Bonus Track_17_1 これでも一応全体集会!(序)~フユキの場合~
2020.02.26
今回のちょこっと紹介をつけました!
……あれっ、あまりちょこっとじゃない……(滝汗)
そしてここは、高天原学園ティーラウンジエリア。
クエスト達成報告を上げたところ、ちょうど研究班、そしてイツカとカナタにも嬉しい進捗があったという事で、急遽集結したのだ。
といっても、時間はもう九時近く、全員がそろっているわけでもない。
すでに自宅に帰っているミライは、カナタの携帯用端末でつないでもらってのオンライン参加だ。
入浴および身支度中のメンツもいた。
すなわちコトハたち女子四人、チナツとクレハ、シオンとミツル。アキトと同時に入ってきた、ハンターのセナ。
謎だったのはニノで、『イズミを風呂に置ってけぼりにするとホットケーキたかられるから待っててくれ』と言っていた。
また、アスカは念のためライカの調子を見ておきたいということでラボに。
ともあれ後十数分かかるとのことなので、茶会をしながら待つこととなった。
「でねでね! ほんとすごかったんだよっ!」
「アキトのやつ、ガーっと飛んでってダーン! てかかと落とし決めてな!」
「ハヤトとトラオが左右からコンビネーションで崩してくれたからさ!
でもきもちよかったー! なんか主人公になった気分だったぜ!」
「いや主人公でいいだろう。トドメを打ったのはアキトだぞ」
「へへへ、ありがとな!」
チアキとトラオ、アキトとハヤトのハンター組(※兼業含む)は大興奮だ。
イツカが身を乗り出し、カナタに軽くたしなめられるが、アオバも残念がる。
「マジー? うわー俺もそっちがよかったかも!」
「イツカー?」
「あっ冗談ですハイ!!」
「俺もちょっとそっちものぞけばよかったかなー」
「それな!
あああ、シャスタの洞穴の食材食材食材っ!
今考えると惜しいことをしたー!!」
「ソーヤはぶれないね。そこがいいんだけれど」
ソウヤの悔しがりっぷりに、ミズキが微笑む。
「いやそりゃ『泉水晶』も興味あるけどグルメハンターとしちゃーさ……
つかヴァルハラでグルメハントできるってホクホクしてたらおいしい学食だけだもんよ! このままじゃソーヤさん飼いウサギになっちまうぜー!!」
「ライオンラビットとしては正しい姿だよ?」
「優しい笑顔で言わないでっ!」
二人の向かいでレンはテーブルに突っ伏し、となりのハルオミにたしなめられている。
飲んでいるのはホットミルクのはずなのに、なぜか酔っ払いの様相だ。
「はー、俺の秘蔵っ子がー……。ギガごときじゃ足りないってかー……」
「あのさ、レン。今回は、相性があったと思うし……」
「あああいっそのこと洞穴ごとぶっ飛ばさないとダメなのか――!!」
「もう本末転倒だよー!」
するとリンカ姐さんとサリイがさらっと言った……レンが跳ね起きる。
「そうなったら先にレンをぶっ飛ばしましょうか」
「それがいいわね」
「おいちょっと待てプリースト!! それはハンターが言うセリフだろ!!
っていうかお前の特許は監禁逆さづりの刑じゃねーのかリンカ?!」
「まあ人聞きが悪いわね。
これでもトラが小さなころはお母様に代わっておしりペンペン」
一文目と二文目のつながりがおかしい気がするのは俺だけだろうか。
「やめろリンカー!! あれはまだ俺が五歳の時だろ!
これはノーカン!! 時効成立してノーカンだから!!」
「ほほぉ~トラオくんはお姉さまにおしりペンペンされてたのか~ふ~~ん」
「お、お前だってされてただろうがよガキの頃はー!!」
レンにからかわれ、むきになるトラオ。かつては恨みもしたが、こうしてみると憎めない。
それに今日、飛び切りいいところも見てしまった。
それは、女神シャスタの『試練』をクリアしたときのこと。
俺たちは、なぜか子供の姿になった女神にたたえられ、それぞれ『ご褒美』をもらったのだ。
俺たちクラフターは、激レア素材である『泉水晶』の原石を各人五つと、源泉の水。
ハヤトとライカにも原石。すなわち、ライカが食べて水系技をゲット。
すでに『泉水晶のチャーム』をもらっているアスカ、リンカはそれをパワーアップしてもらい……
思い切った戦いぶりを気に入られたアキトは、『天翼のブローチ』を授かった。
透き通る泉水晶でできた羽根飾りで、一日に一度、五分間、ペガサスに昇格できる。
熟練度が上がれば、回数、時間、出力がレベルアップするというすぐれものだ。
しかしトラオは、自分の分け前――泉水晶の指輪をパワーアップしてもらう段になって、こう言った。
「シャスタ様。俺はこいつを、ある人に譲りたいんですが、いいですか」
『どういうことぞ、言うてみい』
「これのパワーがあったら、動物も元気になれますよね。
この山の中で、お世話になった方が羊牧場をやっています。
最近、通販始めて……あそこのミルクはもっともっと、売れるようになるはずなんです。
だから、羊たちがもっと元気になって、もっとたくさんミルクが出て……
もちろん、その人も元気でいられるように。俺はこいつを譲りたいんです」
そう、自らは『ご褒美』を受け取らない決断をしたのだ。
シャスタ様はぽかんとしていたが、やがて気持ちよさそうに笑いだした。
『はっはっは! 心配にはおよばぬ!
エアリー牧場のエアリーは、わらわの姉上じゃ!
我が石など持たずとも、充分に強く、もたらす恵みは常に羊たちを健やかにはぐくんでおる!』
「えええええ?!」
『だが、その心意気やよし!
譲るがよい、その指輪を。
ただし、我が姉上にではないぞ?』
「……え?」
『鈍いのう。
男が指輪をやってよい相手など、古今東西決まっておろう?』
「………………あっ」
そういうわけで今、トラオのインベントリには、二つの指輪が眠っている。
ひとつは、トラオのためにと新たにあつらえられたもの。
もうひとつは――
いや、これ以上は野暮ってものだろう。
そうだ、インベントリと言えば、これを言わねば。
俺は大事なことを思い出し、ソウヤに呼び掛けた。
「ソウヤ。
ホワイトベア肉と泉の水、現地の塩と柑橘はキープしてある。
近いうち、鍋を作ってもらえるか」
とたんにソウヤは目を輝かせ、俺に飛びついてきた。
「フユキ――! 心の友よ――!!
鍋は期待してくれなっ! ソーヤさんおいしく作るからねっ!」
「わーい!」
鍋という言葉を聞きつけ、その場のテンションが上がったところで……
「ちーっす! チナツきましたー」
「おいーすおまたせー。ライカのメンテおわりましたー」
『おわられましたー☆』
「サクラたちのメンテもおわったよー」
「サクラちゃん、それじゃわたしたちも剣みたいだよ」
「う~ん、ユキは剣で間違いないよね~」
「ちっちっそこは女の武器を磨いてきたと言ってきてほしかったなーナナさーん」
「………………」
「……はわ」
「わー! ミツル帰らない!! いーから想像しないでそこに座って!!」
「ぎゃーシオンが倒れた! メディーク!!」
「煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散」
「っておいイズミなんでガチうさフォームで俺を殴ってくるのー?! 殺す気か、萌え殺す気か――?!」
「……俺、帰っていいっすか……?」
「あー、なんかいろいろごめんセナ……」
遅れてきた一同がわさっとやってきて、さらにカオスになったのだった。
そのときちくりと、どこからか視線が刺さるのを感じた。
振り返れば視線の主はもういなかった。
いつもありがとうございます!
次回、進捗の発表。コンボははかいりょく。
そしてついにアスカ&ハヤト覚醒の手がかりが?
お楽しみに!
今回のちょこっと紹介!
シャスタの洞穴アイテムまとめ!
・素材
巨大ホワイトベア肉
消耗品・素材・装備品/レア
シャスタの洞穴に生息する巨大ホワイトベアのお肉。
味わい濃厚、脂身はとろけるあまみ。これが熊肉? と驚く癖のなさです。
お鍋にも煮込みにも、串焼きでもどうぞ。
『泉水晶』の原石
素材・装備品/激レア
女神シャスタの力の結晶。聖泉シャスタの周辺にのみ産する。
ほのかに青く透き通り、原石の状態でも充分に美しい。
所持しているとすこしだけ、シャスタの加護を受けることができる。
水筒などに入れておけば、少しずつシャスタの泉の水がわく。
『泉水晶』
素材・装備品/激レア
『泉水晶』の原石をシャスタの泉の水で磨き上げることにより、より強く、洗練された力を発揮するようになったもの。
シャスタの加護を受け、その力を借り受けることができる。
※これそのものを取得はしていませんが、参考データとして付記しました。
シャスタの霊水
消耗品・素材・装備品/激レア
口に含めばほのかに甘く、飲み干せば爽快に癒され、力がわいてくる。
女神シャスタのチカラのこもった、天然の霊薬。
小瓶一本分ものみほせば、『シャスタの祝福』の効果が得られる。
所持しているとほんのすこしだけ、シャスタの加護を受けることができる。
・装備品
『泉水晶』のチャーム
装備品/激レア
青く美しい『泉水晶』でつくられた聖なるお守り。
シャスタの加護を受け、その力を借り受けることができるが、真の力を開放するには女神の試練を乗り越える必要がある。
『小さな聖泉』
装備品/超レア
青く美しい『泉水晶』でつくられた聖なるお守り。
シャスタの加護を受け、その力を借り受けることができる。
女神シャスタが自ら認めた巫覡にのみ与えるもので、身体の一部に埋め込まれる形となる。
『天馬のブローチ』
装備品/超レア/成長あり
女神シャスタ自らあつらえたブローチ。
美しい『泉水晶』を羽根飾りの形に成長させたもの。
自ら認めた馬系装備の持ち主にのみ与える神器で、ステータスに加護が付くほか、使用するとペガサスに一次昇格できる。
ブローチの力は、使えば使うほど成長する。
『泉水晶』のエンゲージリング
装備品/超レア
女神シャスタ自らあつらえたエンゲージリング。
美しい『泉水晶』をリングの形に成長させた、透き通るように美しい一対の指輪。
これをはめた二人はともにシャスタの加護を受け、幸せになれる。
振り払う火の粉を払う力を有した、強力な魔道具でもある。




