Bonus Track_16_2-1 一時換装、ときどきミルク~チアキの場合~
2020.02.13
サブタイトル修正いたしました(ナンバリングと、~チアキの場合~を入れました)
コトハさんたちにつれられて、ハヤトくんとライカくん、アスカくんがきてくれて、サリイさんが帰っていって……
そして、レンがちょっぴり別人になった。
『ティアブラ』には『一時換装』というシステムがある。
同系列、同ランクのけも装備に無償で装備チェンジができるシステムだ。
チェンジ時間は一度当たり、長くて数日。
装備を完全に付け替えるのと違って、装備修正なんかは八割程度になってしまうけと、元の装備の熟練度も反映される。
こういう環境対応が迫られる場合には、本当にありがたいものだったりする。
そんな『一時換装』を使って、カレドニアガラスからワタリガラスにチェンジしたレンは、ちょっと大きくなったのだ。
「えっちょ、あなたほんとにレンなの?!」
「レンが俺よりでかくなってる……だと……っ?!」
リンカさんとトラオくんはびっくりした様子。
「おっきくなったねー」
「マジか……」
「心なしか年齢まで上がって見えるな」
ハルオミくんはにこにこ、ハヤトくんはしげしげ、フユキくんはうむうむ。
「つーかだれおまー!」
「はげどー!」
『あはははは!』
アキトくんがノリよくいうと、アスカくんもノリノリでこたえて、ライカくんもあかるく笑う。
みんながおどろくのも無理はない。
換装後のレンは、背が十五センチくらい一気に伸びて、つやつやの黒髪もちょっと伸びて、後ろで結べるくらいになっていたのだ。
顔つきもなんか、ちょっと変わった感じがする。
いつものやんちゃでかわいい感じから、ちょっとおとなびたカッコいい感じに。
ゲームならではの、楽しいところだ。
もっともとうのレンは、なんだか落ち着かない様子なんだけど。
「だいじょぶだよ、カッコいいよレン!」
「あー……ありがとだけど、正直違和感半端ない……
視点上がっちまってるし、腕の感じなんかも……」
「んー、わかりみ深いわー。
ボム誤射しちったらごめんねー」
そう言うアスカくんも、実はいつもよりちょっと大きかったりする。
10cmくらい背が伸びて、けっこうきゃしゃだった体格も、ちょっと良くなった感じだ。
「やめろ! お前の誤射はマジでシャレにならないからっ!
つーか比率的にお前もっとでかくなってていいはずだろ? もとがポリッシュ……だっけ、小さいウサギなんだからよ?」
「よくできましたー。もっと正確には『ブリタニア・ペティート』だよーん。
いやいやさすがに二倍とかなったらゲームバランス崩壊するっしょー。
もとの体格からも補正かかるしねん♪」
「……くっそ見てろ、そのうち素でもお前よりでかくなるんだからな!」
「ういうい、おれはそこ張り合う気ないよん。ゼッタイかなわないのが身近にいるからね?」
アスカくんがちらっと見たのはハヤトくん。たしかに、ハヤトくんくらい(180cmくらいある)大きくなるのは、僕たちのほとんどには難しそうだ。
「小さな頃にミルクあんまりのんでこなかったの?
ここでいっぱい飲んできなさいよ、どうせなら」
エアリーお姉ちゃんが優しく言ってくれるけど……
「うん、おれ、かなり牛乳飲んでこれなんだ……」
「うちのミルクなら大丈夫よ!」
「マジですか?!」
その瞬間、男子のほとんどが食いついた――ハヤトくんと、フユキくん以外。
「あー……俺はこれ以上伸びてもな……」
「俺もだ。あえて言うなら頭脳がほしい」
ハヤトくんとフユキ君が言う。
かっこいいなと思っていると、レンが聞いてきた。
「……って、チアキもいいのか?」
「あ、うん。父さん母さんからもらっただけで、僕はじゅうぶんだよ!」
「大物だ……」
そう答えたら、なんでか注目の的になってしまった。
「えらいわチアキ! お父さんとお母さんも喜ぶわね!」
そして、エアリーお姉ちゃんがニコニコしてほめてくれた。
そうして僕たちは、再び出発した。
トラオくんと僕が立っていた前衛に、ハヤトくん(ライカくんは剣になってる)とトラオくん。
僕はアキトくんといっしょにしんがりについた。
正直、アキトくんの馬装備スキル『バックキック』はとっても強力だから、心強かったりする。
サリイさんがいた後衛アタッカーポジションにはフユキくんがおさまり、リンカさんはこれまで通り、隊列まんなかのヒーラーポジション。
レン、ハルオミくん、アスカくんはサポーターとしてその前後についた。
「わたしも行ってあげられればいいんだけれど、牧場を長く開けるわけにもいかないから……。
くれぐれも、むちゃはしないのよ。なにかあったらすぐ連絡してね?」
エアリーお姉ちゃんは今日もほかほかのホットケーキをいっぱいくれて、やさしく見送ってくれたのだった。
ありがとうございます! 10000PV突破いたしました!
ついにストックゼロ、書きたてほやほやです……ミスなど、見つけ次第直します!




