17-4 『ふしふた』ラスト2バトル・ノーカット版!(あの感動のバトルを二週分つなげてみました)(1)
あの『ふしふた』のラスト2バトル、どうせなら続けて見てみたいっ!
というわけで、つなげてみました。
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Match_A:REN/AOBA
照明が落ちる。スポットライトが光を放つ。
白のひかりのなかに立っているのは、影法師。
いや、小柄な少年だ。
黒く、艶やかな短髪。
くるぶし丈のマントも、細い体躯を包むぴったりとした服もブーツも、すべてが黒、黒一色。
わずかにのぞいた小さな顔の、白い肌色が浮きあがるよう。
しかしそんなコントラストは、あっさりと忘れ去られる。
ガーネットの瞳が昂然とあたりを見回せば。
その口から不敵なタンカが飛び出せば。
「俺としちゃあさ。
てめぇらがホンモノかニセモノか、無実かギルティか。んなこたどーでもいーんだわ。
俺を左遷したお返しだ!! まとめて吹き飛べオラァ!」
――高々掲げた手の上に、抱えるほどの大きさの、巨大爆弾が姿を現せば。
しかし振りかぶられたそれが、投げ放たれることはない。
鋭い掛け声とともに飛んできた、小さな投網のためだ。
間一髪後退した黒の少年は、その正体に怒声を上げる。
「なっ、捕鳥ネット?! 誰だ、こんなもん投げやがったのは!!」
もうふたつ、スポットライトが光を放つ。
姿をあらわにされたのは、ふたり。
ひとりは大きく右手を振りぬいた姿勢でいる。
アッシュの入った茶色の短髪、ふさふさしたこげ茶と白色の猫耳。
やや小柄、愛嬌と華のある少年だ。
太めの尻尾を振りながら姿勢を正せば、きらきらと大きな瞳、瞳と同色の青葉色のチュニック、茶系でまとめた軽鎧とボトムス、猫の手をかたどったまるっこいグローブとブーツが次々印象を残していく。
いまひとりは、全身白をまとってすらりと立っていた。
クロークのフードを深くかぶり、猫耳の少年に寄り添うように。
じっと動かず、声も発さず、男女の別すら不明である。
「……んっだ、誰かと思ったらあの村のガキどもか。
帰れ帰れ、ここはガキんちょの来る場所じゃねえぞ!」
黒衣の爆弾少年はめんどくさそうにしっしっと手を振った。
が、対する二人はめげない。
「俺たちはもうただのガキじゃないっ!
騎士見習いになったんだ。ミツルも、プリースト見習いに!
『爆殺卿』レン! 今度は俺たちの手で、お前を倒してみせるっ!
俺たちを助けてくれた、ミズキさんたちに恩を返すためにも!
――騎士見習いアオバ、参る!!」
アオバと名乗った軽鎧の少年が、背からハルバードを抜き見得を切る。
銀の刃先が宙を切り、右肩にあしらわれた紋章がキラリ。
杖を掲げる白装束の右肩でも、同じ紋章が銀の光をはじく。
それは、王国騎士団に属するあかし。
かつては無力な村人だった二人の、決意と努力の証だった。
「へーへーそうっすかー。
おいチアキ起きろ。おしごとの時間だぞ!」
「ふえっ?!」
しかし、見得を切られた本人はあくまでめんどくさげ。
振り返らぬまま呼びかければ、素っ頓狂な声が帰ってきた。
ややあって、レンより少し大きい少年が、眠そうに目をこすりつつ姿を現す。
なぜか、ピンクのパジャマ姿。『ちあき』と書かれた、大きな白いふかふか枕まで抱えている。
優しげな顔や声。柔らかな茶の髪の上で、コーヒー色の犬耳が片方ぺしょんと垂れていることもあいまって、文句のつけようがないほどの脱力わんこである。
「むぅ、どうしたのレン~。またジャムのびんがあかないの~?」
「あー、まあ、そんなかんじで……
と、とりあえずあいつらから俺を守ってくれ!」
「はーい。
シャスタさま、どうか力をお貸しくださいっ!」
犬耳少年が左手を宙に掲げれば、手の甲にはめ込まれた大ぶりの碧玉がきらめいた。
そうして虚空にあふれ出たのは、輝きを帯びた水とみえるもの。
それは意志でもあるかのように、くるくるとチアキにまといつき、ピンクのパジャマは水色に輝く武装にチェンジ。枕も光を放って変形し、一振りのすきとおる剣となる。
「おーし! こんどこそーってどぅわっ?!」
レンは輝かしい守護者を得、にやりと笑う。
そしてもう一度、巨大な爆弾を持ち上げる。
そこへ降ってきたものは、白く輝く衝撃波。
たたらを踏むレン。あやうく爆弾をしっかと抱える。
衝撃の源を求め中空を睨めば、白い姿が舞っていた。
ミツルと呼ばれた人物だった。
クロークを払って羽ばたくのは、風切り羽根だけ黒い、白の翼。
大きく動いたためだろう、深くかぶっていたフードも脱げ、切りそろえられた銀髪と、紅の瞳があらわになっていた。
「……アオバは、やらせない」
怒りに燃えるその美貌。ふれたら切れんばかりの清冽さだ。
だが、レンが驚いているのはそこではなかった。
「今の!『ソニックブーム』だな?!
なんだってプリーストがんなもん放ってくるんだよ!!
仕方ねえ。チアキ、あいつらをやれ!」
「え?」
「……あ、えーと、手合わせであの二人に勝ってきてくれないか……な?
俺もちゃんとー、あー、応援するから!」
「うんわかった! よろしくおねがいしまーす!」
剣を右手にニコニコ笑い、はたはたしっぽを振りながら、アオバのもとへと走るチアキ。
まるっきり、『あそんであそんでーと走ってくる牧羊犬(子犬)』だ。
本人もあくまで遊びのつもりなのだろう。その表情は明るく、黒茶の瞳もきらきらと親しげな光を宿している。
「チアキ……ああもー、やるしかないっ!『ムーンライト・ブレス』ッ!」
「神聖強化!」
「クイックアクト!」
アオバはやけっぱちのように叫ぶと、自己強化の技を発動。
さやけき月色の光をまとい、チアキとがしっと得物を合わせる。
その後方でミツルは杖を掲げ、虹色の輝きを自分とアオバにまとわせていく。
レンもどこかに巨大ボムをしまい、懐から一枚の護符を取り出した。
念を込め、その名を呼べば護符は発動。青銀色の光球に姿を変える。
ちらちらと光の粒を降らすそれは、レンを囲んで時計回りに回転。
その体に溶け込んで青銀のオーラとかわれば、瞬時にレンは加速した。
黒のマントがふわと広がったその瞬間、弾けるように舞い上がる。黒い弾丸のように天井付近へ。追いかけ、ミツルも高度を上げる。
「へへっ、そうじゃなくっちゃな。
いっくぞォ、白い奴――!」
「……!」
首元のブローチで留めた外衣をばさばさと激しくなびかせ、白と黒とが交差する。
地上に続き空中で、二つめのバトルが幕を開けた瞬間だった。
Match_B:TORAO/HAYATO
慌てたのが、地上にいるレンの味方。
というか、主に裏切り者の白猫王子だ。
新たにともった光の輪の中、こぶしを振り上げ怒声をあげる。
それでも鑑賞に堪える整った容姿は、選ばれし血筋ならではというべきか。
「お、おいてめえ、レン!
さっきから勝手なことしやがって!
こっちに爆弾降らせやがったら黒焼きにすっからな!!」
「っせーな、ちょっとしたジョークだろ?
うっかり当たっちまったらお優しい姉上様に生き返らせてもらえよ、シロネコで・ん・か!」
「ふふっ、レンってば。
……あとでおしりペンペンね♪」
「それはやめろー!!」
王子の左、朱髪の三毛猫姫がお姉さん然として笑えば、レンは脅えたように叫ぶ。
王子の右で黒髪に燕翼の姫がくすくす。
燕姫の隣に侍る、愛くるしいチワワ耳メイドもきゃははと笑う。
「チッ、茶番だな」
どこかほのぼのした一幕はしかし、冷たい声に凍り付いた。
彼らを包む光の輪はふいと消え去り、別の光の輪がともる。
前書きで無理やり動画投稿風にしようとしてみたチャレンジ……です!
評価にくわえ、ブックマークまでいただいておりました……
干天の慈雨! ありがとうございます♪
2020.02.29
いきなり『レン』と出ているのが少し、納得いかない……
すみませんが、その部分まわりなど修正させていただきました。
レンはめんどくさそうに→黒衣の爆弾少年はめんどくさそうに
が、少年たちはめげない。→が、対する二人はめげない。
アオバと名乗った少年が、……抜いて→アオバと名乗った軽鎧の少年が、……抜き
一振りの剣となる。→一振りのすきとおる剣となる。
2020.03.01
ご指摘ありがとうございます! わかりづらいところを加筆・修正いたしました。
ソ、ソニックブーム……?!→今の!『ソニックブーム』だな?!
(衝撃波とソニックブームのつながりがわかりづらいため、加筆修正しました)
ニコニコ笑いながら抜刀し→剣を右手にニコニコ笑い
(よく考えたらすきとおる剣=すでに抜き身でしたのでこれは完全にミスです。お恥ずかしい……(__;))
青銀色の光が時計回りに回転すれば、レンの動きが目に見えて素早くなる。
→
念を込め、その名を呼べば護符は発動。青銀色の光球に姿を変える。
ちらちらと光の粒を降らすそれは、レンを囲んで時計回りに回転。
その体に溶け込んで青銀のオーラとかわれば、瞬時にレンは加速した。
(護符発動がわかりづらい&描写が雑すぎなので加筆しました)
爆弾→爆弾
(爆弾とボムが同一のものであると明示する目的でルビ表現にしました)
ほか、これらも表現がイマイチ&雑なので加筆修正させていただきました。
見上げればそこにいたのは、ミツルと呼ばれた白クロークの人物だった。
→ 衝撃の源を求め中空を睨めば、白い姿が舞っていた。
ミツルと呼ばれた人物だった。
空中で戦う悪友に向け、こぶしを振り上げ怒声をあげる。
→ 新たにともった光の輪の中、こぶしを振り上げ怒声をあげる。
(ラスト一文追加)
彼らを包む光の輪はふいと消え去り、別の光の輪がともる。




