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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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The C-Part_40秒の、そのなかで~はじまる、新たな日々!(5)~

あれっおかしいな、むしろうまくまとまりましたΣ(゜□゜;)

 @アルム島領主館・『ナイツオブラウンド』リーダー執務室~『トニー』の場合~


「は?」


 俺の口からはそんな声しか出てこなかった。

 目の前にいるのはいちおう、同僚――けっして部下なんかじゃない、俺はただ単に仕切りができなくないからリーダーに『なっちまった』だけで、こんなクセのある奴ら束ねることなんざイツカナさんたち以外にゃぜってー無理――のうち二人、『シロハラ』と『イソヒヨ』なんだが、やつらが妙なことを言ってきたのだ。


「月萌に行く、これはわかる。先様がソレイユ、それもわかる。

 だがアイドルってなどーゆーことだよ?? 警護じゃなくってか??」


 いや冗談だろ。俺たちゃ月萌の陰に生きるエージェントだ。

 そりゃこないだの『もとニセイツカナーズ』みたいな例外はあるっちゃあるが。

 俺はやつらを凝視した。


「いや嘘でもじょーだんでもねえって!」

「そーそ! ダメもとでソレプロにデータ送ってみたら『ぜひ来てくれ』って!!」

「ちゃんと裏は取ったんだろうな?」


 やつらが音楽を愛してることは知っていた。島の仲間たちと輪になって、浜辺で歌ってたときの声なんか、正直聞きほれた。

 だがしかし。

 このニッコニコの喜びよう。思わず心配になった。


「俺たちゃぶっちゃけ、もともとただの寄せ集めよ。

 だがな。

 我らがイツカナさんたちのため、一緒に働いて、寝食共にしてきたやつらに不埒を働こうってな無礼者が出たならば、完膚なきまでブッ潰さざるをえねえからな。

 この『ナイツオブラウンド』のメンツにかけてよ?」


 いつの間にか、ほかのメンツも集まって、そうだそうだとうなずいていた。


「トニー……みんな……!」

「マジかよ、なにこの感動展開よ……」

「クソッ、なんでか目から『シャスタの水撃』が出てきちまいやがったぜ!」

「あれおかしいな、俺もだよ……」


 かつてのカナタさんの言い訳を口にしあって目元をふくやつら。その肩をたたく仲間たち。

 クセつよエージェントどもの巣窟であるハズの我らが執務室は、いつにないほんわかムードに包まれたのだった。



 そんなわけで。

 俺はアイラさんから話を通してもらい、ソレイユプロへと赴いたのだった。

 そこで迎えに出たのはなんと、社長で当主のソレイユご夫妻その方だった。


「イツカさん、カナタさんからあなたがたのお話はよく伺っております、トニーさん」

「ご連絡が遅れ、ご心配をおかけしてしまったようですわね。申し訳ありませんわ」


 いやマジにマジだったんかい。握手をしつつ俺は内心ぶっ飛んでいた。

 それでも言葉はすらすらと口から出る。


「いえ、お詫びをいただくことはございません。

 私はかれらの仲間ではありましたが、保護者などには当たらず、ご連絡を頂かなければならない間柄ではありませんでした。

 つまり、いうなれば『勝手に心配になった』だけで。

 あたたかなお気遣いをいただき、ありがとうございます。

 あなた方にでしたら、安心して二人をお願いできそうです」

「ええ、どうかよろしくお願いいたします」


 さくっと終わると思われた話は、そこで急展開した。

 俺たち『ラウンド』のメンバーに、ぜひ二人の警護に加わってほしいと依頼されてしまったのだ。

 誰より二人をわかっているため。警備の腕も、信頼できるものであるためと。

 持ち帰るまでもない。俺はぜひにとそれを引き受けた。



 ――『トニー』。

『ナイツオブラウンド』のリーダーに『なってしまった』、チームで一番の常識人。普段の顔はおっさん。

 人情に篤く、いつしかオトンのようにメンバーたちを気にかけるようになる。

『ラウンド』Noは12。『トニー』の愛称はそこからとっている。けも装備はトラを選択した。


 ――『シロハラ』、『イソヒヨ』。

『ナイツオブラウンド』所属のアンドロイド・エージェント。『ラウンド』Noは4と1。

 それぞれシロハラ、イソヒヨドリをけも装備とした美声の持ち主。

 職業柄人前で歌声を披露することはほぼなかったが、島ですごす時間でその才能は大きく開花した。

 もちろんそこまでの前歴は完全に闇に葬り『経歴ぜんぜん不明系アイドル』という異色の存在となった。


 ――『ナイツオブラウンド』。

 もとはイツカナたち魔王軍に対して自爆攻撃を仕掛けさせられた、月萌のアンドロイド・エージェントたち。

 12人全員が救命され、紳士的な扱いをうけ、その後の自由も保証されたことにより、イツカナたちに忠誠を誓う。

 その後はチェシャたちとともに月萌での工作活動をしたり、アルム島を守ったり、メンバーたちに武術訓練をしたり。

 リタイヤ後はそのほとんどがアルム島に居を置き、のんびりと過ごした。




 @ソレイユ邸敷地内料理店・会食会場~アユミ・タカシロの場合~


『うふふ、『トニー』ちゃんてば熱いのねえ。

 ぜひ直接会いに来てとおっしゃってしまうソレイユ夫妻のフットワークも素晴らしいけど☆』


『ラミー』さんがあらあらうふふと笑う。

『ホシフリ☆ハートシスターズ』のメイクで一躍有名になった、新進気鋭のメイクアップアーティストは、今日も見とれるほどに美しい。

 ちょっとぼうっとしてしまったら、ぱちんときれいなウインクが返ってきた。


「でもわかるッス。俺も『ネームドとしてダンサーズに』ってハナシきいたとき耳を疑いましたから。

 もうなんっも持ってないΩの俺なんか騙したってなんっも出ねえってのに『え? なんで? もしかして詐欺?』とか疑ったりして!」

「あーわかりますー!! オレも先輩から聞いたのに『えっいやマジ? ドッキリですか?』てな感じでしたから!!」


 先輩後輩の操竜職人ふたり――『ドラオさん』『ドラじろーさん』があははと笑いあうと、ササキさんが屈託のない笑顔を見せる。


「でも、安心してください。ホントのホントにホントの話ですよ!

 ほら、アルム島での様子って公開されてましたよね。あのころから『すごく歌うまい人がいる!』って社内でも評判だったんですから。ね、社長!」


 話を振られると、私の口からはよどみなく気持ちが流れ出す。


「ええ。わたくしも拝見して正直驚きました。

 仕事柄、いろいろな方のお声を聴くことがあるのですが、世界にはまだまだ、素晴らしい歌声が隠れているのだなと。

『ミッドガルドおためしアイドル』企画はですから、わたしどもからソレイユプロダクションさんにご提案を申し上げたのです。

 そのきっかけとなったお二方がすでに、デモ音声を送っていらしたなんて。なにか、運命のようなものを感じてしまいますね」


 神族三家タカシロの一員として働くうちに、運営本社の社長となっていたわたし。

 主流である管理派のやり方に、心から納得していたわけではないけれど、その内実を知っているが故、刃向かうほどのこともまたできなくて。

『和を尊しとするお人柄』なんて言ってもらいつつ、当たり障りなく泳いでいたわたしは、台頭してきたルク派とも、当たらずさわらず業務に徹していた。


 けれどわたしは、あの日、ルク派の手のものに拉致された。

 その後平然と『ラストバトル』イベントは進行した。

 社長であるわたしを失っても、何ごともなかったかのように、滞りなく。


 そのときにわたしは思ったのだ。

 ああ、わたしは結局かれらにとって、排除してもよい存在でしかなかった。

 つまり、わたしの方もかれらとの『共存』を、もう、考えなくてもよいのだと。


 けれどそれは、どこかすっきりとしたもので。

 ライカ分体たちに、茶番を詫びられながら『救出』されたとき、わたしはむしろ『ありがとう』と言っていた。


 結局その『決意』は、ミッションの終結・ルク派の『消滅』により、空中分解してしまったのだけれど――

 それでも、わたしの胸のそこに長くわだかまっていたモヤモヤは、きれいに吹き払われていた。


 そう、いまならハッキリと言える。わたしは、『ミライツカナタ』が大好きだ。その生き方が大好きだ。

 わたしはわたしができる方法で、彼らの夢のお手伝いをしていくのだ、と。


 陰口をたたく者がいない訳ではないことは、もちろん承知していた。

 けれど、そんなものは勝手に言わせておけばいい。

 今までだって、そうだった――度を越さない範囲においては。


 いまは、古い仲間と新たな仲間とともに、前を向いて進んでいく。

 それが、いまわたしのしたいことだから。


「にしてもな~。

 ウチ的には『イザヨイ』のふたりも、けっこーいいセンいってるー思てるんやけど。

 よかったのん、口説いとかんで? 引き留めるんなら、絶好の口実やで?」

「お、俺も……そう思いますっけどっ」


『マリオン』さん、『ゴーちゃん』さんの声で、わたしは我に返った。

 大丈夫、話を振られていたのは『アンナ』さんだった。

 ゲーム中での役柄とは対照的に、清楚な印象の彼女は、微笑んで柔らかく首を振った。



 ――『ラミー』。

 3S『色欲』。美しくないものでも美しく、美しいものはもっと美しくがモットー。

『シスターズ』の透明感と愛らしさを最大限引き出したメイクで大ブレイク。売れっ子メイクアップアーティストに。

 なお自分の素顔は地味であまりイケてないと思っていたが『地味顔でもメイクでこれだけ化けれる』動画を自顔で公開したところ、むしろ清楚な素顔もイイとのコメントがめっちゃ集まり「えええ?」となっている。


 ――アユミ・タカシロ。

 ティアブラ開発本社の社長。

 優しい小学校の先生のような見た目通り、人の話をきちんと聞き、中庸の立場から寄り添う気遣いと冴えた判断のできる人物。

 ひとつの色に安易に染まらず、排斥しない彼女のもとで、管理派もそれ以外も、共存して働くことができていた。

『ラストバトル』の日の事件でひとつ成長した彼女だが、その美点は損なわれず。

 よき社長として、社員の、関係者たちの、そしてユーザーたちの支持を得た。


 ――『ドラオさん』&ササキさん(『さっきー』)。

『ダンサーズ』四人全員『先祖返り』と判明したのち、ササキさんも検査を受けてみたらやっぱり『先祖返り』。『ガーデン』におぼれた『ドラオさん』を追ってきた親戚のお姉さんであることが判明。

『ドラオさん』は新チームの指導お手伝い、ササキさんは部下を得て両チームのマネジメントと、公私ともに充実の日々を送りつつ、内緒でお付き合いしている。

 だが二人がラブラブなことはアユミ社長以下みんなが承知しており、ちょっと不器用なふたりをそっと温かく見守っている。


 ――『ドラじろーさん』。

『ドラオさん』にドラゴンの操作の仕方を教わった、気のいい『モンスターつかい』。

 その腕前は確かで、『ダンサーズ』に次ぐ新モンスターダンサーチームの一員として抜擢された。

『アンナ』をはじめとしたクセのあるメンツに気圧されたりしつつも、その常識ある穏やかな人柄で新チームのリーダー的存在となる。


 ――『アンナ』。

 ティアブラ運営本社と『もちつもたれつ』の関係にあった第三覚醒者たちのひとり。

『マリオン』同様、多数のアバターを巧みに操作する腕前で、大人気ネームド敵チーム『アンナとゆかいな下僕たち』をひとりで操る。

『卒シビ』で『イザヨイ』に惚れ込み『婿にする』宣言。おもにチビフォームで『魔王軍』にも加わったが……。


次回、高天原生たち&卒業生たちの歩き出す道。

どうぞ、お楽しみに!


※明日やんごとなき用事につき出かけます。

多分普通に投稿できると思いますが、遅れましたらそんなわけで、どうぞご容赦くださいませ。

ああ、コミュ障には胃が重い。


生垣植えるなら越境しない位置にね! ひなたさんとのやくそくだぞ!!(叫)

ホントマジね、植えるときには気楽でもね、いざ切ったり抜いたりすることになると驚くような額のお金がかかるんだから……

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