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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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The C-Part_40秒の、そのなかで~悠久の時を、あなたと(9B)~

本日最終日・第二話です!

あと一話でシメでございます!

@海の見える小さなアトリエ〜フィアの場合〜


 今日は、ミライツカナタさんとソナタたちが『女神の騎士』になって、初めてのミルド訪問です。

 わたしとレネはいつものようにソナタたちのアトリエに入りびたって……

 もとい、管理人としてお留守番をしながら、レネのカレーを食べつつ、その動画を見てました。


 画面の中はお祭り騒ぎ。

 ソナタたちもすっかり、アイドルの風格です。


「いまからこれって……」

「卒業したらどうなっちゃうのかねー?」


 空恐ろしいような、楽しみなような、です。


 ソナタたちと同じ時期に、このマリノスにやってきたわたしたち。

 ちょっと前までは、結構つるんでワイワイやってたけれど……

 イツカナさんの『追放』で、ソナタたちは忙しくなった。

 とくに二度目の『追放』のあとは、ネットアイドルとして活動し始めたことでぐっと忙しくなり……

 高天原に入った今は、もうほとんどここに来ることができなくなってしまった。


 アトリエを譲ろうかと言ってくれたソナタたちに、このままでといったのはわたしたちの方だ。

 小さな家を買うだけのTPならばもうある。

 わたしたちが惜しんだのは、『友達と過ごす秘密基地』としてのここの存在。

 何かあったときにソナタたちが、そしてわたしたちが帰ってこれる、そんな場所をなくしたくなかった。

 わたしたちも受験、就職、そして結婚ともなれば、ティアブラをそれなりの期間離れることになるだろうけど、それでも。


 そんな思いにふけっていれば、動画は終わっていた。

 ちょうどカレーも食べ終わっていた。さて、かたしてお茶でもと思ったその時、とんとんとドアがノックされた。

 こ、このたたき方は!

 二人でバッと立ち上がり、全速力でアトリエのドアを開けると……


「ただいまー!」


 そこにはソナタたち四人が、両手におみやげをいっぱい抱え、ニコニコと笑っていた。



 ――フィア、レネ。

 ソナタたちの同期。エンジョイ勢中のエンジョイ勢で、暇人管理人ライフを満喫するためティアブラをやっている。

 そんなのんびりぶりは、ずっと変わらず。

 ソナタたちにとってもうひとつの『帰る港』であり続けた。




 @月晶宮・女神の部屋~イツカの場合~


 俺のいちばんさいしょの記憶は、人間としてのものじゃない。

 母ちゃんのふかふかのお腹にくっついて、きょうだいたちといっしょにお乳をもらっているとこだ。

 家族はみんな、イエネコで。俺ももちろん、イエネコで。

 短い一生のあと、月にのぼった俺だけど……

 キラキラひかるにじいろの橋を渡ったら、みたこともない野原にぽんと出た。

 ちょっとかわった、でも俺とおんなじような生き物たちがところどころでうろうろしているそこで俺は、ひとり泣いている女の子に出会った。


 その子は、言っていた。

 この世界にすむいきものたちを、たすけられないのかと。


 ここにいるいきものはみんな、ころされては生き返り、生き返ってはしんでいる。

 ずっと、ずっと、ずっとそうで。

 そんなかれらが、むくわれることは。

 いつか、幸せになれることはないのかと、その子――セレストは言っていた。


 俺はいった。

 俺は猫で、ついこの間死んだけど、今こうしてここにいる。

 ここにいるほかの生き物たちも、なんか俺と同じに見えるから、きっとだいじょうぶだと。


 猫の俺がいうのもなんだけど、セレストはちっちゃくって細くって、とってもほっとけなかったから……

 だいじょぶだ、俺が仲間になってやるからって言ったら、やっと笑ってくれた。


 それから知ったのだが、そこが『エヴァーグレイスガーデン』。

 のちにセレストと俺たちが、仲間たちと一緒に世紀の大作戦を実行する、VRのハコニワだった。


 それからセレストは俺の言ったことをもとに研究を進め、ゲームの中のキャラクターにもリアルの生物同様の『魂』、もしくはその萌芽が認められるということを突き止めた。

 そうしてそれが、当時問題になっていた人口減少、エヴァグレプレイヤーの昏睡といった諸問題への解決法を導いた。

 すなわち『プロジェクト・ソウルクレイドル』だ。


 そのころすでに仲間に加わっていた、カナタとソナタちゃんといっしょに俺は、セレストの仮説を裏付けるためのテストケースを引き受けた。

 そうしてみごと俺たちが人間になったことで、プロジェクトは動き出したのだった。


 本当のことを言えばセレストは、ウォーゲームなんかしたくもさせたくもなかった。

 それでも、俺やカナタたちのようにのんびりと育成していれば、時間が足りない。

 さらに、参加者が集まるのは圧倒的に、使命を掲げてかっこよく戦うウォーゲームだ。


 セレストはだから、決断した。

『ラスボス』として、全部の痛みに向き合うことに。

『ティアズ・アンド・ブラッズ』の中核となるグランドミッション――ミッション『エインヘリアル』を推し進め、ゲーム全体を管理するGM(グランドマザー)、その分体といえる『マザー』としての役を一身に担った。



 その使命が終わった日、セレネは泣いていた。


『どうしてなんだろうな。涙がでるんだ。

 わたしは民の苦しみを救えなかった、できそこないの『マザー』だ。

 今更、涙を流す資格など、ありはしないのに』


 セレネは、セレストに一番似ている。

 だれかの痛みを、自分の痛みとして心を痛める。

 それでも、人前ではけっして涙を見せない。

 セレネはポーカーフェースで、セレストは笑顔で、相手に痛みを押し付けないようにするのだ。

 でも、猫の俺にはわかってしまう。その実、どれだけ心が泣いているのか。

 だから俺はセレストを、そしてセレネを、ほっておくことができないのだ。


 俺はセレネのふるえる肩をそっと抱き寄せた。

 そうして、ぽんぽんと背中をたたいた。


「そんなことない。

 俺たちがたたかうチカラを作ってくれたのは、セレネだ。

 セレネのSOSがあったから、俺たちはこのセカイのゆがみに切り込めた。

 セレネが俺たちの味方になってくれたから。セレネがいてくれたから、俺はがんばれた。

 俺が世界をすくったってなら、俺をそうさせてくれたのはセレネだ。

 セレネはちゃんと、救えてる。だいじょぶ、俺が保証する」


 するとセレネは俺にぎゅっと抱きついて、泣いて、泣いて、そのまま眠ってしまった。

 窓からさしこむ月明かりの下、その、ただの少女のような寝顔を見ながら、俺はかたく、心に誓った。


 このセカイは、幻想のハコニワのなかのハコニワで。

 この俺も、ここにいるセレネも、いうなれば仮の姿。

 それでも、俺はここで、このセカイで。

 彼女の役目がおわるまで、こうして彼女を支えていこう、と。



 ――セレネ (セレスト)&イツカ。

 ミッドガルドの女神のひとりと、その騎士にして伴侶となった少年。

 いつもラブラブなふたりだが、その姿はふしぎとほほえましい。

 その実態は、プロジェクト『ソウルクレイドル』のプロジェクトチーフ操るNPCとその秘蔵っ子。

 彼女のやさしさと、彼のまっすぐさ、そして二人の愛はセカイを、多くの人々を救い、そして守り続けた。




 @ゼロブラ館・居間~カナタの場合~


 イツカは、飛び回っていたいほうの人間だ。

 月晶宮にこもり、こつこつと執務をするよりは……

 世界を回り、人と会ってその声を聞き、困っていれば手を差し伸べ。

 ついでにその、天性の無自覚主人公野郎っぷりと、ねこみみしっぽのねこねこしさで、萌えを振りまくほうがずっと、やつにはむいている。

 ミライも人に接するのが大好きだし、おれもいろいろなものを見たい。

 となると、おれたちの平常業務は必然的に、外回りとなる。


 さいわい、おれたちはここまでに果たした覚醒により、時空を超えることができる。

 その気になれば交通費はかからないし、お昼やばんごはんを食べに、地球の裏から帰ってくることだってできる。

 今日も月で一日お仕事だったけど、いまはこのゼロブラ館の居間で、ライムとふたり、ゆっくりとあたたかなお茶を飲むことができている。


 まるで、夢のようなひととき。

 これがあるからがんばれるといっても過言じゃない。

 おれにとっては最高の、いやしとしあわせの時間だ。


「どうかな、ライム? うまく入れられてる?」

「ええ、とっても。

 カナタさんのハーブでできたお茶は、やはりカナタさんがお入れになるのが一番おいしいですわ。

 ……しあわせですわ。こんなにやさしいだんなさまとふたり、こんなひとときを過ごすことができて」

「そう言ってもらえると、うれしいよ」


 うれしすぎる甘いことばとともに、ふんわりもたれてくれるライム。

 そのあたたかさ、やわらかさ。そしてふわりとただよう上品な香りに、いまだにドキドキする。

 しあわせで、しあわせすぎて、ことばがあふれていた。


「ありがとう、ライム。

 ずうっとおれを待ってくれて。想ってくれて。

 そばにいてくれて。こんなに、しあわせにしてくれて」


 ライムはふんわりと笑って、こういってくれた。


「こちらこそ、ですわ。

 ここまでとても、大変な道のりだったのに。

 ずっとずっと、わたしを忘れずいてくれた。想ってくれた。

 そしていま、こんなにそばで、わたしをしあわせにしてくれる。

 これからも、いっしょにいましょうね。

 ずっといっしょに、しあわせをつむいでいきましょうね。

 このセカイにいるあいだも。アースガルドにいっても、ずっと、ずっと」

「もちろん。

 どうかよろしくね、ライム」

「ええ。

 よろしくお願いしますわ、『あなた』」


 はにかんだ笑いでくりだされた、天使のふいうち。

 もう、ほんとに。ほんとに、かないそうにない。

 おれは本日もまた、かんぺきにノックアウトされてしまうのだった。



 ――カナタ&ライム。

 女神の騎士夫妻。流れ星の子と神族のステキカップル。

 カナタが幼いころに出会い、十年かけてゆっくりと想いをはぐくんだ。 

 カナタは『王子様』として、ライムはその秘書役として、公の場では節度ある距離感を保ち、しっかりお仕事をこなす姿はみんなの安心感そのもの。

 最終試行のおわりまで、ともにセレネと世界を支え続けた。


二時間……二時間無駄になったよ……

サービスデーの最終日が定休日ってなんなんだよう……

ええいそんなんどーでもええわ(笑)


泣いても笑ってもあと一話でオーラス! よろしくお付き合いくださいませ!!

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