The C-Part_40秒の、そのなかで~はじまる、新たな日々!(9)~
すみませぬ……家の用事で昼過ぎまで一文字も書けませんでしたのです。
ミスかあったら見つけ次第修正いたします!
@高天原町立第二幼稚園~タマキの場合~
おさない文字でのご招待状が届いたのは、二週間まえのこと。
シアン所長代理に願い出て、半休を取らせてもらった。
当日は寮の入口で、四人待ち合わせて出発した。
途中で行き会ったのは、俺たち同様スーツ姿のケイジとユキテル、アスカとハヤト。
おしゃれをしたマルヤムさん、オフィリアさんとおふたりのご両親。制服姿のルリさん。
最後に、大きなおなかをいたわり歩く、オルカさんとエルカ所長といっしょになった。
俺たちの目的地は、高天原町立第二幼稚園。
その門のところにどんとそびえ立っていたのは、ちょっとだけぶかっこうな、しかしそのぶん頑張りの伝わってくる手作りの花々のアーチ。
そしてその下、いっぱいの笑顔で手を振る園児たち、ハナナさんとルイさん、そして園長先生たち。
みんなで声を合わせて、迎えてくれた。
「たかまがはらちょーりつ、だいにようちえんのかんしゃパーティーに、ようこそいらっしゃいませ――!!」
そう、今日は、ハナナさんとルイさんのために力を貸した人物を集めての、感謝のお祭りなのである。
かわいらしい手作りの花飾りやクッキー、それに愛らしい合唱などで『ありがとう』を伝えてもらえると、ひねくれた気持ちなんか湧き上がりもしない。
ふと気づけばダイがぼうっとこっちを見ている。
「ほらダイ? あまりへんなカオしていると不審者として捕まえますよ?」とデコピンをかましてやれば、「ふえっ?!」なんて面白い声を上げた。
ティータイムのあとにはビンゴゲーム。ずらっと並ぶプライズを見て、柄にもなく俺のテンションは上がった。
可愛らしいラッピングに包まれた、動物のぬいぐるみたち。そのなかに、シロイルカもあったのだ。
ぶっちゃけ、ひとめぼれしてしまったのだ。つぶらなひとみでこっちを見ているあの子に。
よしこい、『ぬいぐるみ選択権』。俺は全力でビンゴにのぞんだ。
しかし、こればかりはテンションではどうもならなかった。
おれが引き当てたのは『お茶とお菓子のセット』。
これはこれでまあ、ダイのおやつの足しになるのでありがたいもの。
シロイルカのぬいぐるみは、同じものを自分で探して買うとしよう。
けっきょく『ぬいぐるみ選択権』が出たのはラスト。当てたのは、コウだった。
ぬいぐるみのなかにはシュバシコウもある。コウもかわいいものはすきたし、これはこれで結果オーライだ。
と考えているとコウとシロウはうん、とうなずきあって驚きの選択をした。
「じゃあ、これ!
はい、タマ。どうぞ!」
「へ? えっ?」
ぽん、と渡された包みのなかからは、あの子がつぶらなひとみでこっちを見ていた。
「い、……いいいいいんですかっ?
だって、その……」
「えへへ。俺たちもうさ、シュバシコウとキツネ、もってるし……」
「ダイも柴犬ではなくシロイルカをじっと見ていたし、ここはシロイルカだろうと」
「のっえ、あっ?! え、えへへ……」
ダイは『ばれた?』という顔をしたのち『えへへ』。
「みんな、…………」
ふわふわの包みをぎゅっと抱きしめたら、もう顔がへにゃっとなってしまって。
恥ずかしいから顔をうずめて、これだけ言った。
「じゃあ。寮に帰ったら、このティーセットで。お茶しましょうね。
せめてもの、お礼ですっ」
そうしたら、拍手が沸き起こってしまった。
あったかなパーティーのシメは、ハナナさんとルイさんによるスピーチだった。
「わたしたちは、期せず起きた魔王戦争、その第一陣をしのいだ『セント・フローラ・アーク』で注目され、出陣を求められて、いっとき絶望しかかりました」
「そこを救ってくれたのが、相談に乗ったり一緒に出陣してくれたマルヤムとオフィリア、ケイジくんとユキテルくん。
それに理解をしめし、志願を許してくれた親御さんたち――」
「なにかと暖かくはからってくださった、園長先生をはじめとした先生方、ルリさん、アスカ君とハヤト君。
優しく見守ってくれた、わたしたちの両親たち、そして園の子供たち。
そして、『チコニアン_ウィッカーワークス』でわたしたちをたすけてくれた、『カルテット』のみなさんでした」
「だからほんとうなら、わたしたちふたりがみんなをご招待しなければ、だったのですが……」
「先生たちと、こどもたち。両親たちが言ってくれました。
わたしたちは『高天原町立第二幼稚園』の仲間だから。
わたしたちでいっしょに、わたしたちを、その大切なひとをまもってくれたみなさんに、お礼をしようと。」
「わたしは、わたしたちはなんて、しあわせなんでしょう。
こんなに心強いみんなにかこまれて、いったい何が怖かったのか。今となっては不思議なくらいです」
「だからわたしたち、もうこわくありません。
戦争なんか、二度と起こさせない。そのために必要なら、わたしたちも立ち上がります」
「わたしたちはまだ、保育士見習いですけれど……」
「みんながいてくれれば、無敵になれます!」
「「そうしてこの無敵バリアーで、無敵のハートで、みんなみんなを守りますっ!」」
かわいいこぶしを突き上げて宣言する二人の笑みには、あの頃の絶望はもうない。
よかった。こころからよかった。
俺は痛くなるほど手をたたき、決意を新たにした。
これからもこの笑顔をまもっていくのだ。俺たち『カルテット』、そして、ここにいる仲間たちで、力を合わせて、と。
――『カルテット』。
騎士団創始者四人組。
『ハナイカダ』の窮地をすくうため『チコニアン_ウィッカーワークス』を発展させた。
世界平和の成った後、その技術を世界の技術者たちに惜しみなく伝授。新時代のインフラ発展の立役者となった。
同時にミズキの卒業で学外にも発展することとなった『スターズエイド財団』を手伝ったり、多忙だが充実した日々を過ごした。
――ハナナ、ルイ。
覚醒技『セント・フローラ・アーク』で注目を浴び、意に染まぬ出陣を強いられて前途を悲観したが、まわりのみんなに救われ、みずからも強く、強くなった。
二年後、幼保資格取得と同時に正式採用、晴れて念願の幼稚園の先生になる。
――ケイジ、マルヤム。
魔王戦争中、それぞれのバディとともにハナナ・ルイのため力を尽くした。
その後ケイジはリュウジの近衛をつとめ、マルヤムは夢だったフライト・ドクターを目指す。
何年にもわたる勉強と研修の期間、ケイジがマルヤムを献身的に支えつづけた。
晴れてフライト・ドクターとなり、仕事にも慣れたころ、ケイジからプロポーズ、結婚した。
家事はおもにケイジがしているが、休日にはふたりでお料理したりとラブラブ。
カレシ募集中のオフィリアをうらやましがらせているそうな。
――オフィリア。
マルヤムのバディをつとめたハンター。
白いもふもふさんたちへの愛が高じて動物写真家に。寒いのどんとこいなホッキョクギツネ装備で極地を飛び回る。
けれどたまに戻ってくるとやっぱり人間のカレシも欲しいという気持ちになるようである。
――ユキテル。
ヤヨイの卒業と同時に告白。ともにカレッジ目指して勉強し、ふたりしてラブラブに合格。
年齢より幼く見える彼女と、年上に見える彼のカップルは『あれはズルい』『クッソうらやましい』と評判である。
――マルヤムの父、母。
高天原で医院の長とその補佐をするふたり。多忙ながらも家族に、患者に向き合い、良心的な経営を続ける。
のちに一人前になったマルヤムに医院を譲り、若夫婦を優しく支えた。
――高天原町立第二幼稚園の園長先生。
いつもは落ち着いた優しい先生なのだけれど、こと恋愛となるとイケイケノリノリ。
ハナナやルイ、ほかの先生が煮え切らないとドンといけとハッパをかける。
そのおかげで、しょっちゅう仲人を務めている。ぶっちゃけめっちゃたのしそうである。
次回はイーパラまわりでわちゃわちゃいきます!
どうぞ、お楽しみに♪
明日あさって、5/1、2の投稿をお休みいたします。
いつもいらしてくださる皆さまには申し訳ございませんが……どうかよろしくお願いいたします!




