The C-Part_40秒の、そのなかで~悠久の時を、あなたと(9A)~
本日完結・一話目投稿です!
『みなさーん、走ってますかー? 第三回ステラ領特集の今回はっなんとー! ミライツカナタさんがゲストに来てくださいましたー!!』
『きょうのステラ工房メシ、本日は、スペシャル回ー! イツカナさんが召し上がったスープとモモ肉あぶり焼き、レシピをご紹介しまーす!』
『昨日、イツカナさんとアスカさんハヤトさんがふたたびご来店くださいました! 新メニューもレギュラーメニューも、もりもり召し上がっていただけました♪♪』
『今朝イツカナさんに漁を手伝ってもらってな! あいかわらずすっげえ腕だわ!! こまけえことはいわねえ、この動画を見てくれ!!』
『みんなだいすきイツカナおにいちゃんたち、そしてソラおにいちゃんたちが、みんなのおみまいにきてくれました!『森コン』も素敵ですけど、こういうのもうれしいです!』
『やあみんな、月萌国会前から中継だよ! 今日はみんなだいすき、ミライツカナタとひさしぶりのデートってちょちょっとまちたまえライカくんはなそうはなしあおう!!』
それからイツカとカナタは、風のように世界をかけめぐるようになりました。
月萌、そしてソリステラス。今日はここ、あすはこちらとめぐる姿は動画で、写真で、ときにはテキストでの投稿で、毎日見ることができるのです。
もちろん……
『もうご覧になったかしら。
昨日、お約束通り高原野菜を食べにきてくれましたわ。みんなもとても喜んで。……
あすはそちらよね。たのしみね、ステファン』
親しい友から伝え聞くのも、またうれしく。
「ええ、クローリン。
村の子たちは大はしゃぎよ。
いえ、はしゃいでいるのは私たち大人もね。
アルフもモリーも、ベリーズもずっと、走り回っているわ」
けれど、やはり一番うれしいのは、直接に会えること。
その歓迎のために、あれこれとみんなで準備することは最高に楽しい時間。
大丈夫、今回は確実に喜んでもらえるビッグイベントがある。
『あなたの背に乗ったままあそこを渡ることができれば、とても喜んでもらえるでしょうね。
明日。がんばってね。動画、かならず見るわ』
微笑むクローリンのうしろ、プレーリードッグのマルが『クローリンさん! おしえてくださああい!!』と走ってくるのがみえたので、わたしは「ありがとう」と笑って、通話を終わらせた。
あの日、視察に来たイツカとカナタ、アスカとハヤトと渡ったつり橋。
危急の際のためにと、いつでも落とせるように細く弱く作られていたのは、もう過去のこと。
いまではそれは、象や荷車でも渡れる、しっかりとした丈夫なものに作り替えられた。
苦闘と死とをもたらす戦いを命ずるものは、この世界にはもはやない。
それが育んだ滾る血潮は、月萌の手になる『ティアブラ』、そしてイツカたちが受け止めてくれる。
もはや平原が、森を侵すことはない。
もしも何かがあっても、イツカとカナタ、そしてわたしたちが手を取り合えば、この森を守ることができる。
それを確信できたから、わたしたちは、あの橋を架けなおしたのだ。
わたしとライアンが握手し、エルマーたちに、工事をお願いして。
明日とりおこなわれるのは、その開通式。
クローリンも行きたかったと言ってくれているけれど、いまの彼女は臨月。さすがにいまここまで来るのはということで、ビデオメッセージと、代理人たちを送ってくれた。
「こんにちわー、みなさん!」
「あたしたちもお手伝いしちゃうぞー!」
軽やかな声と共に手を振るのは、彼女の後継となる予定のクローネと、彼女を支えるクロートー。
ご招待したのはわたしたちなのだから、ゆっくりしていて構わないのに、ふたりともすでに作業着姿でやる気たっぷりだ。
そんなふたりに、わたしたちはもちろん、笑顔で手を振り駆け寄った。
――ステファン。
ハーティー家の現当主。いつもは優しく柔和だが、通す筋は通すところから頼りにされている。
ヴァルやルク、イツカナたちから『我々がよくないことをしそうになったら、きっぱりと叱ってほしい』と頼まれ、お目付け役をひきうけた。
最終試行の終わりまでともに働き、森と世界の平和を守り続けた。
――クローリン。
アルネヴ家の現当主。
このすぐあと、クローリンにはうさぎトーテムの息子が誕生。たれ耳の端正な顔の子だったことから、カナタと名付ける。
これを機に、クローリンはクローネたちによりしごとを任せるようになり、数年後には完全に長の座をゆずった。
――キアラ。
平原の匠としてアルム島に来島した、コヨーテのソウルをもつ女性。
走るの大好きランニングマニアで、いろんな場所を走っては動画投稿している。
たまーにイツカナたちともご一緒したり、ランナーライフを楽しんでいる。
――ステラマリスの手作り工房のみなさん。
シグルド、カナタの『雪原マント』など、多数の決戦装備をブラッシュアップ。魔力糸レベルからの丁寧な手作業で、これまでの常識を大きく超える性能と美しさとを実現した。
このことで広く注目を浴び、見学者や弟子入り希望者が多く訪れるようになった。
はたらく体力をガッツリ補うおばちゃんの料理も好評で、世界に向けてレシピを公表。ちょっとのひとくふうで毎日のご飯をおいしくする秘訣が詰まっていると、人気のチャンネルとなった。
――インティライムの宿のスタッフさんとにゃんこたち。
イツカナが視察の際に宿泊して以来、宿の人気が跳ね上がって大忙しに。
二匹の看板にゃんこたちに会うためだけにやってくるお客さんも多数。
食事だけのお客様もOKの手づくりごはんは、今日もみんなを幸せにしてくれる。
――海の民の漁港のみなさん。
豊かな海の恵みを受けて、今日も元気にハンティング&クッキング。
豪快な狩りと浜料理で、世界を魅了する。
たくましくも人情厚く、「しかたねえな!」と口では言いなから、パレーナとマルキアのような出会いを求めてやってくる若者たちを世話してやったりしている。
――メリベル先生。
マリンスポーツを愛し、海の民の地にすみついた草原の民の女医さん。
きわめて腕がよく、いざというときにはパレーナの船に乗り組み船医をつとめる。
魔王戦でソラを手当てして以来、ずっと目が離せずに見守る。
ソリス・ソラさんファンクラブが設立されたとき、そのリーダーとなった。
――ベリーズ。
ベリーズ村の村長。諸事情で親と暮らせない子たちを多く村に迎え、いつくしみ育てる。
ステファンとは信頼しあう間柄であり、生涯にわたり支えあった。
――アルフ&モリー。
森の民の匠としてアルム島に来島した男女バディ。トーテムはおおかみとくま。
魔王戦終結後、アルム島にすみつきクラフターとして働いていたが、故郷の一大イベントのため駆け付けた。
長くアルフの片思い状態だったが、最近はいい雰囲気である。
――マルさんご一家。
プレーリードッグのトーテムのご一家。お宅訪問をさせてくれた。
子オオカミハヤトにメロメロにされて以来、ハヤトの大ファン。
ハーちゃん愛が高じて、ちびわんハーちゃんぬいぐるみなど作っちゃったりしている。
――クローネ&クロートー。
アルネヴ家の次期当主と、それを支えるサブ。
どちらかというとおっとりした性格のおねえさんと、才気煥発な天才タイプの妹ちゃんのナイスコンビ。
代々伝わる家訓『殻を破ることを恐れずに』を実行。姉妹でステージに上がったり、スカイダイビングをしてみたり、型にとらわれない生き方で人生を楽しんだ。
――レイン。
父リュウジの意向により、それまで政治に深く関与してこなかったレイン。
しかし現場を誰より近くで、しかも客観的に見続けたことで、しっかりとした知識とセンスをはぐくんでおり、その才はゴジョウ内閣において開花。ついにはハジメ・ユタカ氏と首相の座を争うまでとなる。
副首相におさまった彼は、どんな苦難にもめげない不屈宰相として名をのこす。
その秘訣は『糾弾してくるみんなを脳内で美少年に変換するんだ! そうすればほら、パラダイ(以下は切り裂かれて見えない)
――ライカたち。
たくさんの分体でネットワークをつくり、世界を守るすーぱー神剣。
つねに一体はレインの秘書役兼ボディーガード兼ツッコミがかりとして付き添っている。
その一方でハヤトの剣として、仲間たちのお守りとして、いつも親しい人々を守り続ける。
アースガルドでも超級AIとしてセレストと協力しながら、人間になったレインと末永く仲良く暮らした。
@ミッドガルド・ミルドの街門前~アレンの場合~
『ミライツカナタ』は、俺のトモダチだ。
さいしょにここに現れた日から、ずっと。
たしかにやつらは、異世界人で――
さらには、ヴァルハラの天使になってしまって。
たたかうアイドルになったり、すっげえ大会で優勝したり、イツカとカナタが増えたり、魔王にされたり、世界から追放されたり……
かと思ったらこの町に戻ってきてとんでもねえボス戦やって、ついには女神様の直属になったりと、あいかわらずむちゃくちゃに大活躍してるみたいだけれど、それでも。
だから、会えないと寂しく思うのだ。
異世界も天界も、いや、別の街でさえ、一般ピープルのおれたちには『異世界』。
そこへ去ってしまったら、会えなくなるのなんか当たり前なのに。
こないだ偶然会えた時は、すごくうれしかった。
たとえちょっと珍しい装備を身に着けてても、その姿はキラキラしてみえた。
また、会いたいな。もう一度この町に、来てくれないかな。
いつもどおり門番の仕事をしつつ、そんなことを考えていたら、見覚えのある人たちがやってきた。
「よ、……ようっ」
その先頭で声をかけてくるのは、サラサラとした金髪の、清楚な美人。
あの日、イツカとカナタといっしょに現れた人たちの一人だ。
「え、と……アリアさん、ですよね?
ようこそミルドの街へ。何か御用ですか?」
今日はふつうの恰好をした彼女は、シャンプーの香りなのか、どこかいい香りがして、ちょっとドキドキしてしまう。
「あー。まあ、その……いや、用は用なんだけどよ。あー……」
もじもじと言葉を探す彼女を前にしていると、なんだかこっちまでもじもじ気分になってしまう。いやおちつけ、こんな素敵な美人が、俺のような一般ピープルにそんな素敵な用事なわけがない。
「姐さん、もうここはズバッと言っちゃいましょうぜ!」
「そうっすよ! 姐さんのアプローチを断るような不届き者はこの世にそんなにいないはずっス!」
「にゃーん!!」
すると彼女のうしろに控えた舎弟と思しき男たちと、赤いかわいいにゃんこが口々にエールを送り始める。
え。まさかそんな。いやいや、まさか、そんなそんな。
そのとき驚くべき声が聞こえてきた。
「号外、ごーがいー!!『ミライツカナタ』がかえってくるぞ――!!」
「マジッ?!」
全力で振り返ってしまった俺の目には、すでにお祭り騒ぎと化している町の広場が飛び込んできて。
そして後頭部には、ぽにっと尊い『ねこぱんち』がさく裂したのだった。
――『ナイツオブラウンド』No8。
広い世界を見るため旅立ったラウンドたちのひとり。
こっちはいつの間にかアリアたちと合流、漢らしい彼女を姐さんと慕いついていく。
アリアのしあわせのためにがんばるのが現在の生きがい。
――ねこ憤怒ちゃん&そのもととなった人(都合により名前秘匿中)
イツカナ復活直前に顕現した憤怒とそのあるじ。
いつの間にかアリアたちと合流、豪快な彼女を姐さんと慕いついていくようになる。
さいしょに猫ちゃんがアリアになつき、そのご命令でお供になった。
腕はそれなり立つけれど、姐さんと猫ちゃんには勝てない。
――アレン&アリア。
ミッドガルドの門番を務める青年と、ホシノーズの戦闘力最強のカップル。
イツカナたちがはじめて『月のミッドガルド』に来た時に同行、運命的な出会いをはたした。
まわりのアドバイスで自分のきもちに気づいたアリアがアレンのもとにやってきて、交際スタート。
なにかと邪魔も入るけど、不器用同士、ゆっくりと愛をはぐくんでいった。
――ミルドの街の人々。
ミライツカナタが『現役』時代、最後にお世話になった人たち。数年間をすごして気心を知り合った仲。
芸術爆発ヘアの素材屋のおじさん、かわいらしいギルド受付嬢マリルさんとスキンヘッドがまぶしいギルドの『おやっさん』、美しく繊細な司祭クランベリー様、そのほかみんな、ミライツカナタが大好き。
悠久の命を持つミライツカナタがきてくれたとき、自分たちが迎えられるようにと、最終試行の終わりまでNPC役を留任。最後はともにアースガルドへとのぼった。
もうすこしつづくのじゃ(言ってみたかった)。
しばらくしましたら二話目を投稿いたします!




