16-1 魅惑のプリン休憩とライカ先生のバトル講評!(1)
それからちょっとあと。
学食ティーラウンジエリアに揃ったおれたちは、さっそくプリンと飲み物を選び、たのしいプリン休憩を開始した。
「ふぁぁー、やっぱ風呂上がりのあまいものはいーなー♪」
「ほんとだねっ!」
『おれおいしくもの食べれるように作ってもらったことはマジ感謝してるわー。ありがとねアスカー』
「どったまー。どーせ食べれるんならおいしくないとね!」
アスカはとろーりクリームプリン、ミライは素朴な味わいの焼きプリン。
アスカとそっくりに化けたライカは、香ばしキャラメルプリンをチョイスだ。
「確かに、疲れた時にはうまいな」
「まぐまぐまぐ」
「ほらイツカ、口のわきについてるよ?」
「それはわたしが」
「アウト!」
強い甘みが苦手なハヤトは、甘さひかえめのごまミルクプリン。
イツカは濃厚チョコプリン、おれはしっとり和栗プリン、またしてもどこからか現れたレインさんはトロピカルなマンゴープリンである。
どうしてこの学食、こんなにプリンの種類が豊富なんだろう。ミソラさん(=学長)のプリン好きはけして無関係ではないはずだ。
ともあれ、しばしプリンとお茶を楽しめば、いよいよライカ先生の全体講評だ。
いつのまにか眼鏡にスーツ姿になった彼は、こほんっと咳払いをする。
「まず、最初に言っておく。
――ぶっちゃけやりすぎたスマンカッタ。」
そしてぺっこりと頭を下げた。
「いやね、あれ実は対エクセリオンモードだから。
逆にいまアレ余裕だったらバグだから。
まあ、いずれ目指す高みだよ、ということをまず認識しといてね?」
「だと思った……」
「んー。なんかいけそーな気はしたんだけどなー」
ハヤトは大きくため息をついたが、イツカはふっつーにそんなことをのたまっている。
それはツッコミ待ちか。ツッコミ待ちなのかイツカ。
もちろんおれは突っ込んだ。
「っておまえ最初にやられたけどね?」
「そういうおまえは」
「行けそうな気が一瞬だけした」
「同じじゃん!」
「てへっ?」
対して、ライカが言うには。
「あー。最初はゆるめにしてたから。いきなりエクセリオンモードだと攻め込んでこれないっしょ? イツにゃん以外」
「確かに……」
「てなわけで全体講ー評ー!
全員、強みはきっちりある! 学生としては立派、充分に誇っていいレベルだ!
だがそれが『ある程度以上』の相手だと、逆に攻め手を与える弱みになってしまっている。
そこんとこの攻略が、レベル底上げ、ひいては装備技覚醒に近づく道筋ではないかとライカさんは思うのであーる!」
強みとしていることが、攻め手を与える弱みになってしまっている。
それはここのところの試合でも感じていたことだ。
ライカは軽い調子で、それを次々言葉にし始めた。
「つぎにー。個別講評いくよー。
まずイツにゃん。斥力ダッシュよかった! 四ツ星までなら十分通用する! てか、αでもスピード特化以外なら一撃は取れるね!
ただ、スピード特化の相手と不慮の事故は鬼門だ。
イツにゃんの認識速度をトータルで超える反撃が来たり、ハーちゃんとの決闘のときみたく剣が折れたりすると自爆一直線。まさしく諸刃の剣だね。
だから認識速度をもっと上げるか、序盤のアプローチはもっと慎重に行くか、それとももうしょっぱなっから横向きバスターでぶち抜くかー、が方向性でしょうな。
イツにゃんを捕捉した技については、後で改めておしえるから、しばし待っててね?」
そこでお茶を一口。ハヤトに向き直る。
「つぎハーちゃん。神聖魔法ずいぶん使えるようになってきた!
ハーちゃんはめんどーみいいし、もともとプリーストの素質もあったんだと思うよー。
ただ、今回もうちょっと早めに攻め込んできてれば、違う展開になってたかもしれないね。
きみたちはたぶん、おれがタイミングをはかって効果一掃を使ってくるのを警戒していたんだろうと思う。
で、その後すぐにもう一度フルブレを使って、つか必要ならば連発して、強化したイツにゃんに押させてそこから合流。そんなつもりだったんだよね?
けれどもしもあのときハヤトが、アスカの補助なしでそれを使えるようになっていたなら。
ハヤトもすぐに走り出せたはずだ。
フルブレの複数回使用を視野に入れるなら、最低でも独力で使えるようにすること。
魔法に足を縛られちゃ、本末転倒だよ。
ただ何度でもいうけど、その戦法で四ツ星バディは充分やれるからね。
現段階のトラの子として取っておくのをお勧めするよ。手をつないでの協力魔法とか、見栄えもとってもいいからね!
それと、イツにゃん奪還にきてからの太刀さばきはほんと素晴らしかった。それはそのまま素直に伸ばせばいい。このおれが保証するよ。
てか、ホンモノのおれのときにもそれやってね、ハーちゃん。約束だよ?」
自覚があるのかそれともないのか、小首をかしげておねだりをする『剣』は今度こそ、あざといくらいに可愛らしい。
ハヤトはほんの少しだけ顔を赤らめ、もごもごなにか言いつつ、お茶を口に運んでむせた。
ぶ、ブクマがふえておらっしゃられっ?!(噛んだ)
ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです♪
前日譚(タイトル未定)もプロットづくり順調です。
『たった五歳の少年カナタが、知らない世界の友達と始めたゲーム。
ふたつのリアルでとげる成長。そして、ちいさな恋のものがたり』……
そんなかんじにしたいです。
次回、ついにカナタの理性が崩壊する?
どうかお楽しみに!




