いま『小夜見コヨミII』のコントロール権限もってんのはマルねぇ様である、YesかNoか?』


 ライカの問いに、僕はうなずいた。それは、事前のお言いつけ通り。

 僕たちはあくまでただの『したっぱ』だ。コントロール権限などは、すべてリーダーであるマルねぇ様が持ち、尋問を受けたらそのことは素直に吐いていい。

 いくらアバターとはいえ、拷問などされたら寝覚めが悪いからね。

 マルねぇ様は出撃直前、僕たちにもう一度言い聞かせてくれた。

 ……それを裏切れば、マルねぇ様が悲しむから。


 そのときモニターの中、『ミライツカナタ』がジュジュをとらえるのが見えた。

 爆煙のなかからイツカが、得物を振りかざして飛び出す。

 しかし、衝突の寸前みずからソレを手放し、タックルに切り替える。

 ジュジュはすばやくソレをすくい取ったが、あっという顔になる。


 イツカが手にしていたのはイツカブレードではなく、その鞘。

 イツカブレードを持っていたのは、後ろに下がっていたミライだった。

 剣そのものならまだしも、鞘なんかぶつけたところでダメージはたかが知れている。

 そこをつかれて、ジュジュは取り押さえられてしまった。


 その姿を見ながら、僕は思った。

 ああ、僕らは彼らをなめすぎていた、と。

 同時に、こうも思った。


 ――あれじゃあ、ジュジュも好きになっちゃうはずだと。


『え……あ、あれ?! ちょ、ホワイトくん?! ごめんどうしたの?! どっか痛くした?!

 回復ヒール! これでいい? ダメ?

 あわわどうしようどうしよう……アスカとハヤトに怒られる~……』


 大慌てでライカが僕の目元を拭いてくれたけど、一度曇ってしまったモニターは、なかなか見えるようにはならなかったのだった。

いつもありがとうございます。

次回、種明かしという名のどんでん返し! お楽しみに!

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