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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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The C-Part_40秒の、そのなかで~悠久の時を、あなたと(5)~

 @月のティールーム~赤のカナタの場合~


『さいしょの戦いのとき、俺はお前たちにひどいことを言ってしまった。

 そのことを詫びさせてもらいたいんだ。どうか一度、会いに来てもらえないだろうか』


 ルクからの伝言を伝えると、ミツルとソラは二つ返事で了承。

 おれたちの立ち合いのもと、『第二期試行アタックチーム+エルカさん』が一堂に会し、その席でルクは頭を下げた。


「ミツル、カケル。

 前世のお前たちが戦死したのは、お前たちの責任なんかじゃない。

 だというのに、俺はひどい暴言を吐いてしまった。

 本当に、申し訳なかった。どうかこのとおり、詫びさせてくれ」


 するとソラはふるふるとかぶりをふった。


「俺に謝らないで、ルク。

 俺には、それを言われるだけの落ち度があったから。

 俺がもっと強かったなら。あのとき生き残ることができてたなら、ルクをひとりぼっちにしなかった。

 こちらこそ、ごめんなさい」

「いいんだ。いいんだよ。

 ミツルを見捨てるなんて、させられるもんか」


 まっすぐな目できっぱりとそういうルクは、どこかイツカをほうふつとさせた。

 これが、ほんとうのルクなのか。

 おれたちがみてきた『御大』とは、まるで別人に見える。


「俺だって、セレナだけはどうやったってあきらめられなかった。

 だから、同じなんだ、カケル。

 お前はわるくなんかないよ」

「ありがとう、ルク」


 二人はしっかりと握手して、微笑みあった。

 ミツルもそこに手を添える。


「そのことは俺にも言える。

 そもそも俺が、もっともっと強ければよかったから。

 俺からも、同じように言わせてほしい、ルク」

「ミツル……

 じゃあ、俺からも同じように。

 ありがとう。

 ふたりとも、心からありがとう」


 ルクはその手にさらに手を添え、三人は暖かく手を取り合い、笑いあった。

 それを見守るおれたち、そしてセレナさんもエルカさんもニコニコだ。


「それじゃあ、これでわれら一同、仲直りということで。

 めでたく乾杯といこう」


 エルカさんの音頭で、旧勇者一行はみんな笑顔でティーカップを掲げた。

 もちろん、立ち合いのおれたちも。


 かんぱいとにぎやかに声を掛け合い、おれたちはひとつのお茶をいただいた。



 この少し前に、おれたちはせつない事情を知った。

 ルク――尊城竜空が、長くひとりぼっちだったのには、もうひとつわけがある。

 セレナさんは竜空と同時期に一度生を受けたものの、まもなく命を失ってしまっていたのだ。


 想定されたシナリオでは、こうなるはずだったという。

 ステラ国のソロイ・イングラム氏とその妻セリカ・ユエさんの間に、セレナさんが生まれ……

 その後、セリカ・ユエさんの父親ロイド・ユエ氏が、商家の一員として月萌を訪れた際、尊城家の令嬢瀬空(せあ)さんと恋に落ち再婚、二人の間に竜空が生まれ。

 ロイド夫妻のもとをソロイ夫妻が『孫の顔をみせに』と訪れた際、竜空とセレナが出会い、やがて平和のために手を取り合うようになる。


 しかし、ステラ国の情勢は当時厳しく、セリカさんはセレナさんを産むも死産。セリカさんの体のダメージも大きく、ふたたび子を望むことは絶望的となってしまったのだ。

 子供世代への転生は、ルールによりできないことになっている。そのため、セレナさんの母となるセリカさんの転生は二世代あと、セレナさんのふたたびの誕生はその次世代となり、その間ルクは待ち続けることになってしまった。


 もっとも竜空が前世の記憶を取り戻したのは、セリカさんが再び生を受けたしばらく後、18歳当時のことなので、『待っていた』期間はその分少なくなるのだけれど。


 そこから計算すると、『尊城竜空』の実年齢は200には足りない。

 それでもあのとき『200年生き続けてきた』といったのは、第二期試行の分を足して考えてしまっていたためと聞いた。


 それでも、いま目の前にいるルクは、むしろおれより年下くらいに見える。

『ショタジジイ』と自分で言ってしまうのも納得だ。


 しかし、人のことを笑えはしない。

 おれはイツカやライムとともに、限りなき命をもらって、セレネさんを手伝うことに決めた。

 つまり、いずれ、おれもこうなるのだ。


 ……うん。なんか。なんともビミョーだ。


「ふぉふぉふぉ。お茶のおかわりはいかがですかな?」


 そんなことを考えていれば、いいタイミングでヴァルさんが声をかけてくれて、おれはごまかすようにお代わりを申し出たのだった。



 ――ヴァル。

 ルクとセレナにつかえる老執事。

 かわいいふたりを愛でていると実に幸せだそうな。

 最近はツーリングから一歩飛び出し、月面ホバーにはまっている。

 その乗りこなしっぷりは若者顔負けのアクロバティックである。


次回、ルカとルナと、ささえてくれるひとの絆の予定でございます。

どうぞゆっくり、おつきあいくださいませ!

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