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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_14 それはきっと、ラブコメで(2)

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14-1 くろいこねこちゃん、ふたたび

2020.01.29

表現の修正を行いました。

フィールドすべての状況は→フィールドの状況すべては


2021.06.11

技名間違っておりました……!!

オーディエンス→オーディション


 満場のギャラリーのざわめきは、控室前からも聞こえていた。

 いつもならば、ちょっと苦笑していただろうにぎわいぶり。

 でも今日は、今日だけは、おれもそんな余裕はなかった。


「イツカ、おちついていこう。

 だいじょうぶ、勝てる。きっと勝てるよ」

「…………。」


 ぴこん。つやつやの、黒しっぽだけが返事した。



 * * * * *



『あんたたちが結婚しなさいっ!』


 そう言い出したときのルカは真剣だったし、いまもって真剣だ。

 それはわかるが、これはしょせん『ゲーム』だ。

 そう、先生たちも言っていた。

 なぜなら月萌ツクモエの法律で、正式な結婚が認められる年齢は18。

 おれもイツカも、現状どうやったって結婚などできない。

 さらにぶっちゃけ、おれたちは18になる前にαになるだろう。

 つまりこれはどうころんでも、ただのにぎやかしイベント。けして、その域を出ないもの。


 よってこの勝負に、たとえ負けても実害はない。

 せいぜいが、その後ウェディングドレスを着るのがどっちかという勝負になり、おれがイツカに勝って、イツカがステージで涙目で白いドレスを着て、ごっこの結婚式が開催され、そこでまたわやくちゃになる程度だ――たとえば『眼鏡くろうさ大魔王』が覚醒、乱入したりして。

『うさもふ三銃士』のオリジナルショーバトル『旅の賢者とふしぎなふたり』シリーズは、いよいよ大詰めに来ている。コラボするには、いいころあいだ。


 それを考えれば、負けておくべきなのだろう。

 これ以上イツカに失点はさせたくないので、おれのミスで。

 さいわいというべきか、しろくろはあきらかに格上の相手。

 だからおれは、うまく負けるつもりだった。


 この勝負のトロフィーが、ライムとの交際許可でなければ。


 ただひとり愛する女性はいま、最前列で見守っていてくれている。

 その澄んだ瞳は、どこまでもおれを信じ切っている。

 それを裏切ることだけは、絶対に絶対にできない。

 そう、何に変えてでも。


「イツカ、おちついていこう。

 だいじょうぶ、勝てる。きっと勝てるよ」

「…………。」


 イツカとともに前衛スタート位置に立ち、背中に手を添えてはげませば、ぴこん。黒しっぽだけが返事した。

 ルカは、今度もちょっと引いている。

 だが、ほんのちょっとだけだ。


「ちょ、またしてもそのモードなわけ?

 ま、いいわ。いずれにしても、勝つまでよ!

 今度はあんな風には……あ、あんなふうにはいかないんだから!!

 いくわよルナっ!」

「わたしはいってもいいんだけどなぁ」

「ルナ~?」

「えへへ~」


 ルナはというと気圧された様子もなく、にこにこふわふわ後ろへ下がる。

 ひらふわとした白のロングスカートがなびき、背中のハトの翼もふんわり。

 やわらかなブラウンのみつあみも今はほどかれ、緩いウェーブをえがいて流れている。

 彼女をひとことでいえば、白フワ天使。

 シャープなイメージのルカとは対照的に、ひたすら夢夢しいふんわりぶりだ。


 ぶっちゃけやりづらい。万一彼女にイツカが斬りかかったりしたら、イツカを殴り倒してしまいそうだ。

 イツカもきっとためらうだろう――おれとライムの恋のためにと、みずからビーストモードになっていてもだ。


 だから、そうさせないようバトルを組み立てる。それが、今回のおれのしごとだ。

 そう思い定めつつ、おれも後衛スタート位置まで下がる。


「こんなのは通過点よ!

 レモンとライム! あたしもサクサクαになって、つぎはあなたたちを倒すんだからねっ!! みてなさい!!」


 すぱりと抜刀し、強気マックスの宣戦布告を双子のエクセリオンに向けるルカ。

 だが、おれの頭のなかに、彼女を沈める方策はすでに整っていた。




天使の飛行(エンジェルフライト)!」

 

 ルナが第一手に使ってきたのは、得意の神聖強化魔法。

 飛ぶものにかぎり、加護を与えるというものだ。

 ふたりはどうやら、有利な空中戦だけにフィールドを絞るつもりらしい。強力な翼で、あっという間に舞い上がる。


 もちろん、こっちも手はある。

 素早く地面にスモークボムを3つ投げた。

 いちごの色と香りの煙がもうもうと立ち込め、あっという間に地表を覆い、身の丈を超えてくすぶった。


 指先がやっと見える程度の濃い煙だが、問題はない。

 煙薬は吸い込んでもむせないような粒子設計にしてある。イツカがどこに着地してもいいように、地表にはほとんど手を加えない作戦だ。

 そして、おれにはこれがある――目を閉じ、スキル『超聴覚ハイパーオーディション』を起動。

 瞬時に、フィールドの状況すべてはおれの把握するところとなった。

 全て『聴こえ』た。そう、ルカが戸惑った表情でつぶやく様子も。


「これは……?」

「猫族専用の強化薬を、パウダー化して仕込んだ煙薬スモークだよ。

 さて、どう仕掛ける?」


 もちろん直接答えたら、おれのいる位置はモロバレだ。『遠響巻貝』で声を飛ばす。

 一方で強化の煙の中から、イツカがスキル『短距離超猫走スプリン・チーター』を使った超速ジャンプで飛び出していく。


「っと!

 ジャンプ中のイツカが天使の飛行(エンジェルフライト)で強化されるのも、計算の内よ!

 残念ね、跳ねるだけのねこちゃんは飛べる鳥にはかなわないのよっ!」


 ルカの陽気なあおりが聴こえる。

 それを聞きつつおれは、スキル『超跳躍スカイ・ハイ・スキップ』を発動。

 横向きに低く跳べば、天使の飛行(エンジェルフライト)の加護がおれにもふりそそぐ。

 その状態でイツカに神聖強化ホーリーインフォース。いつもより出力の上がった魔法が、いっきにイツカを強化した。

 勢いを増したイツカは『短距離超猫走スプリン・チーター』で宙を蹴り、さらにルカに迫る。


神聖強化ホーリーインフォース!」


 もちろんルナもだまってない。自分とルカに、神聖強化ホーリーインフォースを重ね掛けする。

 本職のプリーストが自分を強化したうえで紡ぎだす強化魔法は、兼業のおれがひねり出したそれをやすやすと超えていく。

 ルカはあっさりとイツカをかわし、イツカは落ちてきた。


 追撃はなかった。さすがは歴戦のアイドルバトラー、冷静な判断だ。

 おれはこの煙を『猫用の強化薬を、パウダー化して仕込んだ煙薬』とは言った。

 だが、他のものが入っていないとも、ましてその下に何かを仕込んでいないとも言っていない。

 よって、まずは目の前の獲物しか見えない状態のイツカをしっかり料理して、それからおれをと考えているのだろう。その判断は妥当だ。

 おれはイツカに強化のポーションをまとめて投げると、作業の続きにかかった。

あわわわわ(〇ッキーさん口調)わわわ?!

『勝手にランキング』さんでIN2つめを頂いてしまいました?!

そしてブクマも! そろそろ召されるのですか私?!

動揺しつつ、ありがとうございます!!

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