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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_15 歌と羊とエンジェルティア 

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15-2 二大連盟首脳会談withあさごはん

『来た……』

『来たぞ、やつらが……』

『やっぱりしろくろ優勢かっ!』

『いやいや、ソレイユ姉妹も朝駆け来てたぞ。

 いまごろはあの部屋でやつらの帰りを……うああくっそうらやましい!!』

『あ、レモンちゃんは『青嵐公』にしょっぴかれてお説教されてたぜ』

『どうしてそうなった?!』


 おれたちが四人で学食に向かえば、そんなささやきが周り中から聞こえてきた。

 腕を組むのはあの場でやめてもらって正解だった。これでもし組んだまま来たりしたら、どんな騒ぎになっていたことやら。


『おれたちはライバル関係にある二団体のトップ。それが表立って接近しすぎれば、馴れ合いを疑われる。ひいては双方がグダグダになってしまうから』

 そっとそう言えば、ルカは腕を離してくれた。


 もっとも、それは『通りの良い理由』の一つ。

 そのことは、おれたち両方が承知していることでもあった。


 おれはライムを、ただひとりの特別な女性として、愛している。

 しかし、それを知っていてなおアプローチしてきているルカも、決定的なことは言ってこない。

 そうである以上、おれのほうからとりたてて何かを言うわけにもいかない。

 なんとも、宙ぶらりんの状態。

 たぶん、『狙って』そうされているのだろう。とは、思うけれど……。

 それでも、それを逆手に取っておいしい思いをするような気には、おれはなれない。


「ま、いいわ。

 今朝は話しておきたいこともあったから。

 アイドルバトラーとして、ふたつの連盟のトップとしてね」


 けれどそういわれれば、朝食を一緒にしない理由もない。

 そんなわけでおれたちは、注目の中、いっしょのテーブルで朝ご飯を頂くこととなったのだった。




 学食ではすでに、アスカとハヤト、そしてライカが席を取っていてくれた。

 そしておれたちの席にはそれぞれ、『焼き魚定食(たまごやき付き)』『クロワッサンセット』『牛丼』(大盛りと並盛)が湯気を立てている。


 ちょうど学食に向かうタイミングで『席取れた。ごはんもらっとくよん。メニューどうする?』とメールがきたのでびっくりしたが、せっかくなのでお願いしたらこの通りだ。


「おーナイスタイミーン。っはよー」

「おう」

『おはようごさいます、皆様方』


 制服姿の二人はともかく、アスカの顔に執事服のライカに迎えられて席に着くと、なんだか晴れがましい。

 その手際におれはふと気づいた。


「もしかしてアスカ。今朝のあれ……」

「えっへへー。お願いされたからGOだしちった。ダメ?」


 そう、ルカとルナの『朝駆け』。

 あれは、アスカが阻止しようと思えば阻止できた案件だ。つまり……


「いやー? そのくらいの注目ファンサービスは必要かなーって。

 カナぴょんは無責任に女子の腕ギューを満喫しまくる子じゃないでしょ?

 イツにゃんは……うん、まあいいとして」

「ちょ、なんで俺をあきらめるのっ?」


 心外そうなイツカだが、アスカはあっさりといなす。


「はいはい、あとでチョコケーキあげるからいい子にしてねー?」

「おうっ!」

「そういうとこだろ……」

「そういうとこだよ……」


 ハヤトとおれはため息をついた。ルカはぽかんと口を開け、ルナは微笑ましげにくすくす。

 うん、このさいだからやつは、ルナとレモンさんに一人前の男として教育してもらった方がいいのかもしれない。

 もっとも『清く正しいさわやか交際』以上のことは、双方αになってからにしてもらう必要があるが。


『わー、いま0.01秒だけ悪い顔したカナぴょーん。

 もしかしてこれってカナぴょんの教育のたまもの?』

「全文端から端まで濡れ衣です。」


 くそう、おれとしたことが、初歩的なトラップにひっかかったようだ。

 アスカがとってもいい笑顔で仕切る。


「はいはーい、そーいうわけでつかみはOK!

 話ってのはさー、あらたなアイドルバトラーユニットのことなんだよ!

 ねっふたりとも!」

「あらたな、ユニット?

 それって『おこんがー!』のこと?」


 おれは思わず問い返していた。

 そのことなら、もうネットで話題になっているから知っているけれど……

 イツカが口の中の牛丼をもぐもぐごっくんしてから話し出す。


「『おこんがー!』って、カナイさんとユゾノさんの?

 もしかして『クランレパード』とコラボりたいとか?」


 するとルカは大きく目を見開いて、たまごやきを取り落としかけた。


「えっ、なに、もうそっちで話まわってたの?!」

「いやなんとなく」

「なんとなく……って……」

「あ、ごめん、こいつこういうやつだから。深く気にしないで」

「はあ……」


 もちろん、おれも驚いた。だがこいつのリアルチート野郎ぶりはむかしっからなんで、ルカをフォローするくらいの余裕はおれにもあった。

 なお、ルナはほわわーんとした笑顔のままクロワッサンを口に運んでいる。底が知れない。


「やー、イツにゃんがいるとほんっと話がはやいねー。

 そそ。決まってるのは『おこんがー!』デビューだけなんだけどさー……」

「モモカがなんとかサヤマ君にステージに上がってほしい! って。

 本人口説くだけじゃなくて、あたしたちにも頼んできたのよ」

「ユゾノさんが、ミツルを……」


 たしか、ついこないだまではバトルしよー! と追っかけていたはずだったけれど、なにがどうしてそうなった。


「あのね、サヤマくんは歌がすっごくじょうずなんだよ。

 サヤマくんがいうには、別の連盟だし、それに、人前に出るのは恥ずかしいしって。……

 でも、サヤマくんすごいんだよ。わたしたちなんかより、ずーっとうまいの!

 あの歌声をうもれさせるのは人類の損失だ、ってももかちゃんいってたけど、わたしもそう思うの!」


 いつものんびりおっとりなルナが、かわいいこぶしを握って力説している。

 制服の背中でちいさなハトの羽根もパタパタ。

 ベーコンエッグマフィンを平らげたアスカも、手放しで絶賛する。


「興味あったらあとでデータおくっとくけど、いやー、あれはまさしく天使だね。

 銀河姫プリンセス・ミルキィの再来って煽り文句つけても99.9%の国民が納得すると思うよ!」

「へえ……

 そうだね、データは、本人の許可を得てから改めて頼むことにするよ。

 アオバはなんて?」

「アオっちは大賛成なんだなー。バックダンサーでもマネージャーでもやってやるからって。

 もっともあくまでみっつんがやりたきゃってことで、それ以上推したりはしないんだけどねー」

「なるほどー……」

「いんじゃね、連盟別とかさ。

 あくまで本人がどーかだと俺は思うぜ」

「だよね、だよねっ!」


 イツカがぽんと言えば、ルナはうれしそう。

 その様子に、イツカもちょっと照れているよう。猫耳のさきがちっちゃくピコピコ。

 よしよし、ちょっといい感じだ。

 ちいさくほっこりしながら、おれは話を続ける。


「ミツルたちからアスカたちに、相談はあったんだよね。

 おれたちにも、かんでほしいって?」

「ういうい。先輩アイドルのふたりや三銃士、いろんな仲間の意見聞きたいって。

 やっぱ仲間もあってのことだしさ。

 ……みっつんにも迷いがあるみたいだし。

 お昼や放課後にでもさ、話してあげてくれるとうれしいなって」

「わかった。状況は改めて連絡するね。

 誰に連絡すればいい?」

『それはどうぞ、わたくしめに。

 マスターの思考エイリアスをわたくしの内部領域に作成してございます。

 適宜マスターにも裁定を仰ぎ、最も適切な判断をいたせますかと。

 ルカ様、ルナ様にも随時メールなどにて進捗をお知らせ申し上げます』


 今日のライカはやっぱり執事な気分らしい。手を胸に当て、腰を折るような丁重な一礼を見せた。


「了解」

「ありがとう。よろしくお願いします」

「ささ、そーと決まったらごはんごはん。

 よーし、おれもたまには基礎授業いこっかなー」

「お前はたまにじゃなくて普通に来いよ。」

「てへっ?」


 こうして、二つの連盟首脳陣による『パワー・ブレックファスト』はおわり。

 おれたちは本格的に、目前の課題――

 すなわち、あさごはんの完全攻略に取り掛かったのであった。

いつもありがとうこざいます♪

次回は『うさねこ』がVR空間で会合開始。奇跡の歌声がお目見えします。お楽しみに!

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