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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_14 それはきっと、ラブコメで(2)

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14-3 高天原・ごちゃまぜケーキバイキング(1)

 その十数分後。

 身支度を整えたおれたち――おれとイツカとルナ、そしてミライ――はライムに連れられ、高天原の町にあるスイーツ店『スイーツシャングリラ』を訪れた。

 程よく落ち着いた雰囲気の店内に足を踏み入れれば、赤ぶち眼鏡の女性がおーいと手を振ってくる。レモンさんだ。

 もちろんいまはステージ衣装ではなく、白地に黄色とオレンジの小花模様のかわいらしいワンピース。

 あざやかなレモン色の髪も結わえてベレー帽に収納しているが、そのオーラは隠しようもない。

 まわりの人たちもそっと気づかないふりをしてくれていたので、おれたちも極力さりげなく、彼女のもとへ向かった。


 レモンさんのかけているテーブルは大きいもの。

 彼女のほかの同席者たち三人にくわえておれたちが座っても、まだ余裕があった。

 だが、その『同席者たち』というのが問題だった。

 ひとりはまふまふとエクレアをほおばりつつ目礼してくるルカ――いや、こちらは大丈夫、問題ない。

 だが二人目、その向かいでドーナツをかじっている男は!


「あれー、お前レインじゃね?」

「い、いやっ?

 わたしの名はハルオ、超イケメンだがなんの変哲もない誰かの影武者だよっ!

 はじめましてだね、諸君!」


 いやいやいや。

 イツカの『やせいのかん』に頼るまでもなく、その変装はバレバレだろう。

 輝かしい金髪を今時見ないタイプの七三分けにセットし、取ってつけたような眼鏡をかけ、あやしげな黒のトレンチコートを羽織ったイケメン(悔しいがそこは事実)は、どう見たってレイン・クルーガー・タカシロ理事だった。


「くんくん……レインさんのにおいがするけど?」

「ちょ、まちたまえミライくん。数メートル離れてとはいえ愛くるしいわんこ美少年ににおいを確認されるとか、ごほうび以外の何物でもないんだが」

「はいダウト!」


 初対面がなんで名前知ってんだよ。ていうか、声と口調とキャラがまんまだし。

 アスカの『味方』になったと知ってすぐ、ミライはタカシロ理事を警戒しなくなった。触られかけておびえていたことなんかすっかり忘れて、明るく優しく接している。

 それはミライのいいところだし、ぜひともそのままでいてほしい。が、だからこそおれがミライを危険から守らないといけない。

 さりげなくミライを近づけないように肩を抱いて様子を見ていると、うしろからすこしだけ舌足らずな、高く、甘い声がかけられた。


「あ、ウサちゃんとネコちゃん! 久しぶりー!」


 パイン飴を転がすような、その声。

 仰天して振り返ればやはり、そこには彼女が立っていた。

 青りんご色のくりっとした目がかわいらしい美少女。おれより頭一つ分は低い身長、山吹色のツインテールのせいか、どこか幼くすら見える。

 ただ、今日の服装は、メイド服っぽいエプロンドレスだ。


「……あ、えっとー、そーじゃなくって、前世ぶりー!」

「な、おま!」


 巨大捕虫網を手に追っかけ回されたイツカが、猫耳を伏せて距離を取る。いや、後衛クラフターの後ろに隠れるな前衛ハンター


「えっ、と、ジュディ? ……だよね?」

「違うよー! あたしはデイジー。研修中の天使だよー!

 いくらウサちゃんやネコちゃんが可愛いからって捕獲なんかしたりしないよ! ホントだよ!」


 いや、顔完全にそのまんまだし。髪も口調も声もキャラもまるっきりまんまだし。

 わかりやすく言えば、服が違うだけだ。

 どうしてこうなってる。思わずレモンさんを見れば、彼女は明るい笑顔でこういった。


「あれっ、知り合い?

 ハルオとデイジーはあたしのスイーツ友達だよー?」

「そうですわ、ささ、わたくしたちもスイーツバイキングを楽しみましょう!」


 そう、三人目はまさかの『敵国のスパイ』だった。

 一瞬顔を見合わせたおれとイツカだが、ライムもにこにこ笑ってる。

 うん、一体どうなってるのかわかんないが、とりあえずエクセリオン二人がそう言っているのなら、ここはそうするべきなのだろう。

 きょとんとしているミライと、ほわほわしているルナを促して、おれたちはとりあえず席に向かったのだった。




 ――そして数分後。


「ええっ、そうなのー?」

「わー!」

「それでね、それでねっ……」


 テーブルの左三分の二はすっかりガールズトークモードに。

 おれたち野郎どもはのこった右サイドで若干気おされていた。

 ミライがなぜか自然にそっち側なのは、ミライなのでいいことにしておく。


「まあ、だいたい予想通りだね。」

「なんでそんな冷静なんですか『ハルオ』さん。」

「ふっ。我が家は圧倒的に女系でね。わたしはいつも蚊帳の外だったのさ。

 幼少期こそはいろいろとおもちゃにされたものだが、リボンやドレスが似合わなくなれば用済み、というわけだ。

 父は仕事を名目にとっくに家に寄り付かなくなっていた。わたしの少年期は、常にこんなものだったのだよ」

「あー……なんかいろいろ、苦労されてきたんですね……

 って触ったらアスカにチクりますので。」

「ああ、適度に過大申告してくれたまえ。美少年からのおしおきはごほうびなのでね」

「はあ…………」


 いろいろと同情すべき背景はあるようだが、とりあえずおれは向かいにかける『ハルオさん』から距離を取った。なんだか嬉しそうな顔をしているので、まあ、それはそれでいいのだろう。

 だがふと右をみて一瞬で悟った。安心するにはまだ早いと。

 そこに座っているイツカは、子供のようにうれしそうにチョコケーキをまふまふしていた。だめだ、こいつチョコケーキぶら下げられたらあっさりモフられるに違いない。ケーキのおかわりを取りに行くなら、絶対こいつと一緒にだ。

 おれの左側、ミライは女子陣営に属しているから安全だろうけれど……。

 とりあえずおれはイツカとのタイミングを合わせるため、『ハルオさん』と会話を続けることにした。

 すこしだけ、ほんの少しだけだけど、聞いてみたいこともあることだし。


『勝手にランキング』さんでIN3OUT10を達成です!

そしてPVが連日3ケタある!

これからもがんばっていけそうです……ありがとうございます!


※次回はさらにやつらもやってきて、暴走(と掘り下げも)が進みます。お楽しみに!

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